ゲームは子供の趣味だからやめて大人の趣味を持とうよと彼女は言った
「何してるの?」
ぼくが携帯用ゲーム機で遊んでいると彼女が後ろから覗き込んできて言った。「ゲーム」とぼくが端的に答えると、彼女は「ふーん……」と言った。何やら含みがあるように感じた。
「……なに?」
気になったぼくはゲームを中断して彼女に訊ねると、彼女は呆れたような表情でぼくを見て言った。
「いや、子供っぽいなぁーと思って」
「どうして?」
彼女の言っていることが本気で理解出来なかったぼくは自分の首を25度ほど傾ける。
「ゲームって子供がすることだよ?」
「何でゲームが子供がすることなの?」
「それは子供がやってるからよ」
「…………」
では子供がやらないことをやれば大人なのだろうか。
「とにかく、大人の趣味を持った方がいいよ」
「大人の趣味って?」
「ダーツとかビリヤードとか」
「……他には?」
「ドライブとかボーリングとか」
「…………」
どれにも興味はなかった。確かにどれも子供がやらなさそうなものばかりだったが、的当てゲームは趣味じゃない。
「とにかく、子供と同じことやってたらダメだよ」
「ねえ」
「ん?」
ぼくの声に彼女は可愛らしく首を傾げた。
「ケーキとコーヒーあるけど食べる?」
「えっ、ほんと? 食べる食べる」
彼女はパッと顔を輝かせた。彼女は子供の頃から甘いものには目がないのだ。
「コーヒーには何か入れる?」
「砂糖とミルクかな。苦いの苦手なんだよね」
「……今度誕生日だったよね。遊園地にでも行こうか」
「やったー!遊園地好き!」
「…………」
バカだと思ったけど何も言わないのが大人だ。ぼくは黙ってケーキとコーヒーを用意した。
彼女の誕生日にはぬいぐるみでも用意してやろうか。
きっと喜んでくれるだろう。
彼女のことだからベッドの中に持ち込んで抱き枕にするかもしれないが、ぼくはそれを子供みたいとは思わない。
中学生の頃友達と外でポケモンをやっていたらたまたま出会ったクラスメイト(エアガンで武装していた。まさに武装中学生)に馬鹿にされました。友達は馬鹿にされることがわかっていたのか出会う前にゲーム機をポケットに隠していましたが僕はまったく予想だにしていなかったのでポケモンをやり続けていました。しかしぼくは馬鹿にされても何で中学生がポケモンやったらダメなのかなぁと内心で首を傾げるばかりでした。大人って的当てゲームが好きなのかな。