43.銀髪のヒーロー6
――俺は、第二章を読んでいない。
新刊の発売日。
仕事帰りに本屋に走って、轢かれて死んだ。
だから俺は、知らない。
第二章で何が起きたのか。ライナ王女の秘密がどうなるのか。物語がどうなるのか。
もしかしたら、第二章では、ライナ王女の秘密が明らかになったのかもしれない。
本来なら、正ヒーローはこの俺だ。
そしてルートはざまぁされる、当て馬元婚約者。マレーネへの想いに気づき縋ってくるも、今さら遅いという、物語を盛り上げるための悲しきサブキャラ。
……の、はずだった。
なのに現実では、ルートは王女と浮気していなかった。というか、王女は女ですらなかった。
そんなの、俺は聞いていない……読んでいない……!!
第二章で明らかになるとしても、どうして第一章は物語通りに進まなかったのだ。
……やはり俺が、本物のセドリックではないせいだろうか。
そもそもルートも、漫画で読んでいたときの印象とはえらく違う。
認めたくはないが、あいつは悪い奴ではない。
……悔しいが。
さすが、少女漫画の主要人物。
見た目は俺に劣らず完璧で、中身も俺と違ってきちんと備わっている。
それに……マレーネに対する気持ちも、俺に劣らず――いや!
それは、俺に勝る者などいない!!
俺は生まれ変わってまでマレーネのそばにいたいと願った男だ。
その願いを、女神様が叶えてくれたのだ!
やはり、俺がマレーネと結ばれるのが正しい未来……!!
俺は、マレーネの笑顔と平和を守るために、ライナ殿下と婚約した。
しかし、これは世間を欺くための政略的な婚約だ。
マレーネが安心して笑える世界を守るために、一時的に、仮の、婚約をしただけだ。
俺が守りたいのは、マレーネのあの笑顔。ただそれだけ。
だから俺は、諦めたわけではない。
第一章は漫画通りに進まなかった。俺が転生した時点で、物語は変わってしまったのだろう。
ならば――。
第二章だって、変えられるはずだ。
原作を知らない?
結末がわからない?
だからどうした。
未来がわからないのなら、俺が作ればいい。
この物語は、作者が描くものではない。
俺たちは存在し、生きている。
「マレーネ……俺は君を、諦めない」
拳を強く握りしめる。彼女を想うと、胸に熱いものが灯る。
もう間違えない。もう逃げない。もう後悔しない――。
「第二章だろうが、第三章だろうが――」
俺たちの人生は、死ぬまで終わらない。
ハッピーエンドは、俺が決める。
なぜなら俺は、この漫画の正ヒーロー、セドリック・エーレンベルクなのだから!
銀髪は諦めない。だって正ヒーローだから!笑
彼の未来に幸あれ。と思ってくださった方はどうか評価☆☆☆☆☆を塗りつぶしていただけると嬉しいです!
次でラストです。後ほど更新します!(*.ˬ.)"




