六十七話 青い魔法使いと元天使は山の下の方
山の上で沙紀絵が戦ってる中李梨花と司は………て話
「魔法使いねぇ。聞いたことあるわ、人間の分際であたし達モンスターにたてつこうって生意気な連中でしょう?いただけないわねぇ」
「ふん、たてつくも何もそっちが勝手にあたし達の世界に来て悪さしてんじゃねえっかっ」
沙紀絵が木々の柱や枝を飛び交いながらアラクネに接近する。
「はぁっ」
アラクネに膝蹴りを食らわす。
「きゃあっ」
悲鳴を上げダメージが入ったかのように見えたがしかし………。
「なんてね」
目は複眼のようになっていて表情は伺いづらいが口元は人間同様の形で悪魔の笑みを浮かべていた。
「う……」
沙紀絵の首を掴み下方へ叩きつける。
「うわっ、ゲホッ、ゲホッ」
気に当たり咳き込む。
「全く、人間の分際の分際であたし達モンスターに逆らうなんて無茶したものねぇ。でも無理、あたしには敵わないわよぉ」
「うるせぇ、黙ってやられてろ」
沙紀絵は木々の移動しつつ今度は杖を出し魔力の弾丸を発射する。それをアラクネは腕で弾いていく。
沙紀絵が戦う中、さなえは自分の無力感を感じた。
─────豊太郎はヴァミラを連れてる、沙紀絵は魔法使い、でもわたしには何の力もない。どうして自分は何の力もないの?友達が頑張ってるのにわたしだけ何も出来ないなんて嫌だ、わたしにも力が欲しいよ……。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
一方、李梨花と司はまだ山の遥か後方を登っていた。
「あれ、豊太郎達どこ行ったんだろ」
「見当たらないわねぇ」
「迷子ですかね?」
「うわ、ありうるわねぇ。大丈夫かしらあの子達」
二人は知らない、目的地にたどり着けていないのは自分達の方で豊太郎達は既に目的地に確実に向かっていることに。
「李梨花さん、あれ何でしょう?」
階段となっている山の道を外れた奥の場所、そこで司が指した方向には祠らしきものが佇んでいた。
「祠みたいね、何か祀ってるのかしら」
近づく二人。
「光ってる?」
よく見ると中からは青い光がわずかながら出ていた。
「開けてみましょう 」
「いいの?罰とか当たらない?」
「駄目なんですか。何か僕これ開けたくてウズウズしてるんですけど」
「豊太郎のとこの神主さんが祀ってんだから勝手に開けたらだめでしょ」
「ですよねー」
「ごめん、やっぱ開けていい?何かあたしも開けたくなって来た」
「ちょっと李梨花さーん」
「もう開けていい?」
「折角なんで開けちゃいます?」
「よし、じゃあ行くわよ」
祠の扉に手を掛ける二人。ギギィーという音がして祠の中が露わになる。
『うわっ』
光がさらに強く光り目を塞ぐ二人。中に入っていたものが外に移動しどこかに飛んでいく。
「あ、え?」
「ちょっと、どこ行くのよー」
青い光を追いかけて行く。
場所を戻し山の上方では沙紀絵がアラクネに苦戦を強いられていた。
「ふふふ、いい顔するじゃなぁい。このまま食べちゃおうかしら、あ、な、た」
沙紀絵を目の前で糸で縛り顎をなぞりながらアラクネが艶っぽく言う。
「く、ほどけねえっ」
「あら、じたばたしても無駄よぉ。この糸はあたしの愛のフェロモンで出来てるんだ、か、ら」
「分かんねえよそんなもん」
さなえの側には糸で縛られた狼がおり沙紀絵を助けることは出来ない。
────本当に何も出来ないの?このまま沙紀絵がやられたら終わりなの?そんなの、いやだ………。
さなえが心の中で叫ぶ。
「待ってー」
「待ちなさーい」
下方から突如この緊迫した空気を壊す声が飛ぶ。司と李梨花が青い光を追いながら現れる。
「お前ら、何やってんだよ」
「今頃おせえぞ!なにやってたんだよ」
沙紀絵と豊太郎が司と李梨花が遅れたことに怒りを見せる。
「そっちこそ何してんのさ、ミノムシごっこ?」
「ダッサ、仮装にしては趣味悪いわねぇ 」
司と李梨花の方も相手の姿に苦笑を禁じ得ない。
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