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カップラーメンを食べたい

作者: 才丈蓮

 カップラーメンを食べたい。


 唐突に沸き上がったこの衝動に抗う術を、僕は知らない。

 あいにく、家にカップラーメンを常備しておく習慣はない。

 くたびれたスウェットのポケットに鍵と財布だけを入れて、深夜のコンビニへと向かう。


 夜道を照らすのは頼りなく光る外灯と、遠くに見えるコンビニの看板だけ。

 若干早足になりつつたどり着いたコンビニには、だるそうに立つ若い店員しかいなかった。

 独特のかけ声を背に、目当ての品を探す。

 醤油に豚骨、塩に味噌。

 味から量までたくさんの種類がある。

 僕は迷うことなく昔からある一番オーソドックスなタイプを選び、会計を済ませると、ほとんど駆け足で帰宅した。


 しまった。

 封を開けていざ、というところで、過ちに気づく。

 お湯を沸かしていない。

 3分で食べられる、それがカップラーメンだ。

 3分後の僕はもう熱い麺をさましながらすすっていて、そこから3分後の僕は深夜にカップラーメンを食べてしまったことを悔いながら眠りにつく予定だったのだ。

 それが、いまからお湯を沸かしていたんじゃ、3分後には食べられない。

 水が沸騰するのにどれだけの時間がかかるのかなんて、細かいことはよくわからないけれど、少なくとも3分後に麺を食べられないことはわかる。

 いつもならちゃんと火をかけてから家を出るのに、今日に限って忘れてしまった。

 もしかしたら最近火事のニュースが多いから、無意識に避けていたのかもしれない。

 もし次があれば、今度はちゃんと火をかけてから家を出る。

 僕は失敗を糧に成長できる男なのだ。


 そんなとりとめのないことを考えながらお湯を沸かし、3分待って、食べる。

 冷えた体に熱い麺とスープが染み渡る。

 やっぱり冬の夜にはカップラーメンだなと、遠くに消防車のサイレンを聞きながら、僕はカップラーメンを食べた。

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