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都市伝説:レヴェナントの噺
――こういう話を知っているだろうか?
深い霧が立ち込める夜、出歩いていた人がいなくなる。
いなくなった誰かは、別の日の霧の夜に街を彷徨っている。
だけど、それはもう別の人。
その人であって、その人ではない。
心を失った彷徨う存在。
魂を失った彷徨う存在。
霧の夜に攫われて、霧の夜を歩く生きた亡霊。
霧の夜に喰われて、霧の夜に迷う哀れな亡者。
深い霧が立ち込める夜、決して外に出てはいけない。
いなくなった誰かに出会ったら、今度は貴方がいなくなる。
次に貴方がいなくなったら、次は貴方が別の人になるから。




