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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
九章 狙われたアマツカ編
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八十八話 鬼道京之助再び!



魔力を感じた場所へと一足早く着くアマツカ。

「へえ、その姿で会うのは久しぶりだね」

赤い半球体の装飾のがついた鎧を全身に纏い顔まで隠して横から角を生やし後ろにコウモリ型の羽を携えた騎士のような出で立ちの魔法使いがいた。彼はあたかもアマツカを前から知ってるかのように語りかける。


「その声、貴様………あの時の騎士気取りか」

アマツカも相手の正体に気づく。彼の名は鬼道京之助、アンダーウイザーズ側の魔導システムを悪人達に売り捌いている人間達の一人でありかつて彼自身も魔法使いとしてアマツカと対峙していた。以前も騎士のような格好をしていて気取った喋りをしていたのでアマツカは彼を騎士気取りの魔法使いと呼ぶ。


「ご明察。因みにこれは首領様側近と名高いテンザ様からの送りものでね、今までのより性能が格段に上がってるらしいんだ」

京之助が新たな姿を見せびらかすかのように羽や角に触れる。


「そちら側も新型を開発したというわけか。いや、それだけじゃないだろう。大方何か企んでるだろう」

アマツカは警戒心を解かないまま京之助を見る。


「まあね。けど折角だ、本番の前に僕とやらないかい?」

京之助が剣を向けアマツカに宣戦布告する。


「いいだろう、準備運動にはちょうどいいしな」

アマツカが魔導システムのデバイスを取り出しコードを入力、魔法演奏と音声入力をし最後に決定ボタンを押す。天使の中性的な衣装からアマツカの姿が変わり女性用かと見まごうヒラヒラした衣装になる。変身を終えたアマツカは腰に下げた双剣を柄の下部分で接合させ薙刀のような形で構える。



★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★



アマツカと京之助が戦闘を開始して少し経った頃、司と梨李花も京之助の分身の場所に着いていた。

「あらそれがあなたの新しい姿ね、初めて見るわねぇ」

まず梨李花を見る。次に司を見ると驚いた顔になる。


「おやまあ、あなたがその姿になるなんて意外ねえ。梨李花ちゃんとお揃いの姿かしら、かわいいー」


「誰だこいつ………」

梨李花の言葉にうんうんと頷くしか出来ない司。一見鎧騎士にしか見えない男がオネエ言葉を発している。低い、とまでは行かないが男性特有の声色で女言葉で話している。オネエという存在自体は昨今テレビのバラエティ番組などでよく見るようなったため違和感はないがそれでも目の前の男から感じる雰囲気は異質だ。


「あら、覚えてないの?あたしよ、あ、た、し」

彼?が身体をクネクネとさせながら語りかける。


「梨李花さん知ってます?」

「知らないけど、ホントあんた誰よ」

なおチンプンカンプンな二人は騎士に詰め寄る。


「ふふっ、そこのー、あなたがー、前に美羽羅て子と戦ったあとー、司くんと戦った魔法使いて言った方がいいかしら?」

もっいぶったように言う騎士。


「あ、あ……」

「あ……」

『あー!!』

そこで彼を指差しようやくその正体に気づく二人。驚きのあまり声が大きくなっている。


「いやいや誰よあんた!キャラ変わり過ぎよ!なにをどうしたらオネエになるのよ!」

「そうだよ、変だよ!こんなの絶対おかしいよ!」

目の前にいたのが鬼道京之助と気づいたもののその当時の彼と目の前の彼との性格にギャップがあり過ぎ抗議をする二人。


「それはどうかしら?あくまであれはあたしの一面に一つに過ぎなかったかもしれないわよ。もしかしたらこれがあたしの本来の姿て可能性もあるんじゃない?」


「マジ?じゃあこっちが………」

梨李花は京之助の言葉に納得しかけるが通信が入りそれを否定する。


『いえ、それはないわ』

「佳代子さん?」

本部で梨李花達の様子を確認していた佳代子だ。魔導システムの通信機能を経由して本部に現場の音声を拾っていたのだ。


『今やつの本体らしきものとアマツカが戦ってるけどこっちは比較的普通の性格をしていたわ。だからやつが元々オネエということはないわ』


「あ、そう。てかその情報いります?」

『いやだって通信越しにあんだけ騒がれれば嫌でも突っ込みたくなるわよ』

因みに今の司と梨李花の様子を見ていた榊班にメンバー達はみな凍りついたような状態にいた。


「さいですか」

割と最初の方に出て久方ぶりの京之助の再登場でございます。ブックマークや評価よろしくっす

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