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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エコボトル

作者: 山吹弓美

 近所のスーパーでイベントがあって、ノンブランドのエコボトルが配られた。六百ミリくらい入る、手頃に持って歩ける奴。

 いくつか種類があったみたいだけど、私がもらったのは暖色系のチェック柄だった。好きな飲み物を入れて、学校に持っていくのにちょうどいい。おかげで学校の帰りとかに買い食いする頻度が少なくなったな、とはさっき考えてて気づいたところ。

 買い食いしなくなった理由は、もう一つある。このボトルに入れた飲み物って、なんだか普通に飲むよりも美味しく思えたから。

 具体的には……何となく甘くなって、口当たりもいい感じになったと思う。それで私は、水でもコーラでもお茶でも、とにかく何でも一度ボトルに入れてから飲むようになったんだよね。


 ごくごくと、六百ミリを一気に飲み干す。それでも足りなくて、とにかく水だけでも入れないとって思うようになってしまった。で、入れたらすぐにまた飲んで、の繰り返し。夏でもないのに。

 一ヶ月も経った頃には、ボトルに入れないと何も飲めなくなっていた。水の一滴すら。

 そうしたら、その事に気づいた親にボトルを取り上げられた。いくら何でもおかしいじゃないのって、そう言われたのだけれど……私、そんなにおかしいかな? どうせ飲むならさ、美味しいほうがいいに決まってるじゃない。

 コップに入れて飲んだ水は、まったく美味しくない。ジュースも、サイダーも美味しくない。あのボトルに入れなきゃ、飲めたもんじゃない。


 ボトルを返して欲しくて、私は親に突っかかった。普通に言っても返してくれないから、力ずくで。殴って、蹴って、突き飛ばして私は、ボトルを取り返すことができた。

 邪魔した親は、足元に転がってる。ピクリとも動かない。当然よね、ボトル返してくれないんだから。


 自分の頬に、なにか付いてるのに気がついた。ああ、もしかして血? 親殴った時に顔から吹き出したっけ。

 手で拭いて、何となくそれをなめてみた。


 あは、美味しい。

 ボトルに入れた飲み物とおんなじ。


 なんだ、ボトルがなくても飲める物があるじゃん。良かったあ、ほっとした。

 よし。まずは、目の前に転がっているこれから出たやつ、全部飲んでしまおう。うふふ。

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