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34. そこにあるしあわせ
詩を書こうと思ったのは 書かずにはいられなかったから
写真を収めようと思ったのは 絵を描くだけの力がなかったから
ふと振り返った時 思うのは
きっと しあわせな人は詩を書かないだろうって
きっと しあわせな人なら写真なんていらないんだろうって
だって 必要ないもの
現実がほんとうに満ち足りているなら こんなもの必要ない
こんなもの残そうとも思わない
だって「いま」が幸せなんだから
だから詩を書く人を見ると思わずにはいられない
この人が「表現せずにはいられなかった」心の叫びに
幸せな作品を見ると感じずにはいられない
この人が「どれ程の悲しみを経てこの幸せを感じた」のかを
だから ねえ
あなたは いま しあわせですか?
それはきっと 雨上がりに見上げた夕景の 木々の間に零れ落ちる
だれかの置き忘れた 憧憬の忘れ物




