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第三話:ケモ娘とおしゃべりしてみたい。

「キャッ!」


「ぐふっ!」


心地よい朝、初めてあった猫耳娘と寝た夜は気持ちよく眠れた。

朝一番に悲鳴とともに腹を蹴られなければ…

眠たい目を開けて周りを見ると壁側の奥のほうでアコがふーっ!ふーっ!と威嚇?しながらこちらを見ている。なんだこの可愛い生き物は。

そっか、俺としては毛布をもう一枚出すのはもったいなくて一緒に寝たんだけどアコからして見たら朝いきなり知らない男に抱かれながら寝ていたわけで…べ、別に変なことしたわけではないぞ!断じて!そういうのはもっと段階を積んでだな?


「お、おはよう…」


「………」


お互いの重い沈黙がのしかかる。

ここでコミュニケーション能力が高いやつはどうにかするんだろうが…

無言でオレンジジュースを差し出すくらいしかできなかった。


「の、のむ?」


「…」


耳をピクピク動かしながらゆっくりと警戒しながらもオレンジジュースを受け取ってくれる。もふりたい。


朝ごはんはどうしようか、昨日の夜は適当に済ませたけど、お肉とかでいいのかな。お肉料理とか何か出せるのかな?

ハンバーガーとか出せないかな。

出せなかった…

もっとアバウトにいくか?

なにか肉の挟まれたサンドイッチのようなものカモン!


《ダンジョン魔力ポイント3消費。現在56ポイント。》


なんか黒い固そうなパンに肉と野菜が挟まって白いソースがかかったサンドイッチだ。

ふむ、丸パンを出すよりコスパがいいのでは?

いや、そもそも魔力で食べ物を出す時点でコスパが悪い気がするのだが…

これ、何の肉なんだろう?うーん、鳥っぽいかな?

自分の分の肉サンドイッチとオレンジジュースをだして、アコに肉サンドイッチを渡す。

アコは今度はあまり警戒せずに、でも、耳をピクピクさせてゆっくりと肉サンドイッチを受け取る。オレンジジュース1個くらいで完全に警戒は解けないか、そんな安いものだったらよかったのに。ちょろいんにもほどがあるけど。

そこでもうオレンジジュースを飲み干してることに気づく。苦笑しながら自分の分だったオレンジジュースをあげる。

小さい口で意外と具沢山な肉サンドイッチを頑張って頬張っている。

すごいかわいい。これが3ポイント。安いですね。ダンジョンマスターになってよかった。


「あり…がとう…」


ちょこっと近くに寄ってきたアコが少し赤くなりながらお礼を言ってきた。

死ぬかと思った。

心臓が締め付けられて危なかった。

ちょろいダンジョンマスターである。


「も、もっとたべる?」


何も考えられなくて食べかけだった肉サンドイッチをあげていた。

うつむきながら無言で受け取ってむしゃむしゃたべる。耳がピクピクとせわしない。かわいい。


追加で出したレモンティーを飲んで一息ついてオレンジジュースを飲んでいるアコに話しかける。


「アコ、でいいんだよね?」


「はい。マスター。」


がはっ!

まさか生まれてこれまでの人生でかわいい猫耳娘に上目遣いでマスターなんて言われる日がくるなんて。ダメージがすごい。効果は抜群だ。急所に当たった。一撃必殺だ。みたいな三連続の不条理な攻撃を感じる。

落ち着け俺。

ひっひっふー。ひっひっふー。


「…?」


呼んでおいて何も言わないことを不思議に思ったのか小首を傾げている。

な、なにをはなすんだったか…


「ダンジョンコア…なんだよね?」


自分がダンジョンコアにしといてなにを言うか。


「そう…らしいですね?」


自分でもまだよくわかっていないらしい。俺もダンジョンマスターのことについて全然なのだから起きたばっかのアコはなおさらだろう。


「どんなことができるか、わかる?」


「え、えっと…ですね、

[生物型ダンジョンコアは異空間にダンジョンコアを生成できる。ただし1階層に限る。]

[入り口を自分の周囲3m内に任意に出現させることができる。範囲内なら大きさは自由。ただし一つに限る。]

そ、それと…」


「それと?」


「い、いえ…なんでもないです…この二つしかわから…わかりま…せん。」


「なるほど、とりあえず入り口だせる?」


「や、やってますっ。え、えいっ!」


両手を前に出してかわいい気合いを入れる。ほんとかわいい。


「ほ、ほんとにでたの…」


リアルどこでもドアここに実現。

出した本人が呟くくらいのは魔法のような非現実感。いや、魔法なんだろうけどさ。

高さ2メートル、横幅1メートルくらいかな?鈍い銀色の雰囲気のある扉だ。

この扉って壊れるのかな?

壊れてもまただせるのかな?

要検証かな?

検証して壊れて扉出せなくなったりとかしないかな…


アコがん〜っ!っと頑張って扉を開けようとしているのを後ろから手伝う。


中に入って驚いたのはアコだった。


「大森林みたいなの…」


中は森だった。

それもただの森ではなく、木が高さ2〜30メートルくらいある。ここ本当にダンジョンなのか?

木の太さが尋常じゃない。ちょっとした家くらいある。むしろ普通の家よりも大きいまである。


「ちょっとみて回ろうか。」


中を少し歩くけどこれは迷うな…

少し歩いただけなのに方角がわからなくなってくる。ドアが見えないところに行くと危ないな…


そういえばドアは中に入っていたら消せるのかな?

入り口に戻って試してみよう。


「アコ、このドア消せるか?」


「や、やってみますっ」


ドアに向かってちょこちょこと腕を出したり降ったりする。いちいち動きが可愛い。


「消えません…」


「そうか、中に入ると消せないのか」


「ご、ごめんなさい…」


「アコが謝ることじゃいさ」


健気に謝るアコちゃんまじ天使。

アコが中に入るとダメなのか、人がいるとダメなのか。試してみるか。


「アコだけ外にでて扉を消してみてくれるか?」


「は、はいっ」


扉を開いてアコを外に出しまた閉める。

少し離れると扉が消えた。

お、人間を閉じ込めることもできるのか。これは役に立つな。


しばらくしたらまた扉が出てきた。びっくりした。もしかしたらまたここに扉が出てこなかったらどうしようかと焦った。


「マスター、どうでしたか?」


「ああ、なかなか役に立ちそうだ。いい子だな、アコは。」


外にでたらアコが笑顔で迎えてくれる。つい褒めて頭を撫でてしまった。猫耳すごいもふもふ。もふもふ。


「ま、ますたぁ」


アコが顔を真っ赤にしてこちらをみてくる。

あかん、理性が飛びかけた。

お、おちつけ、素数を数えろ。


と、とりあえず今は魔力ポイントもそんなないのでやることはない。

他にも聞きたいことがあるし戻ろうか。


「アコ、戻って話の続きをしようか。」


「はい、マスター。」


マスターと呼ばれる幸せを噛み締めながら簡易キャンプへと戻る。

今気づいたが火が消えてる。

魔物とか獣がいたら危なかったかも…

うーん、明日からはちょくちょく起きて火を絶やさないようにしなければ…


「俺も聞きたいことがたくさんあるし、今日1日はここでおしゃべりとしようか。」


床に座りアコと向かい合い、日がまだ登りまもない時間から、夢にまで見たケモ娘とおしゃべりとしゃれこむのだ。

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