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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
1章 魔法使い登場
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八話 悪の魔法使い三人衆



真夜中の路地に三人の男と三人の男女がそれぞれ向かいあっている。男達は上半身裸に狼をかたどった形状の肩のコートを纏いナイフを長くしたような剣を持つ。リーダー格の男は無精髭を蓄え、別の男は髪を金に染め、また別の男は髪を長く伸ばしている。男女の側はちょうど相手のリーダー格の男と向かい合うようにいるのが黒羽彩音(くろはあやね)、セミロングの髪にショートパンツにへそ出しルック、ノースリーブコートに鎌を武器に持つ。横にいるのは天城司(あまぎつかさ)、天使の名通り白装飾に白い羽根と光のリングを浮かべている。もう一人は花村早紀絵(はなむらさきえ)、髪をツインテールにし赤いゴスロリ服に杖を所持する。


「司くんはロン毛を、早紀絵ちゃんは金髪をやって!」

「お前が命令すんのかよ!」

「分かった、こっちはまかせて!」

彩音の指示で動く早紀絵と司。


彩音は正面のリーダー格の男に切りかかる。男はそれを剣で防ぐ。鎌の柄と剣の刃がぶつかり剣が鎌の柄を傷つける。

「まさか死神と天使が仲間だっとはなあ、しかももう一人仲間がいたと来たもんだ」

「本物の魔法使い舐めないで欲しいね。あんたらみたいな偽物と違ってバックに大きい組織がついてるの」

「流石死神、恐いねえ」

彩音と会話する男は剣に込めた力を徐々に上げる。押された彩音が切られる前に後退すると鎌にエネルギーをためオーラ状の鎌を飛ばす。

「ハァッ」


オーラの鎌は剣で防御した男ごと後退させさらに右から左から襲う。

「てめえ、飛び道具とか卑怯だぞ!」

「魔法使いなんだから飛び道具使って当たり前じゃん」

彩音が男の抗議を突っぱねオーラの鎌で追撃する。実体の鎌に合わせオーラの剣が連動して動く。


「切り裂けぇっ!」

四方八方から男をオーラの鎌が襲う。




一方早紀絵は髪を伸ばした男と対峙していた。

「誰だか知らないが君みたいな可愛い娘は戦いなんて似合わないぜ。早くお家に帰りな、ベイビー」

男は長い髪をかきあげキザに言う。

「おい、あたしを舐めてんのかてめえ。こちとら取っ組み合いの練習なら組の連中と毎日やったんだ、普通じゃねえやつにも遅れは取らねえよ」

早紀絵は一歩も引かない。

「そうかい。なら、後悔してもしらねえぜ!」

男が早紀絵目掛け切りかかる。

「はっ」


早紀絵は杖から炎の弾丸を発射、相手を衝撃で転がす。

「やるねえ、嬢ちゃん」

男が軽口を叩きながら起き上がる。

早紀絵は飛翔し空中から炎の弾丸を撃つ。だが男はそれを足で踏ん張り耐える。


「思ったより頑丈だな」

相手が倒れていないことに関心する早紀絵。

「ヒュー、空を飛ぶとか流石魔法使いだねえ」

相手もまた早紀絵を見て関心する。


「けど……」

男は跳躍、早紀絵目掛け切りかかる。剣を頭から受けた早紀絵は真下の地面に落下する。




早紀絵と反対側の場所で金髪の男が司と対決しようとしていた。

「お前の話は俺達に力をくれた女から聞いてるぜ。魔法使いも化物も狩る神の使いさんてな」

「へえ、僕って有名人なんだ。けど力をくれたって?」

司は自分が有名人だということにも驚いたが男達が元々特殊な力を持っていたのではなく別の人間から力を持っていたという事実に興味をそそられる。


「魔法使いになってみませんかとかいう書き込みをネットの掲示板で兄貴が見つけてな、そこに連絡したら金と引き換えにこの力をくれたってわけさ」

男がベルトのバックルになっている宝石を指して言う。

「魔導システムの売人か。あれ、もしかして悪い魔法使いて今までもたくさんいた?」

「だからさっきそう言ったろ」

「そうだったのかー、魔獣退治してたら倒すとたまに人間になってるのいたけどあれ悪の魔法使いだったのかー」

「お前、魔法使いと化物の区別つけないで倒してたのかよ」

「どっちも悪党には変わりないから倒せばいっしょでしょ」

「言うじゃねえか 」


男は挨拶を一通り終えると剣を構え駆け出す。司も光の剣を生成し振り上げる。光の剣が実体の剣がぶつかり火花のように散る。


「やるじゃねえか」

「いや、僕の方が上だね」


司は相手の剣を弾きそのまま身体を切り裂く。しかし相手の身体から血が出たり皮膚が避けることはなく火花が散るのみだ。


「相変わらず硬いよね、君らは」


司は魔法使いの頑丈さに歯噛みする。短時間で勝負を決めたいのか光の剣を仕舞い、拳を振り上げる司。同時に拳にもエネルギーを込める。拳が男に当たるとエネルギーの当たった衝撃で爆発、はるか後方まで吹っ飛ぶ。男が倒れると同時に服装が一般的なものになり、傍らに割れた宝石と金属片が落ちる。

司が男が無力化されたのを確認すると背後から何かが落下した音がし振り返る。早紀絵が戦闘をしている方向だ。

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