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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
五章 ヤクザの娘さんとそのボディーガード
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四十五話 女王再び、魔王院ありさの実力



黒いドレスに爪のついた巨大な手脚、歪な角や羽の生えた姿、魔王院ありさが出現する。ありさは上空から現れ降り立つと彩音の方を見る。


「まずい!彩音がやられる、みんな急ぐわよ!」

「当然だ!」

「てめえに言われなくてもやるっての!」

李梨花を先頭に魔法使いが彩音を守ろうと駆ける。


「あなたなんのつもり?わたしの邪魔する気?」

紗栄子がありさを睨む。すると彩音の方を見ていたありさが向きを変えニヤリと口の端を吊り上げる。


「な、なによ」


「そう、あなたがそうなの」

ありさの顔は変わらぬが何か獲物を見つけたかなような表情になる。


「何の話?」

紗栄子は何のことだか分からない。ありさがゆっくりと紗栄子に近づく。


「あいつ、どうする気だ」

アマツカ達は彩音の側によるがありさの動きに釘付けだ。


ありさは紗栄子の正面に立つと爪のついた腕を手前に引き一気に突き出したのだ。

「え………」

紗栄子が悲鳴を上げる間もなく腹部に三本の爪が刺さり血が流れる。


「母さん!」

彩音が叫ぶ。


「ライフドレイン」

ありさが呟くと爪を伝い魔力とは違う何かがありさに流れる。


「う、うぅ…………」

紗栄子は力なく声を漏らすがありさに逆らえず徐々に目からは生気が徐々に失われていく。


「あなた、母さんになにを、うっ………」

彩音はありさに飛びかかろうとするが紗栄子との戦いで体力で失いまともに動けない。


「おい赤いの、こいつを下げろ」

アマツカが沙紀絵に言う。

「色で呼ぶなよ!」

「お前も先の戦闘で消耗している。こいつのお守りをするには適任だろう?」

「舐めた口聞きやがって、覚えとけよな」

反抗的な態度をとりつつも彩音を抱きかかえ後ろに下がる沙紀絵。


「あんた、何のつもり?その人、あんたの仲間じゃなかったの」

李梨花がありさに迫る。


「ああ、これ?」

紗栄子から爪を離し地面に倒すと李梨花の方を向くありさ。


それを見た彩音がまた動こうとして沙紀絵に止められる。

「落ち着け彩音!今は無理だ!あいつから感じる力は普通じゃない、分かるだろ!」

「でも……」

「大丈夫だ。あいつらがどうにかしてくれる、だから今はあいつらを信じるんだ」

沙紀絵が彩音を後ろから抱き締めアマツカ達を見ながら言う。

「うん………」


「実はこの人アンダーウィザーズがあなた達を仲間割れさせるために雇ったらしいんだけど失敗らしくて。美羽羅て人に青い魔法使いを倒してもらおうとしたけどそれも失敗、それで今回も失敗したら始末しろって」

ありさが紗栄子に爪を突き立てた理由を説明する。


「あたしにくれたあれ、やっぱり対李梨花用だったのね」

美羽羅が以前紗栄子に貰った魔導システムのことを思い出す。


「あの、もしかして今回のは誰かに頼まれたってことですか?」

美海が疑問をぶつける。


「この間あなた達から助けてくれた名前は…………確かテンザって言ったと思う、その人に頼まれた。あなた達から見ても裏切り者なんだし別に殺してもいいでしょ」

ありさが器用に爪を一本たけ顎に当てつつ答える。事情を知らない者が見たら愛嬌すら感じる仕草だ。


しかしそれを聞いて納得しない者がいなかったのか、ありさにソニックブームが飛ぶ。ありさはそれを爪で受け止め粉砕する。続けてソニックブームを飛ばした李梨花自身が接近戦を仕掛ける。


「悪いわね、あれは元々あたしの仲間の獲物なの。勝手に横取りしないでくれる?」

「別にいいでしょ、死ぬのはいっしょだし」

ぶつかり合っていた剣と腕が弾き合う。


李梨花が離れると今度は美羽羅が二等辺三角形の刃の双剣で発生させたカマイタチをぶつける。

「そうはいかないの。あれはあの二人が自分達で決着をつけなくちゃいけなかった。今さら手遅れだけどあなた余計なお世話よ」


「人間て色々複雑」

ありさは攻撃だけでなく相手の言葉すら不快という感覚を覚え口をすぼめる。


「ハアッ」

今度はアマツカが急襲し双剣で連続攻撃を仕掛ける。休みなどほとんどなくありさは躱すので手一杯になる。


「あなたは何か喋らないの?」

ありさがアマツカに呼びかける。


「私は人間ではないからな、そんな事情に興味はない。強いて言うなら仲間や部下を捨て駒のように扱う連中などに生きる価値はない!」

「そう、天使さんて相変わらず面白いこと言うね」

ありさは一瞬の隙をつきアマツカに爪を突き立てる。


「させるか!」

アマツカが叫ぶと双剣を中心に光の壁が出現しありさの爪を受ける。アマツカは弾き飛ばされるが肉体へにダメージや痛みはない。


おかしい、攻撃を受ける合間に反撃したとはいえ相手に比べたらそれなりに威力はあるはずである。それなのに相手が痛みを感じてる気配はない。

「もしかして天使さん前より硬くなってる?」

ありさが疑問から導いた仮説を聞く。


「ふっ、前と同じだと思うなよ」

アマツカが再び剣を構える。


「えーと、これってどう使うんだっけ。あれ、弾ないや。こな間使っちゃったからかな」

美海がありさとは離れた位置のビルの階段で以前アリエルから貰ったライフルをいじっている。

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