第7話 魔力暴走=生活習慣病説が広まる 学者たちの新研究 ― “過労と魔力暴走は相関する”
――王城に“魔静タイム”が導入されてから、ひと月。
魔術学院では、ある研究チームが毎日のように謎の測定器と魔力計を抱えて城内を走り回っていた。
そしてついに――。
大講堂で発表された新研究に、場がざわついた。
魔術学者が震える手でデータを掲げる。
「見てください、この推移……!
長期的に見ると――睡眠不足・過労・腸の不調・脱水が、
魔力暴走率を劇的に上げているのです……!」
会場がどよめく。
研究助手がさらに紙束を広げながら続けた。
「つまり、魔力暴走は……生活習慣病の一種なのでは……?」
魔法士たちの顔色が変わる。
「せ、生活習慣……?」
「暴走って、心の弱さとかじゃなかったのか?」
「根性の問題じゃなくて……生活……?」
ざわざわ、ざわざわ。
その反応を見て、アリアは腕を組んだまま、ふっと小さく笑った。
「……最初から言ってたわよね?」
隣に立つルチアが、誇らしげにうなずく。
「ええ。
ついに……お嬢様の国が……科学的に追いついてきましたね……!」
アリア
「追いついたっていうか……やっと“普通”に目を向けただけなんだけど……」
どこか遠い目をするアリア。
だが、講堂ではすでに大騒ぎが始まっていた。
「生活改善しなきゃ……!」
「水飲み忘れた日って……暴走しやすかった気がする!」
「腸って……そんなに大事だったのか……!」
――王国の常識が、静かに塗り替えられ始めていた。




