七十四話 追跡、レオパルド使いの少年
人を調べるのに都合のいいIT課、課長の再登場でございます
僕達はウィザードマテリアルの技術部IT課というところに来ていた。僕は前に来たことあったけどこの人数では初めてかな。
「お久しぶりです課長。一つ頼みたいことがあるのですが」
李梨花さんが話しかけた相手、IT課の課長はしわくちゃのシャツにヨレヨレのズボン、に白衣を着た男の人でちょっと頼りない感じ。
「おや、どうしたんだいみんなお揃いで」
まあ六人も一斉に移動してたら驚くよね。
「この写真の少年の身元を洗って欲しいのですが」
李梨花さんがスマートフォンに表情させた例の写真を出す。
「魔法使いの事件に関係する人かい?」
「まあそんなところです」
ほんとは違うんだけどここではいって言っとかないと断られそうだからね。怪物退治の組織とはいえ勝手に無関係な人を調べるのはプライバシー的によくないんだけど彼は別件だからね。
「ふーん、じゃあ写真のデータ照合するからメモリかスマホの本体貸してくれる?」
課長は深くは聞かなかった。正直課長が細かい性格だったら本当のこと聞かれて上手く行かなかっただろうね。
李梨花さんがSDカードを渡し課長がパソコンに指す。カチャカチャとキーボードを操作していく課長。
「なあ、ホントにこんなんであたし達を撃ったやつがの正体が分かるのかあ? 」
沙紀絵さんが疑問を口に出す。正直僕も前調べてもらった時は相手の名前も組織も分かってたから大丈夫だったけど今回は写真だし特別な組織に所属してるわけじゃないからね。
「写真のデータとそれに関する情報があれば不可能はないよ。写真か個人情報しか見つからなかったらそれまでだけど。あったあった、これだよ」
課長が写真のついた文書ファイルをパソコンの画面に表示させる。
「これ、私立中学の学生の個人データみたいね。中学で私立ってことは頭いいのかしら」
美羽羅さんが文書を分析する。高校や大学ならともかく中学は義務教育だからわざわざ受験しなくても地元の方行けばいいもんね。文書には名前と学校、住所、家族構成や卒業した小学校などなど色々載っている。そこで僕は名前の部分を見て愕然とした、あいつは、そんな、なんで忘れてたんだ、一番大事な存在だったのに………。
「あ、この人雑誌で見たことあります!載ってた時着てた制服が同じです!名前もいっしょです!」
美海ちゃんが声を上げる。
「どういうこと?!もしかしてこいつ、有名人なの?!」
僕は我を忘れ美海ちゃんの肩を掴み詰め寄る。
「えっと…………、確か近年稀に見る天才中学生て載ってたような…………。なんでもチェスの世界大会出たり色々論文書いてるとか」
「え、あ………そう」
あいつ、天才だったんだ。五年前はそんな素振りちっとも見せなかったのに………。
「はっはーん、やっぱ知り合いだったのねこいつとは」
李梨花さんが親指と人差し指を立てて顎に当てて勿体ぶったポーズで言う。なんでそんなかっこつけてるのさ。
「あ、もしかして昨日司くんが帰ってからボーッとしてたのてそういうことだったんだね!もー、そんなことなら言えば良かったのにー」
彩音ちゃんも声を上げて興奮する。そんなに騒がないでよもう、僕だって確信はなかったんだから。
「僕だって色々人付き合いがあるの!いいじゃんこいつと知り合いでもー」
「ま、あなたの知り合いならやりやすいわね。とりあえずここに書かれてる学校だか家の住所に向かうわよ」
美羽羅さんが仕切る、この人たまにリーダーぽくなるよね。
「色々立て込んでそうだけどとりあえずこれを印刷すればいいのかな?」
課長がこっちを向く。
「あ、はい。お願いします」
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