第3話 城の食事が油と砂糖と肉で構成されている件 アリア、王城の食堂に潜入
翌朝。
王城の中庭にはまだ薄い霧が残り、空気はすんと冷えている。
そんな中、アリアは勢いよく部屋の扉を開けた。
「よし、今日は“食事”改革よ!」
寝癖ひとつなく整った髪と、悪役令嬢の象徴のような高慢な笑み。
しかし内側にあるのは、昨日の水筒改革を成功させて味をしめた健康オタクの魂である。
急に宣言を受けたルチアは、慌ててエプロンを整えながらついていく。
「お嬢様……今日はどんな地獄を見るおつもりで……?」
「決まってるじゃない。食事よ、食事!」
アリアは廊下を颯爽と歩きながら指を一本立てた。
「健康の三本柱といえば――睡眠、食事、水分!
あとは運動があるけど……まあ、騎士たちは毎日走ってるから勝手に健康になってるわね!」
「……運動だけ放置なんですね」
「問題ないわ。私は改革の効率性を重視するタイプなのよ!」
そんなことを言いながら、アリアは“堂々と”食堂へ向かった。
潜入と言いながら、身分の高さゆえに誰も止められない。
むしろ早朝の食堂へ向かう彼女を見て、メイドや騎士たちが道をあけていく。
「それにしても、お嬢様が食堂に行かれるなんて珍しいですね」
「珍しくても行くのよ。今日からは“現場主義”でいくわ!
王城の栄養事情、私のこの目で確かめないと!」
アリアは拳を握りしめる。
(昨日の様子を見る限り、この国の“健康常識”は壊滅的。
水筒文化すらなかったんだから、食事は……きっともっとひどい。
覚悟しておきなさい、王城食堂……!)
彼女の胸には不思議な使命感が燃え上がっていた。
そして――
角を曲がると、目の前に巨大な食堂の扉が現れた。
アリア
「さあ、ルチア。栄養地獄の実態を……確かめるわよ!」
ルチア
「ま、また地獄なんですか……!」
ひときわ大きなため息をつくルチアを連れ、アリアは扉を押し開けた――。




