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漆黒の世界~友~

作者: 流崎 進

 あの日の夜、青年は走った


 親友のためだけに走った


 ものすごい勢いで吹きつけてくる雨と走るのを遮るような激しい雨


 そんな中でも青年は走る


 ただひたすらに親友のいる病院へと


 青年は泣いていた


 走っている途中こけたせいで泣いたわけではない




 時はあの日の昼ごろ―――青年は家で昼食をとっていた時のことだ

 突然、彼の携帯電話が鳴り響いた

 親友からの電話であり彼はなんの躊躇もなく電話に出る

 

 「もしもし、俺だけど」


 そういっただが、向こうから聞こえてきたのは親友の声とは違うものだった

 相手は名を名乗らず


 「親友の命が惜しければ、八千万を西口公園に用意しろ」


 と、一言だけいい、唐突に電話は途絶えた


 青年はあまりに突然のことで瞬時に理解ができなかった

 どうせイタズラ電話か何かだと思ったが、

 親友からの電話だったため確実にイタズラ電話ではないと考えられた

 なぜなら親友はイタズラなんかするような友達ではないからだ 

 そう考えるとだんだん怖くなりパニックになりかけた

 しかし相手は警察を呼ぶなとはいっていなかったことを思い出し、すぐに警察に通報


 そして警察の人との話し合いで青年は西口公園にいくことになり

 もちろん警察は公園の周りで待機することになった

 

 青年は幼い時に両親を交通事故で亡くし親戚に引き取られ、幼い時からいじめられていて

 行方不明になってしまった親友だけが青年の唯一の友人だった

 だからこそ彼は唯一の親友のためにいこうと思える

 

 そして彼は公園に来た

 八千万円の入ったスーツケースを持って

 公園には黒いコートにフードをかぶった者が一人こちらを見て立っていた

 青年は怒りと強い恐怖心を持ちながらその者に近づいてゆく


 「金は用意したか?」


 犯罪者とは思えないほどのきれいな声だった、その声からして女だとすぐにわかった

 

 「あぁ、これが身代金の八千万だ」


 そういいながらスーツケースを開く


 「よし、それを渡せ」


 近づきながら落ち着いた声で言う

 青年は少し悲しい気持ちになったこんな人すらも悪人になりえることに


 「先に俺の親友を返せ、あいつは何も関係ないはずだ」


 そういいスーツケースを閉じ、黒いコートを着た者を睨みつける

 黒いコートを着た者は足を止めコートの内ポケットに手を入れる

 

 青年は背中から伝わってくるような寒気を感じ、いやな予感がした

 予感は的中し黒いコートを着た者が内ポケットから銃を取り出し

 そのままこちらに向けてこちらに近づいてきた

 青年は動くことができず、その場で硬直

 そして黒いコートを着た者はスーツケースを手に取り公園から立ち去っていく

 警察は黒いコートを着た者の後を追おうとするが相手は銃を持っているためにうかつに近づけず、

 逃げられてしまう

 

 青年は黒いコートを着た者が去っていくのを見続けることしかできなかった

 青年は無力だということを実感させられた


 青年は警察と別れ、家に帰った

 青年は何も考えることができないまま、一刻に時が過ぎていた

 突然携帯電話が鳴り響く

 青年は身体をびくりとふるわせる、誘拐犯からの電話を思い出してしまったからだろう

 青年はおそるおそる電話に出る


 「はい・・・もしもし」


 すると向こうから聞こえてきたのは警察の人の声だった

 青年は警察の人が言った言葉に驚いた

 なんと親友が見つかったというのだ、しかし親友は今、意識不明の重体で病院に搬送されたようで

 青年はそのことを聞き、病院まで駈け出した雨が降っているのに傘も待たないまま

 

 そして現在まで至った

 青年は転ぼうが泥だらけになろうが構わず病院まで全力で走った

 彼が病院に着いた時、彼はからだじゅう傷だらけで足もふらふらだった

 彼の親友は今も意識が戻っておらず意識が戻るかもわからない状態だった

 彼は病院から出て、ただ歩いていた


 唯一の親友がこんなことになってしまったのには自分にも責任があると罪悪感を抱いていた

 

 歩いていると突然後ろから声がした


 「君はとてもかわいそうなお人だ」


 青年が振り向くとそこには

 シルクハットに仮面そして燕尾服というおかしな格好をした男が傘をさして立っていた


 「君、過去をやり直したいとは思わないかね?」


 そうたずねてきた

 もちろん彼は親友をこんな状態にしてしまったことに罪悪感を感じていてやり直したいと思っている

 だから青年は思うがままに「YES」と答える

 そう言うと思っていたのか謎の仮面の男はうれしそうに


 「よしわかった、君に一度だけチャンスを与えよう過去を一度だけやり直すというチャンスをね」


 と言い近づいてくる、実に不気味で気味が悪いが

 謎の仮面の男は指を鳴らす


 その瞬間―――目の前は青年の家の中へと変わり、からだじゅうにあった傷がなくなっていた

 突然、携帯が鳴り響く

 身体をびくりとふるわすが携帯を手に取り電話に出る

 

 「はい、もしもし」


 すると向こうから聞こえたのは聞き覚えのある声だった


 「親友の命が惜しければ、八千万を西口公園に用意しろ」


 という昼ごろに聞いた声だった

 電話はあの時のように唐突に途絶える

 まったくもってあの時と同じだ何がどうなっているのか分からない

 そう思っていると謎の仮面の男に言われた言葉が脳裏をよぎる


 「君に一度だけチャンスを与えよう過去を一度だけやり直すというチャンスをね」


 ここは過去の世界ということに気づき

 青年はあの時と同じように警察に通報した


 青年は一人で公園に来た

 だが彼は自信に満ちていた、公園の中にいる黒いコートを着た者に近づいていく

 黒いコートを着た者はこちらを向いて待っていた


 「金は用意したか?」


 いつ聴いてもきれいな声だ そう思いながら


 「あぁ、これが身代金の八千万だ」


 といいスーツケースを開く

 

 「よし、それを渡せ」


 黒いコートを着た者が近づいてくる

 あと数メートルというところで青年はスーツケースを閉じる


 その瞬間―――まわりの木の陰などから警察が飛び出し黒いコートを着た者を取り囲む

 青年はその場で立ち上がり


 「さぁ、俺の親友を返してもらおうか!」


 といい、黒いコートを着た者を睨みつけた

 

 そして青年の親友は助けだされ、親友を誘拐した女は逮捕された

 彼らはいつまでも仲良くしていくことだろう

 どんなことがあっても助け合い乗り越えていこうと誓ったのだから



あるビルの屋上――――――

 謎の仮面の男―――黒影が街を見下ろしていた


 「まったくもって人間は面白い、この世界はまだまだ知りたいことがたくさんありますねぇ

  フフフ、フハハハハハハハハハハハハハハハ」


 ひとり言をつぶやき、これからのこの世界を楽しみにするように笑った


  それは今後のこの世界を見据えているようでもあった―――――――――――――――――

この続きを書こうと思っています

小説タイトルは 漆黒の世界~復讐~ です

友編から復讐編に変わり 主人公 黒影 再び登場であります!!

この短編集は四つぐらい続きます

興味がある人はまた見てみてください!!


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