3.城内の雰囲気が“明るく健康的”に
その日、王城はどこもかしこも“妙に健康的”だった。
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【●兵士たち/訓練場】
朝の訓練前。
整列した兵士たちが、いっせいに両腕をぐるりと回す。
兵士全員
「いち、に、さん、しっ……!」
ガロス直伝の、アリア考案「肩甲骨ほぐし」。
規律正しい軍隊の動きに、妙なライト感が加わっている。
護衛A
「最近、魔力の暴発がなくなってきてるな」
護衛B
「だろ? アリア様の“肩甲骨ほぐし”……ガチで効く」
魔力が安定しているせいか、訓練場の空気が軽い。
身体も魔力も、無駄な緊張がほどけていくようだった。
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【●侍女たち/廊下】
侍女たちが鏡代わりの窓を見て、キャッキャと騒いでいる。
頬はなぜかいつもよりツヤツヤ。
侍女A
「アリア様式の深呼吸、あれ続けてから肌の調子が……!」
侍女B
「本当に分かる! なんか……恋するより美しくなってる気がします!」
侍女A
「恋より呼吸……? 時代が変わりましたねぇ……」
二人は笑いながら、水筒を手に休憩所へ向かう。
その歩調は軽やかで、健康そのものだった。
***
【●王立魔導師/書庫】
書棚の間で、白髭の老魔導師が静かに杖を掲げた。
淡い光がふわりと弾み、昔より力強く広がる。
老魔導師
「……なんということだ……儂の魔力が……若返っとる……!」
若い魔導師たちも興奮気味にメモを取る。
若手魔導師
「アリア嬢の“腸の巡り改善”の指導を取り入れた結果らしいですよ!」
老魔導師
「腸……腸で魔力が……? ワシらは今まで何を研究しておったのだ……」
書庫内に、ざわざわと驚きと感嘆が広がる。
魔導師たちの間にも、アリア式健康法が日常として浸透し始めていた。
***
――王城全体が、どこか明るい。
空気が軽く、笑いが増え、人々の魔力が静かに整っていく。
アリアはまだ知らない。
彼女の“ささやかな健康習慣”が、王国の根幹を揺さぶる革命へと変わりつつあることを。




