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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
六章 天使の翼をなくした少年編
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五十一話 俺たちの放課後に金色のサイが来やがった




「いったーい。もう、そんなに急に起きないでよもー」

「ってぇ………」

ガバッと起き上がると頭が誰かと当たった。すげえ痛い。


夢から覚めた俺が目の前をいるとさっきの女教師がいた。長い髪の毛をお下げにしてスーツっていう出来る女、みたいな格好してるんだけど顔がまだ大学生引きずってそうな可愛い見た目だ。よく見るとこの人おっぱいでけえな、これがロリ巨乳か。いや、背はそんな低くないけど。


「えっと、クラス替えして初めて同じクラスになる人もいるから自己紹介してるんだけどそろそろ二宮くんにもやって欲しいかなて思うんだけどお願い出来るかな?」


言われて俺も自己紹介をし続いて他のクラスメイト達も自己紹介をやっていく。



ー ー ー ー ー ー ー



放課後俺は幼なじみの司やさなえといっしょに実家の神社に集まった。何をするっていうわけじゃないがいつも通りお菓子食ったりゲームやったり適当にやってる。暫く前から美海や彩音も来てたんだが最近はめっきり来なくなったんだよなー、なんかあったのか?あ、美海は今日生徒会か。


「そういえば最近美海と彩音来ないね、何かあった?」

さなえも気になってたのか。


「彼氏でも出来たんじゃね?」

デートで忙しくなれば俺たちと絡む時間とかないからな。


「え、二人いっぺんに?」

「うっ……」

司の野郎、痛いことを突いて来やがった。


「じゃあお前はどう思うんだよ?」

俺がそう言うと司は少しの間目を左右に動かすとおもむろに喋りだした。


「バイトが忙しくなった」

「あいつらバイトしてたのかー」

納得した。そうだよなー、バイトかー、バイトは忙しい時とかあるよなー。特にコンビニやスーパーは季節とかそういうのありそうだし。


「ねえ、中学生ってバイト出来たの?」

さなえが指摘する。


「え、出来ないのかよ」

「確かアルバイトは高校生ぐらいにならないと出来ないはず」

「おい司、どういうことだよ。中学生はバイト出来ないって言ってるぞ」

俺は司に抗議する、よくも嘘教えやがってコノヤロー。


「いや、会社とかじゃなくて家の手伝い」

司が訂正する。


「それバイトっつうのか?」

「お金貰ってないからアルバイトとは言わない」


「でも二人はお金貰ってるって言ってた気が……」

「どうせお小遣い程度のはした金だろ、バイトっつうほど貰ってねえよ」

「コクコク」

「うん、まあそうだね」


会話がなくなりまたいつものように沈黙が続く。

「ねえ暇、どこか行かない?」

さなえがいきなり切り出した。


「どこかってどこだよ」

「どこか」

いやどこだよ、煮え切らねえな。



行く当てもなく俺たちは近所の公園に来ている。幼稚園児や小学生に混じってブランコに乗るさなえはなんだかシュールだ。


「ねえねえ、立ち漕ぎとかしないの?」

司がさなえに話しかける。

「そういうのはいい、疲れる」

「じゃあ普通に座って漕ぐ」

「それもいっしょ」

「じゃあ………」

「立ち漕ぎしてジャンプとかもやらない」

「あ、そう」


変な会話だなあと思いつつ俺は持ってきたポテチを口に入れる。その瞬間、遠くで大きな音がした。二人が俺を見る。


「いやいや俺じゃねーよ!俺はポテチ食おうしてただけだけで何もしてねーよ!」

「だって、ねえ?」

「うん、タイミングが良すぎる」

「いやたまたまだからな、たまたま!あれと俺がポテチ食うのは関係ねえから!な?!」


「まあいいや。ところでさっにのあれ、気にならない?」

「事故でもあったんじゃない?」

「それは大変だ、車がペシャンコになってそうだな」



音のした方に向かう俺たち。そこには予想もしない光景が広がっていた。

「ひどい………」

「なにこれ………」


大きな幹線道路でボンネットがペシャンコやトランクがペシャンコになった車があちこちに散らばっていた。中にはひっくり返った車もある。おいおい、中の人は大丈夫なのかよと思ったがなんとか扉を開けて逃げてる人もいるから問題なさそうだ。


「おい、あれ見ろよ!」

「あれって……」

「サイ?」

俺が指さした方向には金色のサイにしては変なやつがいた。身体の横に丸い突起が並んでるし顔の下が銀になっていてRPGでもこんなやついねえだろて感じだ。この状況はやつが作ったのか。


サイがこちらに気づいたのか顔を向けてくる。

「何かやばくない?」

「ああ、逃げるぞ」

追いかけて来るサイ、俺と司はその場を離れようとするがさなえはじっとしたままだ。

「お前も行くんだよ」


俺たちは全力疾走でサイから離れようとしたが出来なかった。あのサイ、トラックくらいのサイズあるのにかなりのスピード出やがる。体当たり食らうのも時間の問題だ。


「豊太郎、あれ!」

司がさっきまでいた公園を指さす。いや、正確には公園の中のジャングルジムだ。そうか、その手があったか!公園の中にいた幼稚園児や小学生がサイに気づき逃げて行く。


器用にジャングルジムを登っていく司、俺もそれに続く。さなえに手を伸ばし、登るのを助ける。これで三人ともジャングルジムの頂上にいる形になる。ひとまず安心、出来るかっ!ジャングルジムに登ったはいいがサイの野郎、頭でジャングルジムの足をガンガンつついて来やがる。


「おいこれどうすんだよ、やばくね?」

「ジャングルジム、壊れる」

「どうするって言われても………。あ、そうだ、ちょっと待って」

そう言って携帯を取り出す司。え、警察?警察でどうにかなるのかこの状況?

今回で豊太郎視点は一回切って李梨花にチェンジ。

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