生活習慣病説が瞬く間に王都に拡散
王城の改革が始まり、アリアの「魔力は身体の状態で変わる」という理論は、学者たちによって次々と論文化された。
その速度たるや、昼に言ったことが夕方には学会で議論され、翌朝には王都中に広まるほどだった。
そして――
「魔力暴走=生活習慣の乱れ」という新概念が、一気に庶民レベルまで浸透した。
■ 王都の日常が、なぜか“健康”へ寄っていく
ある朝、アリアが王都を歩いていると――
メイド
「寝るのも仕事……! お嬢様の教えですわ!」
アリア
「そういう教えのつもりじゃないんだけど!?」
次にすれ違った騎士たちは、真剣な顔で水をがぶ飲みしていた。
騎士
「水を飲むのも戦い……! 水分こそ、魔力の通り道!」
アリア
「戦いじゃなくて、普通に大事ってだけよ!」
さらに、魔法士の青年たちが真面目な顔で話し合っていた。
魔法士
「便通が……詠唱力に直結している可能性……!」
魔法士2
「やはり腸の乱れは魔力の乱れ……!」
アリア
「そこだけ切り取ると途端に恥ずかしいからやめて!?」
そんな混沌の中、侍女ルチアが嬉しそうに報告してきた。
ルチア
「お嬢様の思想が、文化になっていきますね!」
アリア
「文化!?
私、王国の“健康のお母さん”みたいになってない!?」
ルチア
「はい、いま王都では“アリア式・健康三箇条”が流行ってます!」
アリア
「何それ!? 私そんなもの広めてないわよね!?」
■ 王都全体が“アリア指導”を勝手に作り始める
路地を曲がれば、八百屋の前で人が叫んでいる。
市民
「野菜を食べろ! アリア様が言っていた!」
アリア
「言ってない!! でもまあ……合ってる……?」
次の角では老魔女が孫に説教していた。
老魔女
「夜更かしは魔力を腐らせるんだよ! アリア様の本にも書いてあった!」
アリア
「本!? どこから出たのその本!?」
アリアは頭を抱えた。
アリア
「なんで……私がちょっと言っただけの話が……
国の健康指針みたいになってるのよ……!」
ルチア
「お嬢様が分かりやすく説明するからです。
皆、救われているんですよ?」
アリア
「う、嬉しいけど……
私はいつの間に王国の“健康お母さん”ポジションに……!」
王都では今日もどこかで、新たな“アリア式健康術”が生まれていく。
それはもはや、流行ではなく――文化だった。




