23.一夜明けて
遅刻しました( ;ᵕ;)更新です!
昨日は全然眠れなかった。
ベッドに入っても、目を閉じるたびに思い出してしまって――。
ルート様の低い声。
近すぎた距離。
頼もしい姿。
そして、自分の口からこぼれてしまった、あの言葉。
〝もう少し、このままで――〟
「……大胆すぎたかもしれない」
今思い出しても、頬がじわっと熱くなる。
私、どうしてあんなこと言っちゃったんだろう。
ああ、恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいいい……。
雷が苦手なのは本当。私は昔(前世)から、雷が怖かった。
でも、もし――あのときライナ様から通信が入らなかったら、私たちはどうなっていただろうか。
ルート様の真剣な表情。じっと見つめてくる視線は、私の唇に向いた気がする。
「~~~っ!」
考えただけで、駄目だ。
経験値がなさすぎて、あんなイケメンを目の前にするなんて、無理。
ルート様の表情が、脳裏に焼き付いて離れない。
「仕事……仕事よ! ほら、マレーネ! 頑張るのよ!!」
前世社畜だった私は、自分にそう喝を入れて、ライナ様の部屋へと向かった。
「おはようございます、ライナ様、ル、ルート様……」
「おはよう、マレーネ!」
「おはよう……マレーネ」
ライナ様はいつも通り、元気いっぱいだった。
ルート様は、少しぎこちない気がする。
今日にかぎって、マリアさんはお休みのようだ。
普通に挨拶しただけなのに、昨日のことが頭をよぎって、胸がざわつく。
意識しないように、意識しないように……!!
そう言い聞かせれば、余計に意識してしまうから不思議だ。
……うう、気まずい。
そんな空気を、遠慮なくぶち壊したのは。
「いやー、昨日の雷はすごかったな? 近くの木に落ちたらしい」
にやにやと笑っている、ライナ様だった。
「殿下……その話題は……」
ルート様が咳払いをする。
ライナ様……明らかに、昨日私たちが一緒にいたのをわかっていない?
でもどうして? さすがにこの魔石でも、監視や盗聴はできないはずだけど……。
「なんだ? 随分慌てているな。何かあったのか?」
「え? いえ、その……」
「夜中に通信が繋がったとき、ルートは随分静かだったもんな」
「!?」
「……やっぱり。どうして俺がマレーネの部屋にいるとわかったんですか」
「私に、わからないことはないからな」
「……」
堂々とそう答えるライナ様に、ルート様はいぶかしげな視線を向けている。
ああ……もう、顔が熱い。逃げ出したい……。
「……二人はいいな。楽しそうで」
「え?」
そんな私の耳に、ライナ様の少し切なげな声が、小さく響いた。
「あなただっていつも楽しそうじゃないですか。さぁ、陛下とのお食事に参りますよ」
着替えを済ませ、いつものようにライナ様を陛下との食事の場へお連れしようとしたルート様。
けれど。
「行かない」
「え?」
ライナ様は、はっきりとそう言った。
「今日は部屋で食べる」
「ですが……」
「いいんだ。ルート、私の朝食を部屋に運ばせて」
「……承知いたしました」
ルート様は、それ以上何も聞かずに頷いた。
こういうことは、たまにあることなのだろうか?
そういえば、ライナ様は昨日から機嫌がよくない。
陛下と、親子喧嘩をしたのかな……?
「食事が済んだら呼ぶから、おまえたちもいいぞ」
「はい……」
ライナ様は、私たちの顔を見ずにそう言った。
少し気になるけれど、ルート様が何も聞かないのなら、私も追及しないほうがいいよね?
「……おそらく、ライナ様の婚約者候補のことで、陛下に何か言われたのかと」
「え」
ライナ様のお部屋を出て歩いていると、ルート様が静かに口を開いた。
「さすがに、王女をいつまでも嫁がせないのはまずいからな」
「そうですよね……」
社交の場でも、貴族令息がライナ様に話しかけているのを目にしたことがある。
ルート様が庇えるときは庇っていたけれど、そうもいかないときもあるのだ。
そういえば、ライナ様の結婚ってどうなるんだろう?
確かに、王女であるライナ様が誰とも結婚しないなんて、無理な気がする。
でも、ライナ様は男だ。
まさか、男装令嬢との未来があったりして――。
なんて、また読者脳になっているわよ、マレーネ!
「陛下は、信頼できる者……さらには数年の間、白い結婚をしてくれる者がいいと考えているようだ」
「なるほど……」
〝ふり〟で結婚するのね。
それならやっぱり、ルート様が適任かもしれない。
もしかしたら、漫画では私とルート様の婚約が解消されて、ルート様がライナ様の婚約者のふりをすることになっていたのかな?
それじゃあ、私はやっぱり銀髪のヒーローと結ばれるのが、正しい未来なのだろうか――?
次回予告タイトル、「銀髪のヒーロー2」です!




