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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
二十一章 イービルクイーンとの決着
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二百四十二話 対決!イービルクイーン親衛隊




僕はその隙だらけな深山さんに斬りかかる。


ガキィンッ!


けど深山さんはレイピアを出現させて防いできた。


「また不意打ち?ほんと卑怯ねあなた、お家の人に卑怯な真似はしちゃダメよって教わらなかったかしら?」


皮肉混じりに深山さんが返す。


「これは卑怯なんじゃなくてせっかちって言って欲しいね」


「どちらにせよ美しくないわね。ノット、エレガントよ」


ノットエレガントの部分も妙に流暢な発音で言ってきた。なんかキザだなこの人………。


「ぐっ」


そして僕を蹴り飛ばしてきた。


「大丈夫か司!」


豊太郎が駆け寄る。


「大丈夫、ちょっと蹴られただけだし」



「一つ聞いていいか」


悠が口を開く。


「あら、あなたはものを聞く礼儀が出来てるじゃない。ふふ、いい子ね。いいわ、その礼儀に免じて質問を許可してあげる」


なんだろう、深山さんてどことなくねっとりしてるていうか身体に巻き付くみたいな話し方で気持ち悪い。


「お前達はそこの怪物がどういう存在か知ってるのか。あれは………」


「あれはこの世界の生き物ではない、とでも言うつもりですか?そんなものとっくに気づいていましたよ」


安剛さんが悠の言葉を遮って言い切った。


「え、知ってて全部やってたてこと………?」


イービルクイーンがこの世界の生き物じゃないって気づいててここにいるってこと?じゃあクイーンが世界が滅ぼそうとしてることも知ってるの?


「マジかよ、あんたこの世界の人間じゃなかったのかよ!すげー!てかなんで隠してたんだよそんなこと!言ってくれりゃよかったのにー!」


加藤さんが激しく混乱してクイーンに言う。


「知ってるのか知らないのかどっちよ」


奈々子ちゃんが言う。


「しかしそこなモンスターはこの世界を滅ぼす存在です、ゆえに倒さねばなりません」


アンジュリアンさんが弓矢を構えてクイーンを睨む。


「世界を滅ぼすー?!マジかよ総帥様、そんなことされたら俺ら死んじまうぜ。正気かよあんた」


加藤さんがにクイーンに詰め寄る。


「ククク、アーハッハッハ!」


クイーンは頭を抱えてタガが切れたように笑い始めた。


「バレてしまっては仕方ない。そうだ、我は更なる力を得、この世界を滅ぼす。そのために………我は本来の我を取り戻したのだ!」


クイーンが力強く拳を握って叫ぶ。


「マジ………かよ」


加藤さんは驚きで言葉を失った。


「だが恐れるな!我について行けばたとえ世界の終焉が来ようとも最高の状態で迎えさせてやろう。さあ人間達よ、我と共に来るがいい」


クイーンが真実を話した上で部下達を誘う。


「それでこそ我らが女王、最後の時までついて行きましょう」


「この運命はあなたと共に」


ひざまずく安剛さんと深山さん。


「お、俺だって一生ついていくぜ!」


あ、加藤さんだけ少し遅れた。


そんな、イービルクイーンについていったら自分も死ぬかもしれないってのにどうして………。


「あいつら、トチ狂ってやがる…………」


「ああ、異常とも言える状態だな」


豊太郎と悠は辛うじて言葉を紡ぎ出すけどみんな言葉を失っていた。


するとイービルクイーンが前に出て僕達に向けて手を差し出す。


「どうじゃ、お主達も我の作る新世界に来ぬか?」


「誰が来るか!やれ、ヴァミラ!」


「ヴァーミリオンフレイム!」


ヴァミラが炎を飛ばすけどクイーンは手脚を怪物のものにして防いだ。


腕からシューシュー音を立てるクイーン。


「ほう、前よりはやるが我を殺すにはおしいなぁ」


「ぐっ………」


豊太郎が歯ぎしりして悔しがる。


「大丈夫ですか総帥!」


安剛さんがクイーンに駆け寄る。


「案ずるな、この程度どうということはない」


「全く、総帥に危害を加えようなどとなんと頭が高い。お仕置きが必要ですねぇ」


安剛さんが両手から光を発生させる。


「ま、まぶしいっ!」


「前が見えない………」


目くらましなのか景色が真っ白になって何も見えない。


「うわっ!」


「きゃあっ!」


目くらましで前に見えないところに安剛さんの攻撃が飛んできた。後ろにいた豊太郎や悠、さなえは平気だっけど前にいた僕達は殴られたり蹴られたりして吹っ飛んでしまった。


「僕に不意打ちは卑怯とか言ったくせにこれはちょっとないんじゃない?」


僕は皮肉を返す。


「ふっ、深山と私を一緒にしないでもらおう」


安剛さんは僕の言葉を軽く受け流した。


「ふーん、なら好き攻めていいってことなんだ」


彩音ちゃんが笑うと安剛さんの後ろからもう一人の彩音ちゃんが出てきた。


もう一人の彩音ちゃんは安剛さんに向かって鎌を振りおろす。


「があっ」


倒れる安剛さん。


「どう?わたしの分身の味は」


彩音ちゃんが勝ち誇ったように言う。分身だったのかあれ。


「ガキのくせにやってくれ………なに!」


「離せ!」


「離しなさい!」


さらに彩音ちゃんの分身が増えてイービルクイーン御一行を後ろから羽交い締めしたんだ。


「へっへー、どうよ追加で五人ほどちゅーもーん」


彩音ちゃんがポーズを決める。


「いつの間に」


「すげえなお前」


「でしょでしょー!」


因みにテンザはまだ気絶中、流石に弱すぎない?


「ふん!」


「はぁっ!」


クイーン達は彩音ちゃんの分身を倒していく。あっけなく消える分身。


「ちょっと!」


「急いで作ったから防御力弱くなっちゃった、てへ♪」


舌を出してぶりっ子になる彩音ちゃん。


「いや、てへじゃなくて………」


「ならもっと数を増やして!」


今度は奈々子ちゃんが分身を出した。魔力で出来た分身で魔法使いなら容易に出せるんだ。人によって強度とか強さに違いは出るけどね。


「僕も!」


続けて僕も分身を増やす。彩音ちゃんもまた分身をだす。絵里香ちゃんも後から慌てて「出てきて!」て杖をかざして分身を出した。


「すっげー、分身が大量だぜ!」


「物量で行く作戦か」


豊太郎と悠が関心する。


分身の数はざっと二十人ほど、かなりの数だ。


『行っけー!』


一斉に飛びかかる分身。


けどそれはポヨンと音がして防がれた。


「へっ、そう簡単にやらせるかよ!」


加藤さんが右手を前に出して弾力のある透明な大きな壁を出していたんだ。


「弾けろ!」


ポヨンと壁が跳ね上がる。


『うわー!』


分身が一斉にこっちに戻ってくる。


「ぐえっ」


分身に乗っかられる僕達。お、重い…………。


なんとか苦しまぎれに分身を動かす。


「今度は遠距離から行くわよ」


奈々子ちゃんが言う。


『うん』


僕達は分身からビームを撃たせた。


けどそれは加藤さんの壁に防がれてしまった。防がれたっていうか吸収されたように見えた。そしてそれは真っ直ぐ僕達に返ってくる。


「リフレクターか!」


誰かが叫んだ。


消滅する分身とさらにダメージを負う僕達。



「どうした、攻めてこないのかぁ?」


加藤さんが挑発するように言う。


「おやおや、もしかして私達の強さに怯えて手も足も出ないのですか?」


安剛さんが言う。


「あらだらしがない、もう少しやりがいのある相手かと思ったのだけれど」


深山さんが気取ったように言う。


「バカにするな!」


ヴァミラが咆哮と共に安剛さんに飛びかかる。


ドーン!


気がつくとヴァミラが後ろで屋敷の壁を破壊して吹っ飛んでいた。


「てめえら、なにをした………」


豊太郎がクイーン達を睨む。


「おや、分からないのですか?私が魔力の塊を少しぶつけただけですが」


安剛さんが手に拳より少し大きいくらいの魔力の塊を見せる。


「まさか、あれでヴァミラを?」


「強い」


見た目はそんなに強そうじゃない。けどヴァミラを屋敷の外まで吹っ飛ばすなんて…………なんて威力。

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