表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/9

03.王女様を選ぶなら、私とはお別れいたしましょう!

 二人は、人目を避けるように、ひそひそと何かを囁き合いながら廊下を進んでいった。

 その距離の近さは、決して護衛と王女様の距離感ではない。

 とても親しい者の距離であることは、すぐにわかった。


 むふふふ……やっぱり、想像通りの展開。


 やがて、一室の扉の向こうへと消えていく二人。

 私は少し距離を取りながら、その後を追った。

 足音を殺し、息を潜めて、扉の前までたどり着く。

 そっと耳をそばだてると、中から二人の声が聞こえた。


『……さっさとして』


 それは、急かすようなライナ様の声だった。

 少し苛立っているのか、いつもよりも声が低い。

 おそらく、ルート様の前でだけ見せる、少し我儘な姿なのだろう。

 そんな想像をしていると、続いて聞こえてきたルート様の言葉に、私の心臓が跳ねた。


『わかっています。……しかし、きついですね』

『痛……っ、下手くそ、もっと優しく!』

『すみません、しかし、これは苦しいな……』


 低く、抑えたようなルート様の声。


 ――え? きつい? 痛い? もっと優しく……?


 頭の中で、想像が一気に膨れ上がる。


 あの、クールで真面目なルート様が服を乱し、たくましい身体を露にして、眉間を寄せ、苦しそうにライナ様を抱いている姿。

 あの、静かで気品高い王女様が、白くて滑らかな肌を露にして、ルート様の前でだけ見せる、少し我儘で乱れた姿。


 もしかして、ルート様がライナ様の尻に敷かれている感じ?

 ルート様がMで、ライナ様がSなの……?


 とにかく二人は、既にそういう仲なのね――!?


 婚約者がいる護衛騎士と、国王の大切な王女様が?

 この夜会の最中に?

 二人でこっそり抜け出して?


「……やっばい、興奮する……熱い展開だわこれ」


 口元が、思わずにやける。頬が熱い。

 これから銀髪のヒーローが助けに来てくれて、溺愛されることが決まっているはずのヒロインである私は、余裕の気持ちで見ていられる。


 ああ……でも、あんなに美しい二人のそういう(・・・・)展開(・・)を、目の前で見てしまって本当にいいのかしら?


 さすがにドキドキしてきた。


 けれど、ここまで来て、逃げるわけにはいかないわよね。一応私は、浮気されているかわいそうなヒロインなわけだし?


「こんなチャンス、絶対ない……! いくわよ!!」


 私は覚悟を決めて、扉を勢いよく開け放つ。

 そして、強気の主人公が言いそうな言葉を、叫んだ。


「ルート様! 王女様を選ぶなら、私とはお別れいたしましょう――!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ