第三十二話「獣と鳥と」
神補佐は一人、星の上空を飛んでいた。
消えてしまった国。
シラマツが起こしたのであろう爆発によって跡形もなく無くなってしまった。
僕はこの爆発と似たものを見たことがあった。
あれは確か昔に学校で見たビデオだった。
戦争が始まって各国々がミサイルを作っていた。
海や地中で実験して戦争に使おうと。
特にその中で原子爆弾の次に目立ったのは・・・・・・・
水素爆弾。
そう水爆であった。
そんな爆弾を今、この世界で作ってしまったのだ。
ミツミの世界はテクノロジーが進みすぎている。
直接注意しようとミツミと会見を求めたが・・・・・
「えー?神様だったら会いますよ。でも神様じゃないんでしょ?会う必要性ありますか?あなたは神補佐で僕は神候補ですよね?じゃあ必要ないじゃないですか。ハイ論破!と告げろと言われました。」
そう門番に言われ入城を拒否されてしまった。
透明化して潜入してもいいんだけど神補佐のマニュアルに『社会的違法行為禁止』と書いてあったのでさすがに使えない。
空中を浮いて入っても兵士の数も多く撃ち落とす勢いだし。
僕は力の無さに嘆いた。
そしてしばらく考えて、覚悟を決めた。
このままだとこの世界は恐怖と武力で支配された国になる。
ならば彼が新たに使う前に阻止すればいいのでは。
『介入禁止』とは書いていない事だ。
あと残っている国も少ないし見張っていればいい。
そう安心すると僕は空中で浮かびながら横になりミツミの国を監視することにした。
「お、おーい!!」
大きなお城。
周りにあった田んぼや畑。
さらさら流れていた川や湖。
鳥のさえずる木々や森。
それがすべて消えていた。
ここはニジシマの国。
国だった場所だ。
一人の獣人が少し遠出をすることになった。
チャマの両親にチャマが亡くなったことを伝えるために。
チャマの国は少し離れた所にあってそこに行っていたのだ。
全ての説明が終わると外で大きな爆発と光。
そして大きな衝撃波がチャマの家まで押し寄せた。
チャマの母親に別れを告げ馬車で里にもどったんだが。
「な、何もねえ。・・・・・なんもねえ。」
爆発の威力が凄まじかったのがわかるへこんだ部分。
周りにあった農家の建物や民家も爆風で全てが吹き飛んでいた。
「ここがニジシマ様が治めていた国なのかよ。」
俺は周りを見渡す。
そこには見慣れない者たちがいた。
羽が生えた女性と手が羽の女性。
翼族とハーピーたちがいた。
俺はすかさずその二人に一瞬で襲い掛かる!
「きゃ!?」
「ぴー!!!?」
対格差があり首根っこを掴まれた二人はもがく。
翼をばたつかせているが。
すかさず俺は聞いてみた。
「お前達がこのようなことを起こしたのか!!!」
俺は怒り任せで彼女らを吊り上げる。
息苦しい二人は首を横に振る。
「嘘を言うな!お前達の所属はこの国にはいなかった!何しに来たんだ!」
翼族は首を一生懸命横に振り違うと懇願。
ハーピーの方は意識を失いそうでぐったりして目を白黒する。
こいつら関係ないのか?
前も冤罪で無実な人を追いかけたことがあった。
まったく全然反省してないな。
俺は二人を足が付くように下して少し緩めた。
「お前達じゃ・・・・・ないんだな・・・・・・」
「げほっ!げほっ!違います。私達、頼まれたんです。」
「ぴー。あたし、しらない。ばくはつすごい。ママがみてこいと。」
「ママ?」
確かこの種族を指揮している神がいたって言うよな。
「名前は知らないけどルン子って呼ばれている・・・・・」
「ママだ!しってるの?ママ!」
ハーピーは喜ぶ。
翼族はしまったという顔をする。
俺は掴んでいたのを放した。
「な、何で解放したの?私たちがこのようなことをやったって疑いがまだあるんでしょ?」
「・・・・・もういい。大丈夫だ翼族。こんなことをしたのがお前たちじゃないって解ったから。すまんな。帰ってきたらこんな状況だからな。それと純粋でペラペラしゃべるハーピーに嘘はつけねえって。」
「ぺらぺらしゃべる?いんこみたいだね。」
「もー!お前は喋らないで!少し静かにして!全く。」
手間がかかる後輩だな。
俺にもいたっけな。
外はもう暗くなってきた。
「おい、お前たち。」
俺が声をかけると二人は跳ね上がる。
またひどい目に合うのではないかと思ったのか。
「暗くなってきたので今日は近くの空き家に暖を取る。お前達も夜目効かないから一晩止まってから帰れ。」
そう俺が言うと
二人が少し話し合う。
そして・・・・・・・・
「あ、朝までね。あ、あなたの故郷無くなってしまったみたいだし。慰めてあげる。あ!勘違いしないで!慰めると言っても話相手になってあげるだけなんだから!」
腕を組みながら言う翼族に
「そういって。せんぱいやさしい。しんぱい、あなた。」
と、にやにやするハーピー。
すかさず顔を真っ赤にして隣のハーピーを小突く翼族。
仲の良い二人を見ながら残された小屋で囲炉裏の支度をするトネであった。




