国全体へ波及する予兆
城の改革は静かに――しかし着実に、外の世界へ滲み出していた。
◆城下町の変化
アリアたちが城から戻ると、門前の露店に人だかりができていた。
店主
「へいらっしゃい! “魔力に良い軽食”はいかが!」
アリア
「ま、魔力に良い軽食……?」
店主は胸を張る。
店主
「最近、城の方で“食事と魔力”が大事って話があるだろ?
ほらこれ、魔石粉入りのクッキー。
魔力の巡りがよくなる“気がする”って噂でね!」
アリア
「“気がする”の段階で商品化されてる!?」
ルチア
「行動力がすごいですね……商人の勘でしょうか」
アリアはこめかみを押さえる。
だが、客の列は途切れない。
◆学生たちの妙な発明
別の通りでは、元気な学生たちが奇妙なベルトを売っていた。
学生A
「姿勢が良くなる“矯正ベルト・もどき”! 勉強中の魔力暴走が減るらしいぞ!」
学生B
「これを着けてから肩こりが軽くなった!!」
アリア
「もどきって言ってるよね!? 自覚あるんだよね!?」
学生たちは自信満々だ。
学生A
「でも売れるからオッケーです!」
アリア
「(商魂たくましい……というか、私のせいで新商品が……)」
◆王立魔法学校の噂
さらに、騎士団の若手が興奮気味に報告してきた。
若手騎士
「アリア様! 王立魔法学校で“睡眠と魔力の関係”の特別講義が始まるって噂です!」
アリア
「えっ、学校まで!?」
若手騎士
「“寝不足は魔力の天敵”って、今学生の間で合言葉みたいになってます!」
アリア
(ええぇ……合言葉!?
いや、ただの基礎知識だよ!?)
◆レオンの言葉
王子レオンが歩み寄り、アリアの肩に手を置いた。
レオン
「アリア。
これは君が始めた“王国の健康革命”だ」
アリア
「そんな大それたつもりじゃなかったんだけど!?
ただ、ちょっと魔力の体調管理を……って思っただけで!」
レオンは穏やかに笑う。
レオン
「小さな火種が、国を照らす灯火になることもある。
君の知識と行動は、その“火種”だったんだよ」
アリア
「そ、そんな格好よく言われても……照れる……」
ルチア
「お嬢様、もう完全に王国の流行製造機です」
アリア
「そんな称号いらないよぉ!!」
こうして、アリアのごく個人的な“健康ノート”から始まった改革は、
いつの間にか王国全体へと波紋のように広がりつつあった。




