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待てと言われて待ったけれどもう限界です  作者: maruko
番外編

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サミュエル1/3

サミュエル始まりました

待たせた男の言い訳⋯です

私の初恋は10歳の時、城で偶然すれ違った少女だった。


胸がトキメイた。

直ぐに後ろを振り返って、少女の後ろ姿を見えなくなるまで見ていた。

何処の誰かもわからず調べようがなかったから誰にも言えなかった。


それまで私が知る女性は、母と叔母とミシェルだけだった。

母上は体裁を人一倍気にする人だった、父もウンザリするほど、周りの評価を気にする人で私もその物言いには疲れることが多々あった。


「○○家は今度馬を2頭買うと聞きました、うちも新しい馬を買いましょう」

「□□家ではお茶会の時、R社の茶器を使ってましたの、家はそれ以上の格上の物を」


一事が万事こんな風、体裁というより見栄かな、自分の親ながら疲れる人だった。

叔母も母の妹だから姉妹は似るものだ。

そしてミシェル。

顔は普通に可愛らしいが、所作がガサツで私の好みではない。

あんなに疲れる母でも所作は見事だったから、それに見慣れてる私には下品に見えた。

でも何れ主君となるマーティンが気に入っていたから、表立って文句を言うこともなかった。


そんな時に見かけた少女。

私よりも幼く見えたのに歩くだけで気品が漂うって⋯衝撃だった。


その少女に次に会えたのはマーティンの共で行った辺境のコールデン領だった。

彼女はコールデン伯爵家のソフィーと言う名だった。

彼女はマーティンの婚約者候補を辞退したらしく説得に本人自ら赴いた。

でも結局は説得できず帰ることになる。


それで追加でミシェルが候補に入ったが、私にはミシェルは無理だと思った。


有力はエザリー公爵家のスノー様かなと思っていたら、マーティンの弟のセルビアンからミシェル以外の候補者に言い寄られて困ってると聞かされた。


王家の者に言うと水掛け論になる、そう思った私はセルビアンの言うとおりにお茶会の邪魔をする事になった。


結局それが功を奏してミシェルが選ばれたのだが、他の二人が辞退した時に新たに婚約者候補が名乗りを上げると思っていたから、それが不思議だった。

私はミシェルにしたくて邪魔をしたわけではない、あの二人がセルビアンに粉をかけるから相応しくないと思っただけだ。


でも決まった事はしょうがない。

そのまま平凡な日々を過ごしていった。


学園の3年の時だ。

入学したお祝いを言いに行くとマーティンが言ったから、てっきりミシェルだと思っていたら何と!ソフィーだった。

よく考えればミシェルなら別に学園で態々声などかける必要もなかったから行く必要はない。


私はこれからソフィーを学園で眺める事が出来るのだと嬉しくてしょうがなかった。

私の初恋の火は消えてはくれなかったのだから。


マーティンがミシェルにソフィーを紹介したらしい、それは止めてほしかったが言えない。

そんな事はないと思うが、ミシェルがソフィーに悪影響を及ぼし変な女になるんじゃないかと心配だった。

それは余計な危惧だった。

ソフィーはミシェルに所作を教えてみるみるうちにミシェルが伸びていった。

流石ソフィーは教えるのも一流なんだ。


私はある日思い切ってマーティンに相談した。

ソフィーが初恋でコールデン領に行った時に運命を感じたと、そう言ったらソフィーを紹介してくれた。

ソフィーは私がコールデン領に行ったことを、その時に会ったことは覚えてなかった。

それでもいいんだ、彼女と《《これから》》を過ごせれば何もいらない。


4人で過ごす内に距離が縮まったと感じた私はソフィーに婚約を申し込んだ。


ソフィーは了承してくれて私はその時に一生分の運を使い果たしてしまったんだ。


そう思わないとやってられない事が、それから起きて行く。



マーティンがセルビアンに襲われて下半身付随になった。

旅行から帰ったら立太子も予定されていたのに、それに彼等が帰ってきた一週間後に私とソフィーは結婚式を挙げる予定だった。


王家がそんな時に式なんて出来るわけがない、私はマーティンの側近なのだから、だから結婚は延期になった、その時点で世間体を気にする母はブツブツ文句を言っていたが、そんな事言うなんて、常識がないのはどっちだ、今式を挙げたらそれこそ世間に何を言われるか解らないと言ったらやっと納得してくれた。


ソフィーは快く延期を承諾してくれたし、ミシェルを心配してよくお見舞いに行っていた。


私はマーティンはこのまま臣籍降下するだろうと思っていたから、仕事をどうしようか悩んでいた。

だが陛下はこのまま立太子させると言った。

理由は第三王子の年齢だ。

この国は婚姻を挙げなければ立太子できない、だが第三王子が、まだ結婚するには早すぎる年齢だったから、その繋でマーティンを立太子させると私も聞かされた、そしてその間に文官の試験を受ければ王宮にも残れるし、宰相補佐にもなれると陛下から言葉を頂いた。


おそらくマーティンの繋の王太子は私の為でもあったのかもしれない。


だから率先してマーティンの仕事を代わりに熟した。

王子のときよりも執務は多くなっていて大変だったが、文官になればこれも経験と見做されるだろうと必死だった。


そんな中ミシェルが懐妊していたことが解り、それから出産したのだが、彼女はそれで体調を崩し、王太子妃の執務が出来なくなった。


彼等の公に外交するものは陛下と王妃様が代わりにして下さってるので執務は此方で何とかしないとならない、マーティンだけでも大変だったのにミシェルの分までは無理だと思っていたらマーティンがミシェルに女官をつけてくれた。

これで安心と思っていたら、ミシェルが女官も侍女として使うようになった。

それ程体調が悪いのかと思いソフィーに話すとソフィーは何度か見舞いに行ったら痩せて食事も喉を通らないと言っていたらしい。


「気の毒だわ」


優しいソフィーがそう言って心配するからミシェルの仕事も手伝ってやる事にした。


そのうちに体が回復したミシェルに仕事の事を話すと、まだ無理だと言う。


だから私はソフィーに結婚は彼等が落ち着くまで待ってほしいと言った。

言うまですごく悩んだ。

それを言ったらソフィーは結婚してくれないかもしれない。

でも何も言わずに待たせるわけにもいかなかった。

だから意を決して話すとソフィーは『待つ』と言ってくれたんだ。


嬉しかった。


私を捨てずに待つを選択してくれたソフィーに感謝した。


その上にソフィーは私を少しでも助けたいと言って城の近くに家まで買って私を支えてくれたんだ。


本当は毎日行きたかったけれど、仕事が激務で週に一度位しか行けなかった。


本当は週に3日程は行けるはずだったんだ。

なのにミシェルの方の仕事が急激に増えた、回ってくる執務があり得ないほど多かった。

だが確かにこれは体が盤石じゃないなら無理だろうと、マーティンの仕事も合わせてしていた。


偶にソフィーにお願いしてミシェルの仕事を手伝ってもらったりした事もある。


ソフィーは快く引き受けて助言もしてくれたりしていた。


偶にしか会えなくても、会えた時は充実出来る時間だったんだ。

何度か泊まりたくなる衝動も必死に抑えて頑張っていたのに追い打ちをかける事があった。





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