9.ラスト:アリア、新しい決意
夜。
王城の高い窓にかかる薄いカーテンが、静かな風にゆっくり揺れている。
アリアはひとり、窓辺に腰掛けていた。
昼間の喧騒も、妙な呼び名も、新聞の大見出しも――
すべて胸の内でぐるぐる回って、ようやく少しだけ落ち着いてきた頃だった。
アリア
「……悪役でも、平和でも。
もう、どっちでもいいのかもしれないな」
自分で呟きながら、ふっと小さく笑う。
アリア
「私の知ってることで誰かが救われるなら……
それでいいや。
それが“悪役令嬢”のやることでも」
その笑みは、これまでの混乱や戸惑いとは違う、
芯のある、静かな決意の色を帯びていた。
――その頃。
廊下の影、窓の外に面したバルコニーの一角。
レオンがそっと窓越しにアリアの姿を見つめていた。
レオン(心の声)
(君は……自分が思っているよりずっと――
未来を変える人だよ)
まるで誰にも聞こえないように、優しく微笑む。
アリアは気づかない。
でも、その視線には確かな信頼と、淡い感情が宿っていた。
――そしてその夜を境に、アリアの改革はさらに加速していく。
“平和の悪役令嬢”の名は、この王国にもっと深く浸透していくのだった。




