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第四話:ケモ娘はいろいろとかんがえている。

アコ視点です。ほかのキャラの視点になるだけで書くのが難しくなりますね。

私の名前はアコ。

メルリア大森林のアランとディアの一人娘なの。

お父さんのアランは集落でもトップクラスの守り人で集落を守っているの。

その日はたまたまお父さんがお弁当を忘れちゃって、集落の外の見張り場にそれを届けに行くために集落からでたら、人間の獣狩りに捕まってしまってしまったの。

きっとお父さんもお母さんも心配しているの。


獣狩りに捕まってからはあまり思い出したくないの。

水も満足に飲めなくて、1日1回の食べ物も腐りかけのパンだけ。

暴力などは商品価値が減るからと、ふるわれなかったけど、先のことを考えるとそれが良かったのかどうかはよくわからないの。

でも、先のことを考える前に奇跡は起きたの。

捕まってから1週間ほどの、馬車での移動の途中で彼は現れたの。


『キミ!だいじょうぶ!?』


いきなり馬車が転がったかと思ったら、大きな声で人間の男の人が私の檻を掴んできたの。


「ひっ!」


思わず悲鳴をあげてしまったの。この1週間で人間は怖いものだと思い知ったから、つい悲鳴が上がっちゃたのもしょうがないとおもうの。


「飲んでいいよ。」


彼はそう言ってオレンジ色の飲み物を渡してどこかへあるいていく。

いきなり知らない人間に渡されたものを普段なら飲まないのだけど、一週間まともなものを食べていなくて、こんな美味しそうな果物の香りのする物を渡されて飲むなって言う方が無理なのっ!


もうなくなったの…もっとのみたいな…。


「でたい?」


戻ってきた彼の腕には鍵束が握られている。

コクリと頷く。

飲み物につられたわけではないけど、この人は他の人と違う気がする。

しばらく鍵を入れたり指したりしてガチャリと鍵を開けてくれる。


「キミの名前は?」


「あ、アコ…」


人間に名前を聞かれたの。

この1週間、ずっと物扱いされていたから、なんだか、やっと〈人〉に会えた気がしたの。


「どこからきたの?攫われてきたの?」


「メルリア大森林の民…だけど、人に攫われちゃったから…[穢れ者]はもう森に戻れない…の…うぐぅ」


攫われてもう戻れないのだと自覚して、堪えていた悲しみが止まらなくなっちゃったの。もうあの森には戻れないんだと考えると涙が勝手に…。

そうやってどうしようもなく泣いていると、


「アコ!君は今日から僕の家族だ!」


優しく抱きとめてくれる。

暖かいぬくもりを感じた。




懐かしい感覚で目がさめる。昔よく寝るときにお母さんに頭を撫でてもらっていた。

獣人族の耳と尻尾は大切なもので、親しい人にしか触らせないというしきたりがあるの。

大人になると親子でも触らなくなるので、親は子が小さいうちに一生分の愛情を込めて撫でるのだ。


「キャッ!」


「ぐふっ!」


目の前に知らない男の人がいて、つい、蹴っちゃったの。

壁際まで反射で逃げて警戒しちゃったけど、私はそこで気づく。

私はダンジョンコアで、この人はダンジョンマスターなのだと。


「お、おはよう…」


「………」


よくわからないけど、やっぱりこの人は他の人と違う感じがするの…。

人間はみんな悪い人だと思っていたけど、この人は…マスターは…優しい感じがするの。


「の、のむ?」


「…」


おどおどとしながらマスターがオレンジ色の飲み物を渡してきたの。

嬉しいのを我慢しながら飲み物を受け取るの。

やっぱりこの飲み物はおいしいの。いままで飲んだ中で一番おいしい。こんな濃厚なものをつくるのに一体幾つの果物が必要なの?

森の中では育てることをしないので、果物はなかなか手に入らないものなの。


気づいたらもう飲み終わっちゃったの。もう一杯ほしいの…。でも、そんな図々しいこと言えないよね…。


そんなことを考えていたら、マスターが今度はお肉を挟んだサンドイッチを渡してくれたの。

すごく美味しそうな匂いがして、飛びつきそうになるのを我慢してゆっくりと受け取ったの。

1週間まともなものを食べていなかったから、お腹が限界なの。


久しぶりに食べたご飯はすごく美味しかったの。お肉ってこんなに柔らかかったんだ。集落では肉は硬いイメージだったけど、このお肉は口の中でとろけるみたいに柔らかいの。食べるのがたまらないよぉ。


もうなくなっちゃった。

こんなにおいしいものをくれる人が悪い人な訳ないよね。ちょっとは信用して…いいのかな?

それに私はきっと今1人になると生きていけないと思うの。

そういう意味でも、しっかりとマスターのお役に立てるように、捨てられないようにしないと…

そう思ったら自然と近くに寄れて、


「あり…がとう…」


なぜか目を見るのが恥ずかしかったの。

なんでだろう。


「も、もっとたべる?」


マスターの顔が見れなくて、うつむきながらサンドイッチを受け取るの。嬉しくて耳が動いちゃうの。獣人族は、特に子供は嬉しいと耳と尻尾が勝手に動いちゃうの。大人になると抑えたりもできるようになるみたいだけど…。


もらったサンドイッチを食べ終わったときにマスターが話しかけてきたの。


「アコ、でいいんだよね?」


「はい、マスター。」


つい、マスターと言ってしまった。

マスターがいきなり前かがみになる。

あ、あれ。マスターって呼んだらダメだったのかな。怒られちゃうかな…。

でも、なんかニヤニヤしてる?だいじょうぶかな?


「…?」


小首を傾げる。


「ダンジョンコア…なんだよね?」


マスターが聞いてくる。

私は、ダンジョンコア。

マスターの…マスターのなんなんだろう。


「そう…らしいですね?」


つい聞き返す感じになってしまった。


「どんなことができるか、わかる?」


どんなこと…?

どんなことができるんだろう。

そう考えると自然と3つのことが思い浮かんだの。

こんなこと知らないのに、でも、前からずっと知っていたかのような…。

不思議かんじなの。


「え、えっと…ですね、

[生物型ダンジョンコアは異空間にダンジョンコアを生成できる。ただし1階層に限る。]

[入り口を自分の周囲3m内に任意に出現させることができる。範囲内なら大きさは自由。ただし一つに限る。]

そ、それと… 」


それと、ダンジョンマスターは魔力を消費し任意にダンジョンコアを別のものへと移し替えるかとができる。


「それと?」


「い、いえ…なんでもないです…この二つしかわから…わかりま…せん。」


つい嘘をついてしまった。

もしこのことを教えたらマスターがアコの事を役立たずだと思って捨てて別のものへと行っちゃうのではないかと思ってしまったからだ。

マスターがアコと一緒にいるのは、アコがダンジョンコア?だからだとおもうの。

きっと変えれるならこんな獣人なんて…嫌だとおもうの…。


「なるほど、とりあえず入り口だせる?」


マスターは気づいてないよね?

捨てられないためにもマスターの役に立たなくてはならないの…っ


「や、やってみますっ。え、えいっ!」


よくわからないけど目の前に扉が出てくるイメージで両手を前に出して見る。


そしたらほんとに扉が出た。


「ほ、ほんとにでたの…」


驚いてつい口に出てしまった。


呆気にとられたのをなんとか取り戻してマスターのために扉を開けようとするけどなかなか開かない。

結局マスターの手を煩わせてしまった…うぅ…


中に入るとびっくりした。


「大森林みたいなの…」


そう、アコたちが暮らしていたメルリア大森林のような森だったの。

もっと狭くてジメジメした洞窟見たいのを想像していたの。


「ちょっとみて回ろうか。」


周りを歩いてみるけど魔物の気配も痕跡がない。この森には何もいないのかな?

アコはまだ集落の外にでたことがなかったから、詳しくはわからないけど…


木の周りをぐるっとまわっただけで、本当にちょっとみただけで戻ってきたの。

もうちょっといたかったな…。

森にいた幸せな頃を思い出してしまったけど、いつでも扉を出せるからすぐ来れるよね。


「アコ、このドア消せるか?」


「…や、やってみますっ」


いきなりドアの前でマスターに言われたから少し反応が遅れちゃった。

慌てて扉を消そうと、扉を出した時みたいに腕を前に出してみる。

あ、あれ。消えないよ。消えてっ!消えてっ!


「消えません…」


しばらく試したみたけど全然消えないの。


「そうか、中に入ると消せないのか」


「ご、ごめんなさい…」


「アコが謝ることじゃいさ」


マスター、怒ってないかな?

アコ、いらない子だと思ってるかな…。


「アコだけ外にでて扉を消してみてくれるか?」


「は、はいっ」


マスターがまた次の指示を出したの。

今度こそはマスターの役に立つの!


マスターが開けてくれた扉を通って、マスターが扉を閉めて、しばらくしてから閉じろっ!って腕を前に出してみる。

すると今度はちゃんと扉が消えた。

そこでマスターが中にいたままで、また扉をちゃんと出せるか心配になったの。


「マ、マスター!」


手を前に出してまた扉を呼ぶ。

よかった、ちゃんとでてきたの。

すぐに扉を開けてマスターが出てくる。


「マスター、どうでしたか?」


「ああ、なかなか役に立ちそうだ。いい子だな、アコは。」


マスターはそう言ってアコの頭を撫でてくれた。


「ま、ますたぁ」


びっくりしたの。

恥ずかしくて少しうつむきながらマスターを見る。

そしたらすぐになでるのをやめてマスターが後ろを向く。


「アコ、戻って話の続きをしようか。」


「はい、マスター。」


恥ずかしくて赤くなった顔をなんとか抑えようとしながら最初にいた場所に戻るの。


今度はちゃんと嘘をつかないでしっかりとマスターとお話をしよう。

これからは、マスターしかいないのだから。

マスターと一緒にしたらお父さんとお母さんにもまた会えるかもしれない。集落に戻るのは私が穢れ人だからできないけど、きっと挨拶くらいはさせてもらえると思うの。


お父さん、お母さん。会えないのは寂しいけど、アコ、ちゃんと生きようと頑張るよ。人間は怖い人ばっかだったけど、マスターみたいに優しい人もいるんだって、わかったから。

マスターの撫でかた、優しくて、お母さんみたいだったな。

アコちゃん、喋る時は敬語になるようにがんばっているようです。気が抜けると素がでちゃうんだろうな。

次話は今日の夜頃投稿できるといいな。

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