三十九話 作戦会議
場所を戻して榊班のオフィス、そこでは司達と大吾との戦闘の映像が流されていた。
「まずはこの映像を見てもらうわ」
佳代子がリモコンを操作し司達が大吾に攻撃を躱されるシーンが流れる。
「うっひゃー、してやられたわねあんた達」
その映像を見ながら李梨花がニヤニヤする。
「悪かったわね、不甲斐なくて」
「たまにはわたし達もこういう時あるよ」
悪態をつく美羽羅を彩音が励ます。
「でも、お姉様が相手に出来なかったて結構強いてことですよね」
美海が大吾のスピードに注目する。
「そういうこと、今回のやつはまず攻撃を当てて動きを止めることから始まるわね」
美海の言葉に佳代子が頷く。
「じゃあスタンバレットやスパイダーを使う感じですね」
隊員の一人が手を上げる。
「正解!みんなやるぅ!」
隊員達が自分の意図することを当てたのが嬉しいのか佳代子のテンションが上がる。
「問題はそのスタンバレットやスパイダーをどう当てるかですね、そもそもその二つが当たらないと話になりませんし」
メガネにオールバックの隊員、鬼龍十一が言う。
「ターゲットの誘導には美羽羅が担当、その先に他の部隊を配置してスタンバレットとスパイダーを撃たせると言ったところかしら。他にもやつは風や騒音を出すみたいだけど一撃で仕留めれば大丈夫でしょ、無理なら地上へ引き込むしかないけど」
佳代子が作戦の詳細を言う。
「なお、今回の作戦はターゲットと個人的な関係のある花村沙紀絵は不参加とするわ」
「沙紀絵が不参加てどういうことです?」
「わけを聞かせてください!」
佳代子が加えた言葉に李梨花と美海が疑問を覚える。
「詳しくはWebで検索!じゃなくてボタンをポチッとな」
佳代子がパソコンを操作する。するとスクリーンに魔法使いの姿の大吾の顔のアップと顔のみの写真が現れる。
「ああっ、あの人!」
「沙紀絵さんの執事さん!」
李梨花や美海だけでなくオフィスの中全体がざわつく。大吾は魔法使いのことも知っているためオフィスにいる沙紀絵を迎えに行くこともしばしばなため榊班のメンバーはほとんどが大吾を知っているのだ。
「というわけで美羽羅の時と違って元から知り合いじゃない人間を狙うてわけじゃないから沙紀絵本人を囮には使えないしターゲットを庇って作戦を妨害する可能性がある今回は沙紀絵は連れてけないてわけ。ターゲットの捕捉はIT課に任せればいいけど」
佳代子が話を終える。
ー ー ー ー ー ー
場所を変わり司と沙紀絵は技術部のオフィス、アリエルの席に来ていた。
「新しい装備?そうですねえ、何がありましたっけ」
「なんだよ、何か出来たんじゃないのかよ」
準備のなってないアリエルに沙紀絵が文句を言う。
「いやー、あると言えばあるんですけどね。どこに置いたか忘れちゃったというか……」
ガサゴソと机の周りを物色するアリエル。
「珍しく散らかってるねここ、手伝う?」
司がアリエルの机の片付けの手伝いを申し出る。
「お、気が利くねー司くん」
「いやいや気が利いてるのは君だって。沙紀絵ちゃんのこと助かるよ」
アリエルが礼を言われると司もアリエルの耳元に礼を返す。司に事情を聞いたアリエルは新しい発明品を探していたというわけだ。
「あったあった、これこれこれだよ。ホーミングライフルとビーコン弾、これがこの間出来たばかりの試作品だよ」
しばらくガサゴソと机の上を漁っていたアリエルがセンサーも本体も大きくなっているロングライフルと弾丸の入ったケースを取り出す。
「ホーミング?なんだよそれ」
沙紀絵がライフルと弾丸を見るがどういうタイプかは分からない。
「ホーミングてことは追尾機能でもあるの?」
一方司の方はライフルの正体を推測する。
「ふっふっふ、その通り!この大きなセンサーで敵を捉えて逃がさないのだー!」
アリエルがライフルのセンサー部分を指しながら大きな身振りで説明する。
「すげー!一発必中じゃねえか」
両手を上げはしゃぐ沙紀絵。
「どうですこのスペック?」
「てかこれセンサーもだけど本体も結構大きくない?」
司が指摘する。ライフルの本体部分は厚さ五センチ、長さ十センチ、奥行二十センチというライフルにしては大型なものになっている。
「やめて下さい、ホーミング機能入れるのに大変だったんですよ。色々おっきいのは我慢して下さいよ」
アリエルがそこだけは言わないで欲しかったという具合に言う。
「いいじゃんこのゴツいの、メカっぽくてかっこいいぜ」
沙紀絵がお気に入りのおもちゃを見つけたかの如くライフルを触る。
「おお、分かりますか。このライフルのすごさが!」
アリエルが沙紀絵の同調に感動する。
「君達こんなところで何をしている、今は上の階で会議のはずだろう?」
司と沙紀絵を見かけたルシフェルが現れて言う。上の階というのは榊班のオフィスのことだ。ルシフェルには沙紀絵のことを言ってないのでここに司達がいる理由を知らないでいた。




