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短編集

投機

作者: 豆苗4

黄緑色の腕章。くすんだ紅色の指輪。

取り止めのないおしゃべりの続き。

押し合いへし合いひしめき合い。

コイの大群が滝へと殺到した。

滝壺には堅牢な妖が待ち構える。

ラスベガスから香港を引っぺがすのには骨が折れる。

紙の端と端をくっつけて、くるくると丸める。

縁を手前に折り曲げたらひとまず終いにしよう。

続きは寝ぼけたコインが立ちあがったら。

希望が見出せるのは、丁半つかぬ間だけ。

そうは思えぬのも無理はない。

あれに出会わなければ分からないだろう。

洞窟の奥に潜む自身の亡霊に。

鏡。ピカピカに磨かれた鏡。

覗き込まなければ忘れていたであろう記憶に。

覗き込む?

そんなことをしなくても流れ込んだであろう。

否応がなしに。

届くのは本当に一瞬だ。

次々と運ばれてゆく段ボール。

並々と注がれた御神酒。

進化の系譜を逆向きに辿れ。

枝葉のついた木。

嘘という嘘。

暴れるコイの尻尾を追う。

古代ギリシアの大地が揺れている。


喉がカラカラだ。辛うじて出てきた唾を呑み込む。垂れ下がった紐の色は?

遺されたものは?

暮れゆく神殿にはジリジリとした夏の残香が。

明けゆく宵にはローズマリーの香りが。

滝壺の裏には崩落した炭鉱路が。

重ねてはダメだ。重ねては。絶対に。

泥に塗れて散った栄華が。

吹きこぼれている鍋の下には。

チカチカと点滅する街あかりのそばには。

収歛するドーナツの真横には。


オリオン座はまだ見ぬ自由を望む。


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