アリア、自分の気持ちに困惑する
自室に戻った瞬間。
アリアは扉を閉めるやいなや、
そのままベッドへ――
ばふんッ! と音がする勢いで布団へ突っ伏した。
アリア
「なんなのよレオン殿下……!
あんな自然に優しくしてくるなんて……
ちょっと距離近いし……
ああもう! 意識したくないのに……!!」
枕に顔を押しつけてジタバタ。
普段は冷静に城中の健康を管理している彼女の姿は、
そのどれとも違う“乙女の大混乱”だった。
そこへ、ルチアが静かに扉をノックして入ってくる。
ルチア
「お嬢様。お茶を……って、あら?」
アリア
「見ないでぇぇぇぇ!!」
ルチア
(にこにこ)
「……恋の兆しですね?」
アリア
「ちがーーーう!!」
布団に顔を埋めたまま、
声だけがくぐもって響く。
アリア
「私はただ……殿下が急に近いから……
ちょっとびっくりして……
なんか、変にドキドキしただけで……
恋とかじゃ……ない……はず……たぶん……」
しだいに声が小さくなり、
自信もひゅるひゅると萎んでいく。
ルチアは優しく笑って、そっと布団を撫でた。
ルチア
「お嬢様。
好き、とまでは言えなくても……
“嫌じゃない”んですよね?」
アリア
「…………(さらに布団に沈む)」
その沈黙こそが、答えのようで。
アリアの胸のうちに芽生えた、
まだ名前のない小さな感情。
それは本人が否定しても、
確かにそこで温かく灯り始めていた――。




