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19.閉じ込められ展開だ

遅刻しちゃった!更新です!!

 その日、私は一通の手紙を手に、王宮の外れにある一角へ向かっていた。


 これはライナ様からの、手紙。というか、メモ。

 内容は、〝古い魔導書が倉庫に保管されているから、取ってきてほしい〟というもの。

 短く、けれどいつも通りの端的な文面。


 ライナ様から手紙で指示されるのは初めてだけれど、彼は今、国王陛下と昼食中。

 陛下とライナ様のお食事の時間は、私やルート様も外に出ることになっている。

 親子お二人の時間は、誰も邪魔してはならないのだ。


 ライナ様は忘れないように、このメモを書いておいたのだろう。


「えーっと、確かこっちよね」


 使われていない倉庫。そこに行くのは初めて。


「……ここ?」


 そっと扉を開けると、中はひんやりとした空気が広がっていた。

 木箱や古い棚が並び、確かに古書が保管されていそうな雰囲気ではある。

 私はランプを手に中に足を踏み入れ、周囲を見回した。


「ええっと、魔導書は……」


 その瞬間だった。


 ガチャリ――と。


 外から、鍵がかけられる音がした。


「……え?」


 反射的に振り返り、扉へと駆け寄る。


「あの……ちょっと!?」


 押しても引いてもびくともしない。

 すると扉の向こうから、聞いたことのある女性の声が聞こえた。


『ふふ、いい気味』

『王女殿下に特別扱いされているから、調子に乗っているのよ』

『お望み通り、いじめてあげただけよね?』


 くすくす、くすくす――。


 その言葉で、すぐに理解した。


「……これ、偽の手紙か」


 あの声は――。


 この間、私を呼び出して水をかけてきた、先輩侍女三人組だ。

 今は雑用係に降格されて、こき使われているはず。

 八つ当たりもいいところだ。


「まだ、辞めてなかったんだ」


 ……っていうか、これ。


 私は扉を背に、小さく息をついた。


 身体が震える。


「なるほど……」


 だいたい、わかった。


「――お約束の、ヒロイン閉じ込められ展開ね?」


 これは、漫画でよく見るやつだ。


 偽の呼び出し、密室、鍵、閉じ込められる。


「ふふふ……っ」


 大丈夫。私はヒロイン。これは、ヒーローが助けにきてくれる展開で間違いない!


「……この流れだと、やっぱりルート様かな?」


 先日、街に出かけた際。絡んできた輩を、ルート様が格好よく追い払ってくれた。

 あの姿は、間違いなくヒーローだった。

 あんなの、私がヒロインじゃなくても惚れてしまう。


 しかもその後、距離が近いライナ様から私を庇うように、さりげなく手を握られて――。


 そのときのことを思い出しながら、少しドキドキしていると。


「……マレーネ?」


 聞き慣れた低い声が、なぜか倉庫内から聞こえた。


「はいっ!?」


 びっくりして顔を上げると、なんとそこにはルート様が立っていた。


「ル、ルート様!? どうしてここに!?」


 思わず声が裏返った。


 え、なんで!? なんで一緒に閉じ込められちゃってるんですか!?

 これは、ルート様が助けにきてくれる展開じゃないの?

 ということは、ルート様はヒーローじゃないってこと……?


 もしかして、ここでついに銀髪のヒーローが助けに来てくれる流れなの??


「古い魔導書を探していたんだ。この倉庫に保管されていると聞いて」

「そうなんですか……」


 古い魔導書は、本当にあるんだ。

 っていうか、タイミングよすぎない? なんか、ベタだ……。


「君は、なぜここに?」


 真剣な眼差しで問われ、私は一瞬だけ迷った。

 いじめられて閉じ込められました。なんて、そのまま言っていいものかしら。

 そんなことを言ったら、ルート様は激怒して、炎の騎士パワーでこの倉庫ごと燃やしてしまうかもしれない……?


「私も、ここに置いてある魔導書を取ってきてほしいと、ライナ様からの手紙を見つけて」


 ここは一応ヒロインらしく、事実だけを伝えて、そのメモを見せた。


「殿下は、君にそんな危険な役目を命じない」


 即答だった。

 一応メモに目を通しつつも、ルート様には断言できることのようだ。


「そうみたいですね……。どうやら、閉じ込められちゃったみたいですし」


 なぜかルート様も巻き込まれているけれど、これはお約束展開なので、私はあまり動じない。

 だから、あはは、と軽く笑って答えたけれど……。ルート様は、はっと目を見開くと、焦ったように扉に駆け寄った。


「閉じ込められた!?」

「はい、外から鍵をかけられています」

「なんだって!?」


 ルート様の眉間に、深いしわが寄る。珍しく、とても焦っているのがわかる。


「なんということだ……!」

「大丈夫ですよ」


 そんなルート様を落ち着かせようと、私はあっさりと言った。


「もう少ししたら、誰かが助けにきてくれますので」

「え?」


 にっこりと笑うと、ルート様はなぜか言葉を失ったように固まった。


「……マレーネ」

「はい?」

「君は、いつだって明るく……前向きだな」


 ぽつりと言葉をこぼすと、少し切なげに目を細めて、ルート様は小さく微笑んだ。


「そ、そうですか?」


 そんな表情にドキリと胸が鳴ったけど、「ヒロインなので」とは言えない。


 でも確かに、「誰かが助けにきてくれる」なんて、何を根拠に言ってるんだって話よね。

 ……少し、呑気すぎた?


「ル、ルート様が一緒なので!」


 だから、慌ててそう付け足した。

 深くは考えず、咄嗟に思い浮かんだ言葉だったけれど……。


 その言葉を聞いたルート様は、視線を伏せて、一瞬ぎゅっと唇を結んだ。



お読みいただきありがとうございます!(*^^*)

ブックマークや評価、リアクション等、嬉しいです!!

閉じ込められ展開、続きます!

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