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第七話:ケモ娘は街を見るのは初めてのようです。

今日2話目です!ハッピーハロウィン!

ハロウィンってハッピーなんでかね?

あっさりとついてしまった。

歩いて1時間くらいだろうか。

突然周りが林だったのが、畑になり始め、高い城壁が見え始めてきた。

まだ城壁が見えるのみだが、あれはすごい高いぞ…

あと、お城が見える。

そう、お城が見える。

白色のなんて言うかお話に出てくるような城である。


「マスター、すごくおおきいの…。」


アコが外套から顔を少し覗きこちらを見ながら言ってくる。

アコよ、そんな卑猥なセリフを言うのではない。ニコとニコな動画の素材になってしまうぞ。

アコも俺もお互いダンジョン魔力から出した薄茶色の外套を着ている。

陽射しが結構熱くて、魔力ポイントで交換したのだ。

1つ5ポイントだったのでら合計10ポイントで残り5ポイントしかのこっていない。

しかし、ちょうどアコの耳や尻尾も隠せるしよかったと思ってる。

というか、アコのこの外套の下はまだ奴隷服?のままなんだよな。服というか布?

あそこについたら買ってやらなければな…。


それにしても大きいな、馬車とそれなりにすれ違っていたけど、なるほどこれだけ大きいな場所なら納得だ。

きっと人も多いだろう。


結構近づいて来たな、城壁の高さが尋常じゃない。

2〜30メートルくらいか?

巨人が来ても耐えられそうだ。

む、門のところで検問をしているな。

まあ、そりゃあするか。

日本とは違うんだ。

奴隷なんかいる物騒な世界だしな。

というか、今の俺、身元なし、保証人なし、金なしと大丈夫なのか…?

即捕まるとかは流石にないだろうし、俺ならいくらでも逃げられるか?

でも、今魔力ポイントがないからあまり数は打てない。数は打てないというか1発分だけだ。


「アコ、これまで街とかの検問はどんな感じだったかわかるか?」


「ご、ごめんなさい…わからないの…」


「気にするな、今までは捕まって馬車の中だったんだよな」


「はい…」


記憶に残るほど調べられてもないのか?

これならいけるかな?

とりあえず旅人だと言って誤魔化すか。


門が近づいてくる。

門が意外と小さめだ。こっちは正門ではないのかな?

馬車が2つほどすれ違って通れるかくらいの広さしかない。

そこに4人の衛兵が見張りをしている。

本物の衛兵だ。中世のような鎧に槍というゲームのようなスタイル。すげぇすげぇ、これゲームならレベル15くらいの雑魚だな。


「こんにちわ、いい天気ですね。」


こちらを見て来た衛兵に先に声をかける。

怪しまれないコツは堂々とすることだ。

俺はただの猫耳奴隷を連れた旅人さ。

すげぇ怪しいなそれ…あれ、これやばい…?


「そこで止まれ、お前たち、どこから来た。」


「俺たちは訳あって旅をしていて、向こうのもっと向こうから来たんだ。」


「それにしてもかなりの軽装だな…。」


やべぇ、墓穴掘ったか?


「ここまでくるのが初めてでしてね、予想以上に時間がかかってしまって、食料も尽き欠けで危ないところでした。」


「ふむ…」


怪しむように俺を見た後にアコを見る。


「獣人奴隷か…」


アコを見て嫌そうな顔をした後、俺を見て思案顔になる。


「いいぞ、通れ。」


「どうも」


「お楽しみも大概にしろよ。」


衛兵がそう言い残す。

お楽しみ?どういうことだろう?


まあ、通れるならなんでもいいか。


「アコ、離れるなよ。」


アコと手を繋いで街の中へと入る。

まずはどこへ行くべきだ?

情報収集が第一目標だから、飯屋とかそこらへんがいいかな?

てか、お金もあまりないから迂闊に店も入れない。


今の所持金は銅貨23枚。銀貨3枚。


これがどのくらいなのか。

人通りが少ない道も30分ほど歩くとチラチラと人が増え始める。

歩いてると肉の串焼きを焼いている出店を見つける。

これはいい感じか?


「親父、これなんの肉だ?」


40代くらいのすこし日焼けした親父に声をかける。


「これはボアウルフの肉だ」


ボアウルフ?狼なのか豚なのかよくわからん生き物の肉だな。


「一本いくらだ?」


「おいおい、連れの嬢ちゃんの分はなしかい?とんだ鬼だな、あんた。」


露骨な商売文句にニヤニヤする。


「あいにくこの街に来るのは初めてで、あんまり手持ちもなくてな。きっとこの店も他の店も高いんだろう?2人分買うとうっかり口が滑る亭主なら財布の紐も緩むんだがなぁ」


「おもしれぇなあんた、串2本で8銅貨だ。そこに座りな。」


一本銅貨4枚ということか?安いのか?


皮袋から銅貨を出そうと、アコと繋いでいた手を離そうとしたら、アコがビクッとなり強張る。


「アコ?」


「だ、だいしょうぶなの。」


銅貨を渡し串焼きをもらい、一つをアコにあげる。


「ありがとなの…。」


両手で串を持ち、匂いを嗅いでから美味しそうに食べはじめるアコを見てとりあえず安心する。


「その娘、獣人かい?」


「ああ。」


外套を羽織ってるのによくわかったな。

あ、肉串でご機嫌な耳と尻尾のせいか。

なるほど、周りに隠すならここら辺も気をつけないとか。


「この国だと獣人は生きづらいだろう。」


「そのようですね。」


苦笑しながら答える。


「最初は獣人奴隷連れたお忍び貴族かと思ったが、あんたここは初めてっていってたな。外壁の大きさにはびっくりしただろ。ラーカイル王国首都ラーカイル。この国が100年前までは小国だっていうのが未だに信じられねぇぜ。」


ここ首都だったのか!?

そりゃ大きい訳だ。


「たしか、ダンジョンで賑わってるんだろう?」


「話では、紅のドラゴンを国王が地下に閉じ込め、そのドラゴンの魔力がダンジョン化したとか。そういう、よくあるはなしになっている。」


ドラゴン?

ドラゴンのダンジョンマスターを国王が捕まえて地下に閉じ込めたということか?

ダンジョンを一度見て見たいな。


「そのダンジョンは誰でも入れるのか?」


「ああ、探求者ギルドに入れば誰でも入れるぞ。」


「探求者ギルド?」


「よその国では冒険者ギルドとかも言われてるな。この国だとダンジョンに潜るしかないからな。それで探求者だ。」


「ダンジョンの中はどんな感じなんだ?」


「なんだ、おまえ、ダンジョンに入るのか?」


「少し、見て見たくてな。」


ほかのダンジョン。ゲームみたいだ。興味がわかない方がうそだ。


「ここのダンジョンは罠などは少なめだが魔物の質が濃いんだ。群れることがないが1匹1匹が強い。素人には厳しいだろうが、しっかりと対策を積んだ奴なら美味しいだろうよ。素材もこの通り美味しいしな。」


そう笑って言いながら串を指差す。

もうすでに食べ終わっているアコが目で追いかける。

半分残っている串焼きをアコにあげて、亭主に聞き返す。


「なるほどな。その探求者ギルドはどこにあるんだ?」


「そこの道をしばらく進めば円街道だ。左側に行けばすぐにわかるさ。」


「ありがとな。いってみるよ。」


「いや、俺もこんな美味しそうに串を食べてくれる奴は久しぶりに見たから嬉しいぜ。」


アコを見ながらそう言う。


「この国の人は獣人が嫌いだと聞きましたが。」


「俺はそんなものには飽き飽きしててな。」


「仲間…ですか。」


「俺の名前はアルカード・ビルッド、アルでいいぞ。」


「俺はカケルです。橘カケル。」


「カケルか、もし素材を手に入れたら俺の店に来な。魔石以外ならなんでも買取るぜ。獣人連れだといろいろ厳しいこともあるだろうが、がんばれよ。」


そう言って後ろを指差す。

なるほど、こんな表通りとは言いづらい、あまり人が通らない道で出店を出しているのは店の裏での副業か道楽なのだろうか。


「もし手に入れられたら、寄らせていただきます。」


「ああ、あと宿がまだなら【月夜の光】ってところに行ってみな。獣人連れでも泊めてくれるはずだ。場所は探求者ギルドで聞いてみるといい。」


「これじゃあ、串をもう2本買わないと行けなくなりますね。」


「ハハハっ、素材を売りに来るときについでに買って行け。」


「俺はもう少しレアっぽい方が好きです。」


「次きたらそうしてやるよ」


「では、また。」


「きおつけろよー。」


後ろで手を振ってくれるアルに手を振り返しながらアコの手を引いて歩く。


    *


言われた道をしばらく歩くと人が多くなってきた。

アコの握る手が心なしか強くなる。


大きな通りに出た。

人でごった返しており馬車がたくさん通っている。

アコがギュッとしがみついて来る。


左に曲がり歩くとひときわ大きな建物が見えてきた。

いかにも冒険者ってやつがたくさんいる。皮の鎧に、人より大きい大剣。弓使いのエルフや自分より大きいハンマーを担いだドワーフなどもいる。

道を歩いている時にはほかの亜人?はみなかったけどここにはいるみたいだ。

獣人だけがいないな。


中にはいってみる。

冒険者ギルドの中は酒場。と言うことはなかった。よくあるゲームとかだとここで必ず絡まれるんだけどな。

普通の役所っぽい感じだ。

受付はあそこか。


「ラーカイル冒険者ギルドへようこそ。未登録の方ですか?」


受付の人が美人なテンプレはどこの世界も共通らしい。

でかい。


「はい。ダンジョンに潜りたいのですが。」


「では、まずは登録が必要ですね。冒険者ギルドの説明はいたしますか?」


「お願いします。」


「冒険者ギルドとはダンジョンに入るの人たちのサポートをする場所です。ダンジョンに入るには冒険者ギルドの登録証が必要で、登録には登録料銀貨10枚と毎月銀貨1枚の維持費がかかります。」


「結構高いんですね。」


足らないぞ…


「昔は登録料はなかったみたいなんですがね、若者の死亡率が高く、その対策として登録量をあげたらしいですよ。」


「なるほど。あ、すみません、続きをお願いします。」


ニッコリと笑って応えてくれる。


「登録証を持っているとダンジョンの入場以外に、冒険者ギルドの資料を見ることができたりしますね。」


「素材の買取とかはしてないんですね。」


「ダンジョンで得た素材などは各商会で買取をしております。ですが、魔石のみは探求者ギルドに売る規約になっています。商会にも売れませんし、規約を破り売買をすると軍が動きますよ。この国の重要な収入源ですので。」


「わ、わかりました。」


アルの言ってた通りだが、予想以上に重い話だった。


「他に質問はありますか?」


「俺は見ての通り連れがいるのですが、登録は2人分必要ですか?」


「いえ、ダンジョンに入るためにはパーティのリーダーが登録証を持っていれば入れます。」


「なるほど。」


「登録いたしますか?」


「いえ…その、今は手持ちがないので、また後で来ます。」


「わかりました。お待ちしております。」


嫌な顔をせずニッコリと笑って応えてくれる。

いい受付さんだ。でっかいし。


「マスター、おっぱいばかりみてたの…」


冒険者ギルドを後にしたあとにアコがボソッと呟く。


「ち、違うぞアコ!あ、あれはそのだな、受付がたまたま高くなっていて必然的にこちらがすこし見上げる感じになっているからそうなっているように見えるだけでそんなことは決してないぞ!」


慌てて弁解するもアコは不機嫌そうに歩くだけだ。

これは串焼きをもう一回買ってやらないとか…?

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