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お公家の事情 火にも水にもわがあらなくに  作者: 英じゅの
黄色いおにぎりと練りきりの猫
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緊急会議招集

放課後、真護と一緒に家に戻った。いつもは瑞祥の玄関から入るけど、今日は嘉承の玄関から帰ったというのに、当然のように牧田が出迎えてくれた。何で今日は、こっちの家に帰るって分かったのかな。お祖父さまが、うちは牧田がいないと三日で滅ぶって、しょっちゅう仰るけど、あながち間違っていない気がしてきた。


「東条の君、いらっしゃいませ。若様、お帰りなさいませ。お茶とお菓子はお部屋に運びますか」

「いらない」


真護が捨てられた仔犬のような顔をしていた。お菓子なんか食べている場合じゃないんだよ。


「すぐに東条家に連絡して。真護がいることもそうだけど、当主に、お祖父さまが戻る頃に当家に来てほしいと、嘉承の嫡男不比人の名前で招集をかけてほしい。東条だけでなく、南条と西条と北条の当主にも同じように連絡してね。当主の都合がつかないときは、先代でも構わない。それから、瑞祥のお父さまにも、このことをお伝えして」

「かしこまりました」


牧田は何も訊かない。家令の鑑だよ。


「えー、父上やおじ様たちが来るまで、何も食べられないの?牧田さん、何か出してよ」


他人ん家の家令を使うなっての。真護の腕を引っ張って自室に行く。


「ふーちゃん、嘉承の先代様と、うちの父上に、高村君のこと話して保護してもらうの?」


さすが腐っても東条家の嫡男。何も言わずとも、私のやろうとしたことを察してくれていたようだ。ちょっとだけ見直した。


「うん、本来なら嘉承の父に言うべきことだけど、今は帝都から来た瘴気にあてられた患者さんたちで、病院が大変だからね。お祖父さまの力をお借りする。えーと、真護、お菓子食べたい?」

「食べたいっ!」


ま、いっか。どうせ、お菓子は昨日の先生が召し上がった分は、確実に稲荷屋が補充してくれているだろうし。私も大概甘いな。


牧田が各家に連絡で忙しいので、古株の女中の美也子さんに頼んでお茶とお菓子を用意してもらうことにした。この人も牧田同様、私どころかお父さま達が生まれる前から家にいるそうだ。


「かしこまりました。若様方、和菓子と洋菓子のどちらをお持ちいたしましょう?」

「両方!」


真護、お前は、魔力制御と遠慮の両方覚えろ。


美也子さんが和菓子と緑茶、新人の美咲さんが、ケーキと紅茶を運んでくれた。夕食前にこの量。何で真護は太らないのかな。人生って、つくづく不公平にできているよね。


和菓子は餡子を薄緑の求肥でくるんで練りきりの菊の花をあしらった上品なもので、ケーキはショコラ・バナーヌだった。このヴォルぺのショコラ・バナーヌは、私の監修。歯ごたえを持たせるために、バナナをミルクチョコでコーティングしてからココア味のスポンジケーキで巻いたものの上に、ダークチョコを削ったものをふんだんに散らしてある。甘すぎにならないように、スポンジにはオレンジリキュールも使ってるしね。どうだ、私の自信作!


「うまっ!」


真護がわき目もふらずに食べている。お前は、その集中力を魔法制御で何故出さない?


あっと言う間に、真護の皿がきれいになった。丸飲みしてないか。ちゃんと味わえよ。帝国一の和洋菓子の天才職人の作品だぞ。


物欲しそうに見ている真護の前で、ゆっくりとお菓子を味わって、紅茶を飲み終えたところで、牧田が様子を見に来てくれた。


「若様、瑞祥の旦那様が、皆さまがお見えになる前に、広間に東条の君と来てくださいと仰せですが。お菓子とお茶を、広間にもお持ちしますか」

「はーい、お願いします。すぐ行きまーす」


だから、勝手に他人ん家の家令を使うなっての。


「さようですか。和菓子と洋菓子のどちらを・・・」

「両方お願いしまーす」


最近、うちのお菓子の消費量が爆上がりしていないか。稲荷屋こんちゃんズ、頑張れ。


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