2.レオンへ報告、王太子は淡々と――でも内心めちゃ嬉しい
王太子執務室。
朝の光が差し込む大きな窓のそばで、レオンは静かに書類へ署名していた。
その手元へ、侍従が一枚の報告書を置く。
侍従
「魔術研究局より、最新の魔力安定率報告です」
レオンは軽く頷き、書類を手に取る。
表情はいつも通り冷静――のはずだった。
レオン
「……魔力事故“ゼロ”。安定率、観測史上最高値……?」
さらさらと目を通す。
だが、ページをめくる手がわずかに止まる。
そしてほんの少し、口元が緩んだ。
レオン
「……アリアのおかげだな」
声は抑えめで、特別驚いたようには見えない。
しかし、侍従は気づかなかった――
レオンの胸の内で、小さな喜びがふわりと弾んだことに。
彼は机に置かれた水差しを見やる。
その横には、一枚の紙――アリアが何気なく描いた「朝の簡単体操メモ」。
(実は、毎朝こっそりやっている)
肩をまわし、背筋を伸ばし、深く呼吸をする。
最初は半信半疑だったが――不思議と調子がいい。
(あの子の知識には、王国を変える力がある……)
報告書を閉じると、レオンの瞳には決意の静かな光が宿っていた。
(やっぱり……もっと近くで支えたい)
その独白は、執務室の静寂に溶けていった。




