生きる力を試す実験
いつも、毎日のように通っているビデオ店に、くじ引きのクレーンゲームが設置されてある。掴んで放す式のいわゆる、UFOキャッチャーだ。
1等、2等、3等とあって、ハズレくじは2000枚で1等と同じ価値がある。1等の商品は、謎である。だから興味をそそられた。部屋には、ハズレくじが山のようになっている。運が無いんだろう。10枚を1組にして、ホチキスでとめてある。あと7枚で2000枚になるんだ。1回100円で、2回チャレンジ出来るから、運が良ければ、もう今日で終わる。
コインを入れた。
↑と→のボタンが、点滅し始める。↑を押すと、クレーンが上に移動した。2秒後、指を離し、やけくそで→を押した。どこでもいいんだ。とりあえずいっぱい掴んでくれ。みんなだいたい、ここら辺で止めるから、くじの山がへこんでいる。クレーンが止まり、くじを拾った。
“いいぞ!”
そのまま4、5枚掴み、パラパラと穴に落ちた。いつもなら、穴へ落ちる前に、何枚か落ちてしまうところだが、今日は一枚も落ちなかった。さっそく、落ちてきたくじを広げてみた。相変わらずハズレだった。2枚目もハズレ、3枚目もハズレだった。
“いいんだ”これで後、4枚で、2000枚 。
4枚目を広げてみると、なんと、“2等”というハンコがしっかり押されてあった。“当たった”当たったんだ、はじめて。やっぱり当たりくじも入っていたんだ。でも、2等は、2枚なければ1等と同じ価値にはならない。こんな時に厄介な代物だ。5枚目もハズレ。結局、2回目のチャレンジで私は、ハズレくじを2000枚集めた。