七十二話 オムライスの失敗
今回から新しい話なんでキャラの一人称、司視点で行くっす。前の話の最後に出たレオパルド使いの少年の話がメイン
ガルムと会った日の夜、僕は晩ご飯のオムライスを作っていた。白いご飯の中にケチャップを混ぜる作業だ。ケチャップをご飯の中入れていく、ちょっとじゃなくてドバーッと入れてまんべんなく行き渡るように。しゃもじでカッカッと混ぜていく。
「司くん?ねえ、司くんってば!」
声をかけられてハッとする。まただ、ガルムがモンスターを倒した後出てきたレオパルドっていうモンスターを連れた人を見てから彼の顔が頭から離れない、もしかしてどこかで会ったことあるのかな。
「彩音ちゃん?」
顔を上げると居候の彩音ちゃんがキッチンを挟んでリビングに立っていた。やば、あんまりボーッとしてるから心配かけちゃったかな。
「やっと反応した、さっきから話しかけてたんだけどずっと返事しないで上の空なんだもん」
「ごめんごめん、何か用かな」
「司くんあのね、もし、司くんに何かあったり悩んでることがあったらどんどん言っていいから。わたし達、家族でしょ?」
家族、か。まだ二ヶ月とちょっとしか彩音ちゃんとは住んでないけどそんな風に考えてくれてたんだね。ちょっと嬉しいや。多分ヴァミラのことを黙ってたから気使ってくれたのかな。
「ありがとう彩音ちゃん。大丈夫だよ、もう隠しごととかしないから」
「そう。なら良かった」
「みんなー、晩御飯出来たよー」
リビングに行き完成したオムライスを並べる。家主の叔父さん、真奈美、彩音、そして僕と並べていく。真奈美も僕達と同じ居候なんだけど小学生なんだ。叔父さんは変わった人で親戚の僕だけじゃなく叔父さんが教授をやってる学校の元生徒の真奈美や僕の知り合いまで住まわせてくれる変わった人なんだ。
「お、今日はオムライスか」
「いっただきまーす」
「いただきます」
オムライスを食べ始める。ん?何か変だな、味が………、薄い?
「あれ、司くん。ちょっとこのオムライス、ケチャップの味が薄くないかい?」
「ほんとだ、薄いね」
「もしかして司くん失敗しちゃった? 」
みんなも気づいたみたい。ははは、まさかレオパルド使いの人のことをここまで引きずってたなんて、笑っちゃうよね。どうしよう、多分彩音ちゃんにも気づかれるよね。あまりいらない心配はかけたくないんだけど。
洗い物も終わってお風呂にも入った後自分の部屋で天井を向いて目を瞑る。こんなに気になってるんだ、レオパルド使いの彼とは前に会ったことがあるはず。でも思い出せない、誰なんだろうあの人は。自分の記憶力が情けない、記憶にあるなら思い出せてもいいくらいなのに………。
そうこう悩む内にスマートフォンが鳴った。画面を見ると李梨花さんからだ。
「はい、もしもし?」
『あ、司?今日蜘蛛のモンスター倒した後出てきたあいつだけどさあ、なんか心当たりない?』
やっぱり気づいてたか。李梨花さんて妙なところで感が効くからね。
「すいません、一応引っかかってはいるんですけど誰なのか分からなくて」
名前が分かれば調べようはあるんだけどそれすら出てこないからどうしようもないんでよね。と、思ってたら李梨花さんが思いもがけないことを言ってきた。
『ふーん、でも一応写真は撮っといたからそれを元に調べるてことは出来るのよ。問題はそいつがどの辺りに出没するかだけど』
写真?そうだ!名前が分からなくても写真があるならもしかしたら調べようはあるかもしれないじゃないか!
「李梨花さん、明日の放課後空いてます?」
『空いてるけど……何する気?』
「彼の正体、分かるかもしれません」
『マジで!?写真だけで?!なにそれ、教えなさいよその方法てやつ!』
すごい興奮してるっていうのが電話口でも分かる。まあ写真から簡単に人の正体が分かるて言ったらそりゃ興奮するよね。
「そのためにですね………」
僕はその彼の正体を掴む方法を話し出す。
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