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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
七章 ガルム オン スパイダーズ
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六十四話 裏手の山へ



「みんなー、おかき持って来たわよー」

豊太郎の姉の佳奈が現れ麦茶とお茶請けのおかきを持ってくる。


「お、姉ちゃんサンキュー」


そこを豊太郎が通りすがりにおかきを一つ摘み一気に食らう、さらに麦茶を一気に飲み下す。


「いただきます」

「わたしも」

「では失礼して」

「くれんのか、ラッキー」

司達も続く。


「えっと、立って食べたり飲んだりするのは行儀が……」


「ごちそうさま」

トンと麦茶のコップをお盆に返す一同。


「じゃ、姉ちゃん行ってくる」

廊下を通り外に向かう。


「ちょっとー、帰りはいつになるのー!」

佳奈が後ろで叫ぶ。

「夜には帰るー」



二宮神社の外に出ると山の方からドーンという音がした。


「なに?」

「爆発?」

「山の方ね」

「行ってみようぜ」

ヴァミラを連れた豊太郎を筆頭にさなえと沙紀絵も山の方へ向かう。


「ちょっと待ってよみんな!大丈夫かなー」

司は心配そうに先に向かった豊太郎達を見る。


「何心配してるのよ、沙紀絵もヴァミラもいるのよ。簡単にはやられないわ」

司と同じく残った李梨花が言う。


「まあそうなんですけど何か不安っていうか」

「ま、最悪あたしがどうにかするから安心なさい」

「何か李梨花さんが言うと安心感ありますね」

「褒めても何もでないっつーの」



森内部へと入る豊太郎達、そこにはなんと狼が倒れていた。毛は全体的に青く染まっているが所々白い部分ももあり額から鼻筋にかけて十字の模様が出来ている。


「狼?」

「こいつ、司の夢に出てきたっていうあれじゃね?」

「やっぱり正夢だったのか。あいつ軽く予知能力でもありそうだな」


「しっかりして」

さなえが狼を揺すると狼が覚醒、立ち上がる。


「人間か」

「うわ、喋ったぞこいつ」

沙紀絵が驚く。


「いや今さら何言ってんだよ」

「コクコク」

豊太郎とさなえが突っ込みを入れる。既にヴァミラという人語を介すドラゴンがいるため狼が喋ったところで驚くことはない。


「ねえねえ、キミはなんでここで倒れてるの?」

ヴァミラが狼に聞く。


「お前は………そうか、お前もこの世界に導かれて来たのか。この山には近づかない方がいい、なんたって魔物がいる」


「魔物?モンスターか!」

「それって蜘蛛みたいだったるする?」

「ほう、知ってるなら話は早い。お前達も痛い目に合わない内に山を降りるんだな」


「だい……」

「そうはいかない。俺には、俺達にはやることがあるからな。まだそれが何なのか分からないけどこんなとこで逃げてるようじゃそれは成し遂げられない!」

沙紀絵が狼を励まそうとした時豊太郎が前に出て強い決意を示す。


狼は目をまばたき驚くがすぐに笑うと言った。

「面白いことを言うなお前は。ついてこい、やつらのところに案内してやる」

山を登り顔を少し豊太郎達に向ける狼。狼についていく豊太郎とさなえ。


「すげえなあいつ、魔法使いでもねえのにいっちょ前に啖呵切りやがった。なあ、つか………あいつらまだ来ないのかよ。情けねえなあ」

豊太郎の態度に関心した沙紀絵は同意を求めるが司も李梨花もまだ追いついておらずがっかりしてしまう。


「ここだ」

狼の足が止まる。

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