マーティン再
ミシェルを拘束した次の日
サミュエルが自死したと報告があった。
私は呆然とした、何故だ何故サミュエルが死ななければならないんだ。
呆然としたままその日の午後に陛下が一人の侍女とマリアの乳母を連れて部屋に来た。
「マーティン、辛い話しを聞かせなければならないんだ」
陛下が話し始めて意図的にミシェルがソフィーとサミュエルを引き裂いていた事を知った。
「王太子妃には私達は逆らえません、手紙を捨てるように言われて預かったのですが捨てられず取っておきました」
そう言って渡されたのはサミュエルからソフィーへのラブレターだった。
これをミシェルが握りつぶしていたのか。
「マリア様の誕生日にミシェル様がサミュエル様にソフィー様を招待しに直々に行ったけど断られたと仰っていたのですが、その日は朝からお誕生日の準備でミシェル様は一歩も外にお出になっておらず、嘘をついていると思っていました」
「何故私に報告しないんだ」
「マリア様のお誕生日会にサミュエル様が出るのはマーティン様のご命令と伺っておりましたので不快なお気持ちにさせると思い、ましてやそんな話をしたら私が罰を受けると思って言えませんでした」
「⋯⋯そうか、やはり私のせいなのだ」
二人に退出を促し陛下に直訴した。
「父上、王太子ではなく息子としてお願いがあります。ミシェルはもう王太子妃ではありません、だから処刑にと思ってましたが、そんなのは生温い。生地獄を味あわせるような罰をお願いします」
「それは私怨になる」
「わかっております、だから私に毒杯をお願いします」
「ならぬ、まだリランジェロが」
「父上、コールデンがなくなった以上王家の失態は免れません。ただ責任を取るにも私はこの体です、処刑台に上がることも叶いません、私はサミュエルに詫びなければならないのです。一足先に逝かせてください」
「⋯⋯わかった」
「先立つ不孝をお許しください」
「マーティン私も直ぐに後を追う、だがリランジェロは救いたい、このまま王家に居ても先はない。明日コールデン領がシャーワットになった事を発表せねばならない、そのタイミングでリランジェロをシャーワットに逃がす。お前もその時に毒杯を飲むんだ」
「父上に全て押し付けて申し訳ありません、リランジェロの行く末は?」
「あちらの王太子に頼んである、ソフィーもきっと解ってくれる。セルジュール王太子がサミュエルの事は話さないと思うから大丈夫だ」
「ソフィーの幸せを願います。これ以上愚かな私達の犠牲はいりません」
「あぁそうだな」
「父上、母上にも?」
「アレは私と共にある、ずっとだ」
「解りました、今までお世話になりました」
「子供の世話は親の努めだ、尻拭いもな」
そうして父上とお別れした。
次の日宰相が私へ毒杯を持ってきてくれた。
手に握るのも困難なので盃に入れてくれたようだ。
「何故、こんな事に」
「言うな、宰相⋯父を最後まで頼んだ」
「⋯⋯御意に御座います」
そして震える手で盃を飲み干した。
★追記
本編最後の革命は国王達が無くなり王家の分家に王権が移ってからの事になります。
次回最終話 本日12時頃更新いたします
最後までお付き合いよろしくお願いします
(♥︎︎ᴗ͈ˬᴗ͈)




