**第8話 “甘味至上主義の伯爵令嬢”来訪 ──砂糖の国から来た小さな暴君── 王城を騒がす“甘味の馬車”到着
朝の王城前は、いつもよりも騒がしかった。
メイドたちがそわそわとざわめき、騎士たちは困ったような顔で門の方を見ている。
アリアが様子を見に行くと、そこには――
眩しい。
朝日を受けてきらきらと輝く、砂糖細工そのもののような豪奢な馬車が鎮座していた。
外壁には砂糖の結晶のような装飾、窓にはクリーム色のレース。
馬のたてがみすら、砂糖菓子のように巻かれている。
アリア
「……え、なにこの食品サンプルみたいな馬車」
メイド
「お嬢様、今日は……甘い香りが漂ってきます……!」
騎士
「馬車の段差から……砂糖が零れ落ちてるんです……」
砂糖が“ぽろっ、ぽろっ”と城門に落ちていた。
このままだとアリが集まるに違いない。
そして馬車の扉が、ふわりと開く。
「おほほほほっ!」
高らかな笑い声とともに降り立ったのは、
ふわふわドレスに包まれた、夢の国から来たような伯爵令嬢――シャルロッテ。
片手には、腕より太い巨大なアメ。
もう片方には、積み上がったケーキ箱。
シャルロッテ(胸を張り、輝く笑顔で)
「わたくしこそ、この国一番の“甘味文化”の守護者ですわ!!」
その声に、城の前の空気が固まる。
メイド
「す、すごい……砂糖の匂いだけで満腹になりそう……」
騎士
「今日の検問、甘味が完全に圧勝してる……」
アリアはこめかみを押さえた。
アリア
「……なんか来たわね。
そして絶対……めんどくさいタイプのやつよね……」
そう呟いた瞬間、
シャルロッテの持つ巨大アメが朝日を跳ね返し、
アリアの視界が眩しく染まった。
まるで――
「ここから大騒ぎが始まりますわよ!」
と言われているようだった。




