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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
二十一章 イービルクイーンとの決着
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二百五十七話 墓場から追う恐怖




「そんな………」


「ひどい………」


「待って、それが魔界にも流れてるてことは…………」


絵里香ちゃんが言った。


「ああ、魔界もいずれはこちらの世界と同じ状況になるだろう」


悠も言う。


「じゃあ急いであいつを倒さねえと!」


豊太郎が言う。


「レオパルド、アマツカ、ヴァミラ、ガルム、アンジュリアン、やつの動きを止めろ!」


悠が指示を出すとクリーチャー達が動き出す。


「エクスカリバー!」


アマツカが剣を振るう。Mギアからはパワーアップした彼らの情報が頭に流れていた。アマツカの剣は銀の刀身を持った邪悪な力を聖なる力で持って断ち斬る聖剣エクスカリバーだ。


「おっと危ない」


クイーンがアマツカの剣をかわした。アマツカは追撃してクイーンもまた攻撃をかわしていく。


「グングニルシュート!」


「ぐあっ!」


クイーンの後ろからビームが飛んで当たった。飛ばしたのはアンジュリアンさん、金色の槍からビームを発生させたんだ。槍は光を穿って闇に穴を開ける聖槍グングニルだ。


「貴様ぁ、よくも………」


クイーンがアンジュリアンさんを見る。


「ゴルドヴァーミリオンフレイム!」


「なにっ!」


今度はヴァミラが金色の炎を飛ばしてクイーンがシールドで防いだ。いつもの赤い炎じゃない、鎧だけじゃなく炎も金色と化したんだ。金色の炎には神聖な光の力が含まれてて闇の住人であるクイーンにはよく効くんだ。


「ガルムダッシュブレイド!」


「ぐあああ!」


続けてガルムが背中についた翼にビームブレイドを生やして切り裂いた。黄金の翼には闇を切り開いて光へと導く力があるんだ。


「ぐ、う…………」


クイーンが脇腹を抑える。見ると青い体液がダラダラと流れていた。


「やった!」


「超効いてるじゃん、すげえ!」


それを見て豊太郎がガッツポーズをとる。


「流石パワーアップしたガルム」


さなえはえっへんと腰に当てて誇らしそうだ。


「一気に決めろ、レオパルド!」


「イエス、マスター。避けろお前達!レオパルドフルバーストォォォ!」


レオパルドが全身に隠されたミサイルやビーム、バルカンを一気に発射した。


「避けろと言ってから撃つのが早い過ぎる!」


アマツカ達が慌ててその場を離れる。もう少し間を置いてから撃つべきだったね。


ズガガガガ!


クイーンにレオパルドの攻撃が当たって凄まじい爆発音が出た。煙も出て顔を腕でかばった。


煙がなくなると傷だらけのクイーンが出てきた。


「気持ちわるっ」


「うわひで………」


「グロテスク………」


僕達はドン引きする。クイーンの体はあちこちぼろぼろで血もたくさん出ていた。


「すまない、一気にとどめを刺せばよかったな」


悠が謝る。


「いいよそんなの、このまま決ちゃえば一緒だし」


僕は言った。


「そうだな」


「このまま決めるだと……………?我を愚弄する気か貴様ら…………」


『うわっ!』


クイーンの目が不気味に光って僕達を包みこんだ。気がつくと周りの風景が変わっていた。


「ここは…………墓場?」


お墓がたくさんある、いつの間にこんなとこに来たんだろう。


「ここって魔界じゃね?」


豊太郎が言う。


「いや、それはない」


アマツカが言う。


「アマツカ?」


なぜか彼は本来の姿じゃなくて子供サイズになっていた。


「どうした?鳩が豆鉄砲食らったのような顔して」


「だから…………」


僕は彼の見た目を指摘しようとしたら周りの異変に気づいた。


「なあヴァミラ、お前らちっさくね?」


豊太郎が言う。そうだ、ヴァミラ達も大型動物の姿から小動物みたいな姿になってるんだ。


「あれ、なんでだろう………」


「どういうことだ?」


「ねえ、奈々子ちゃん達は?みんないなくない?」


絵里香ちゃんの言葉で気づいた。ほんとだ、周りには僕達しかいない。


「どうしてこんなことに…………」


ズボッと音がして何かが出てきた。


『うわー!』


いきなり肌が暗くて目がただれた服がぼろぼろのお化けが出てきて思わず叫んだ。追いかけてくるお化けに急いで逃げる僕達、なんでこんなことに。


「なんで、なんでこんなやつがいるんだよー!こわい、こわいってー!」


僕はたまらず叫び続けた。もう恐くて心臓バックバクだよ。心じゃなくて本能で恐さを感じてる。


「おい司、急にどうした?!」


悠が聞いてきた。


「どうしたって恐いんだよー、お化けだよお化け?!恐くて当然だよー」


僕は泣くように答えた。


「もしかしてつかっちーお化け苦手なの?」


絵里香ちゃんがニヤニヤしながらこっちを見てくる。


「うるさいよ!お化け苦手で悪い?!」


今度はキレ気味に答えた。


「あーやだ、最近の若者はキレやすいって言うけど本当だったのねえ」


絵里香ちゃんがおばさんみたいな声で言った。


「絵里香、あなたも十分若いと思いますが…………」


アンジュリアンさんが突っ込んだ。


「そういやお前うちで怪談やる時耳ふさいでたっけ」


豊太郎が言う。


「うん、恐い話もお化けも苦手なんだ」


「でもいつもわたし達に付き合ってくれる」


さなえが言う。豊太郎の家では夏になるとよくみんなで怪談話をしてたっけ。正確には八月末ぐらいにやってるからまだ先だけど。


「こいつは昔から人づきあいがいいからな」


アマツカが言う。


「はは、そうだね」


「お兄ちゃーん、なんで置いていったのー、置いて行かないでー」


ん、さっき見たのは男の人のお化けだよね?これ、小さい女の子の声なんだけど。


「悠?」


悠を見ると脂汗がびっしり垂れてた。


「はる…………か?」


悠が恐る恐る後ろを振り返る。


遥香ちゃんて行方不明の悠の妹だよね、なんで遥香ちゃんがこんなところに……………。


「なんでお前が…………」


どうやら悠もそれが勘違いではなかったよう。僕も後ろを見てみると確かに遥香ちゃんだ、姿は昔と違って成長してるけど。なんか元気なさそうな暗い雰囲気あるけど確かに遥香ちゃんだ。


「なんで遥香ちゃんがこんなところにいるのさ」


「俺に聞くな!」


怒られちゃった。


「お兄ちゃーん、なんであたしを置いて行ったのー、置いて行かないでー」


また遥香ちゃんが口を開く。誘拐された時のとこを恨んでるのかな。


「俺だって追いかけたかったさ!でもピエロッサクラウンにお前が連れ去られてどうしよもなかったんだよ!」


悠が反論する。


「お兄ちゃーん、なんであたしを置いて行ったのー」


「同じ台詞?!」


遥香ちゃんさっきから同じ台詞連呼してるけど大丈夫?遥香ちゃん頭打った?


「壊れたビぃデオ、レコぉーダぁ」


さなえが低めな声で言う。


「なんだよさなえ!変な声で言うなよまぎわらしい!」


豊太郎がさなえに抗議する。


「さなえちゃーん、ゲームしよぉ」


今度は彩音ちゃんの声だ、でもなんでさなえと?てかさっきまでいなかったよね?


後ろ見るとちゃんと彩音ちゃんの姿があった。遥香ちゃんと同じで呪いでもかけてきそうだけど。


「彩音!来てたのか!」


豊太郎が彩音ちゃんに呼びかける。


「はあ?なんでお前と?死ねぶりっ子」


さなえが全力で彩音ちゃんの誘いを断る。うわ、すごい嫌そうな顔してる…………。


「これ豊太郎!また朝の座禅抜け出しおってー!さっさと修行に戻らんかい!」


新しい声が聞こえた。このガラガラ声、豊太郎のおじいちゃん?!


「げ、じいさん?!なんでじいさんがこんなところに、修行サボったのは謝るから勘弁してくれー!」


豊太郎が泣きながら叫ぶ。


「なんで豊太郎のおじいちゃんがいるの?」


さなえが聞いてくる。


「さ、さあ…………」


僕もわけが分からず首をかしげるしかない。



その先も僕達の苦手とする人やものが出てきて追いかけてくる。イービルクイーンは魔王院ありさの喋り方で出るしどういうこと?


「ねえ、一つ聞いていいかな?」


僕は悠に聞いた。


「なんだ?」


「なんでここ、おかしくない?なんで僕達の苦手の人がピンポイントで出るのさ?」


「確かにな………」


「誰かが俺達の苦手のものを読んで呼び出してるてことはないか?」


レオパルドが言う。


「なに?」


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