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第一四話:ケモ娘はダンジョンで大活躍のようです。

「すみません、この娘でも使えそうな弓ってありますか?」


鉄屑工房と呼ばれた武器屋の30代くらいの店員にそう声をかける。

この店は工房と武器屋が重なった作りをしていて、二つを兼ねているのだろう。


店員がアコを見てから奥の方を指差す。


「奥のショートボウならいけるはずだよ。でも、あんまりつよくはないからね。」


「問題ない。」


店の奥へといく。

いくつか小さめの矢が並んでいる。

値段は銀貨3〜10枚ってところか。


「アコ、どれがいい?」


「これ、アコが使うの?」


「俺も使ってみるけど、当面のアコの武器にしようとおもってる。俺はナイフがあるし、アコも手ぶらじゃ怖いだろう?」


「が、がんばってみるの。」


「それで、どれが気に入った?弓の良し悪しなんてわからないから、アコが好きなの選んでいいぞ。」


と、いったものの銀貨5枚くらいのでお願いします。


「えーっとね。これがいいかも。」


「これか?」


壁にかかった少し黒色の弓を指す。


「お父さんが使っていたのに少し似てるの。」


「なるほど、じゃあ、これにするか。」


銀貨4枚と銅貨30枚だ。

店員の元に持って行く。


「これをくれ。」


「あいよ。矢はどうする?」


銀貨5枚を出して、


「弓の代金の残りでどれくらい買えますかね?」


「矢筒も込みで25本くらいかね。」


「じゃあ、それだけください。」


「あいよ。ちょっと待ってな。」


そう言って店の裏側に入って行く。

しばらくして矢筒を持って帰ってくる。


「中に矢が25本入ってるから。それと、これはおまけだ。」


そういって革のベルトのようなものを渡してくる。


「古くなってるが、肩にかけてそこに弓を吊るすんだ。」


なるほど、弓を背負うためのものか。


「ありがとうございます。」


「またきてくれよ。」


アコに弓を背負わせてから手を握る。


「いこうか、アコ。」


「はい、マスター。」


アコと2人、アニーに聞いた道順をたどりダンジョンを目指す。


ダンジョンは城の少し手前にあるらしく、だんだんと近づく城に感嘆する。


「すごいなぁ」


「とってもおおきいの…」


この城は、この国が大きくなって新しく立て直したものでまだ100年も経っていないらしい。

城壁も同じだ。


しばらく歩くとアニーが言っていた白い建物が見えてくる。

パッとみは教会のような感じだ。

国が管理していて、あそこで魔石の買取もしているらしい。

確かに出入り口で管理したほうが楽そうだよな。

ほかにも治療魔術師なども控えているらしい。

そう、魔法使いである。やっぱ魔法使いるのか。

かなり高額みたいだけどね、背に腹は変えられないとかそういうことだろう。


建物の前の兵士に探求者証を見せる。

兵士はそれを見て頷くと道を開けてくれる。

軽く会釈して中に入る。

中に入ると広い講堂になっており、右手側の奥にカウンターがある。あそこで魔石などを売るのだろう。

左手側にはいくつか部屋がある。

あそこが治療部屋とかなのだろうか。


左の奥に進み、下へと続く階段が見えてくる。

これがダンジョンの入り口が。

静寂が支配する薄暗い部屋の中に窓から差し込む光が階段に注がれ、少し神秘的に見える。


「いこうか、アコ。」


「はいっ!」


アコはやる気満々だ、怖くないのだろうか。


「流石にダンジョンのなかで手を繋ぐのは危ないな。」


そう言って手を離す。

少し不満そうなアコな顔をするアコに、


「帰りも繋いであげるから気を落とすなよ。」


そう声をかける。

ここで不機嫌になられて死にましたじゃ後悔もできないしな。


階段を下りながらアコに声をかける。


「通路には魔物は出ないらしいけど警戒を怠るなよ、何も敵は魔物だけじゃないからな」


「わかってるの。」


真剣な顔で応えるアコ。そこらへんは俺よりもわかってるのかもしれない。

人間がどれほど恐ろしいかを、いやというほど。


階段を下りた先は思っていたよりも明るかった。

天井と廊下がほのかに光っているのだ。

資料に書かれていたけどこれはすごいな。


ライトアップされた道がダンジョンではなかったらゆっくりと見て回りたかった。


「綺麗なの…。」


「ダンジョンじゃないみたいだな。」


「そうなの…。」


そのあと何度か分岐点を過ぎて少し歩くと扉に当たる。


「よし、アコ、準備はいいな?」


「大丈夫なの。」


アコに事前に集めてもっておいた石ころを渡す。


「なかに入ったらアコはすぐにダンジョンへの扉を出して、ダンジョンへの扉を開けたら石ころを魔物に投げてなかに入るんだ。」


「わかったの。」


「じゃあ、いくぞ。」


ゴクリと唾を飲む。

手に汗が滲む。

大丈夫、俺はやれる。


ガタンっ、と音を出しながら簡単に扉が開く。

2人で走ってなかに入る。


中は情報通り丸い小部屋になっている。

広さは半径10メートルくらい。

奥に扉が3つほど見える。倒したらあのどれか一つに入れるらしい。


そして真ん中に赤いイノシシがいる。

レッドボアだ。

大きさは1メートルくらいで、高さは俺の太ももあたりか?

黒色の大きな二つのツノが怪しく光る。

こちらに気づいて鼻息を荒くしはじめた。


アコが出した扉を開く。

そこでレッドボアが前足で地面をかく。

突進する合図だ。


「アコ!なかに!」


そういってすぐに察したのかすぐになかに入るアコ。遅れないようにそれに続く。

落とし穴の上の床を渡りきり、振り向く。

ちょうどレッドボアが突進をしてきたところだった。

床を消す。


ふぎゅあ


レッドボアの変な叫びが穴の下から聞こえる。

ダンジョンのメニュー画面を出しポイントを確認する。


23ポイント。

1匹19ポイントか?

人間より少し多いか同じくらいか?

なかなか美味しいな。


落とし穴を周り、横から渡り扉をでる。


「アコ、魔石を回収したいから落とし穴の下に出してくれ。」


「わかったの。」


アコが出した扉をくぐりレッドボアの死体をみる。

顔がぺしゃやこになっていた。

結構グロいな…。


「魔石だけにできるか?それとも肉もとったほうがいいか?」


確か肉は血抜きなどしないといけないんだったか?

やめとくか。


「マスター、どうするの?」


そうアコが聞いてくる。


「魔石だけにしてくれ。」


アコがレッドボアを消して魔石だけが残る。

魔石は5センチくらいの大きさでちょっと大きい。

血もついてないのでそのまま革袋にいれる。


「よし、なかなかいい調子だな。次へ行こうか。」


「はいなの!」


アコが元気よく応える。

少し慌てたが、この調子なら問題なくいけそうだな。


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