五十六話 正義の魔法使いwith元天使の学友
ところ変わり二宮家邸宅、モンスターがドラゴンを倒したあと豊太郎達は状況を整理するため集まっていた。
「で、こいつは結局何者なわけ?」
李梨花がドラゴンといっしょに出されたお菓子を食べながら言う。
「いや、まずあんたがなにもんだよ。サイの化物と戦ったり派手な格好してたり色々おかしいだろ」
豊太郎が突っ込む。
「え、司から聞いてない?」
「話すわけないじゃないですか。下手に話してこの二人巻き込んだらどうするんですか」
「それもそうね」
「えー、オホン。あたし、城野李梨花、怪物退治のバイトやってます。司も前は手伝ってくれたんだけど今は絶賛休業中て感じかしら」
「そんなもんあったのか。で、あの格好はなんなんだ?」
「これはね魔導システムって言うの。言ってみれば魔法使いになる変身アイテムね。これで怪物を倒してる、変身しなくても出来る場合もあるけど」
李梨花が端末を見せる。
「へー、便利だな。俺にも使わせろよ」
「だーめっ、素人が使ったら危ないの。第一、男のあんたが使ったら女装になるじゃない」
「あ、そうか」
「え、女装になるんですか?」
司がそこで質問を入れる。
「そういえば試したことなかったわね。やってみる?」
「あ、はい」
端末を司に渡す李梨花。
「俺じゃないのかよ」
豊太郎が抗議する。
「嫌だ、万が一女装になった時可愛いくないから」
「お、おう………」
そうか、自分は女装したところで可愛いくはならないかのとなぜか安心し奇妙な答えながらも納得してしまう豊太郎。
「じゃあ、ボタン押しますね」
端末のボタンを押していく司。
「魔法演奏」
最後に音声入力をし姿を変える。
「これは………」
「うわ……」
「司、可愛い」
思案気に見つめる李梨花、若干引き気味の豊太郎、サムズアップをするさなえと反応は様々だ。
「スカートに、なってるね。あはは、流石にこれは………恥ずかしいや」
司がスカートに触れ顔を赤くする。
「そんなことないわ!可愛いじゃない!いいわ司、いいわよ」
目をクワッと見開き司の肩を掴む李梨花。
「そ、そう、ですか………」
思わず引いたような表情になる司。
「なになに?!」
パシャパシャッとカメラのシャッター音が鳴る。驚いた司が確認するとさなえがデジカメを構える司を横から捉えていた。
「いい、いいよ司」
司からはデジカメが邪魔して顔は見えないが心なしかさなえの声が興奮している。
「えっと………さなえ、なにをしてるのかな?」
恐る恐る聞く。
「あなたの勇姿を愛する司フォルダに保存する、そして今晩のオカズにする」
「するな!断じてするな!消せ、そのデータ、消せぇ」
司が今までにないドスの聞いた声で詰め寄る。その迫力にさなえはカクカクうなづくしなかなかった。
「あー、びっくりした」
司の呟きにびっくりしたのはこっちだと心の中で突っ込むさなえ達。普段おとしい性格の司とはあまりにギャップがありすぎた。
「で、もう一個パワーアップ状態の魔導奏者の方だけど」
李梨花が司の腰に下がっていた端末を操作し魔導演奏と呟く。
「ちょ、李梨花さん!?」
女装した状態のまま衣装を変化させられた司は驚くしかない。司の姿がアーマーで武装した形態になる。
「わざわざあたしが変身し直すのも面倒だしいいでしょ別に」
大して気にしないという風な李梨花。
「すっげえ、まるでヒーローみたいじゃねぇか!ポーズ取ってくれよポーズ」
豊太郎が子供のように興奮する。
「豊太郎?」
「いいからー、頼むよー」
猫なで声になる豊太郎に戸惑いながらも承諾する司。
「わ、分かった」
「よし、カメラ貸せ」
さなえからデジカメを奪い司に色んなポーズを取らせてはシャッターを切る豊太郎。
「豊太郎、そろそろいいかな。何か僕、疲れてきたんだけど」
「やっば。豊太郎、端末貸して!」
まだ短時間だが魔導奏者のデメリットである肉体への負担が現れはじめ焦る李梨花。急いで端末を操作し変身を解除させる。
「ふー、やれやれ間一髪……」
額の冷や汗を拭う李梨花。
「ちょ、いいとのだったのに何すんだよ」
豊太郎が抗議する。
「言い忘れたけどこれ強いけど体力使うから。素人が使ったら死ぬわよ」
「マジか」
「マジ」
李梨花に言われ豊太郎が自分がやらせていたことの重大さに気づく。
「司、ごめん……」
「いいって豊太郎、まだ僕元気だし。むしろこれくらいがちょうどいいよ」
「ああ、ほんとごめん……」
「で、肝心のこいつだけど」
もし良かったらブックマークや評価お願いします




