二百三十八話 魔王院邸侵入開始
彩音ちゃんと奈々子ちゃんを仲間に加えた僕達は朝早く魔王院邸に来ていた。魔王院邸て言ってるけどイービルクイーンの家なんだよね、こっちの世界ではしばらく魔王院ありさて名前で呼ばれてたから魔王院邸、表札の名前も変わってない。組織のトップてことは昼間は組織の本部にいるけど朝早い時間ならまだ家にいて寝てるからね。攻めるには絶好のチャンスだ。
「ちょっと待て、やっぱ魔王院て名前おかしいだろ」
表札のとこで豊太郎が変なこと言い出した。
「別に変とかじゃないと思うけど………」
「いやおかしいだろ。だって魔王だぜ魔王、普通魔王なんて名字つけないだろ」
「えー、そんなこと気になるの豊太郎くーん」
彩音ちゃんが意外そうに言う。まあ魔王院ありさを知ってる僕らからすれば魔王院なんて名前にも違和感感じないね。
「いや、逆にお前はおかしいと思わないのかよ」
「別に」
「司はどうなんだよ?」
今度は僕に話題が振られる。
「僕も別に変に思わないけど………」
「えー、マジかよー。ありえねー」
大袈裟に驚く豊太郎。そんな驚くことかなー。
「ねむい………」
「ふぁーあ」
眠そうにするさなえ、絵里香ちゃんに至ってはあくびまでしている。今から戦いに行くのに大丈夫かな。
「くだらん」
「名前とかどうでもいいわ、さっさと仕事に入りましょ」
豊太郎の疑問をピシャリと切り捨てる悠と奈々子ちゃん。こういうのはあまり気にしない質なのかな。
「わーったよ、ならさっさと初めようぜ。行こうぜヴァミラ」
「おー!」
門をよじ登うとする豊太郎とヴァミラ。
「待てお前達!そのまま行ったらセキュリティに引っかかるぞ」
悠が二人を注意する。
「マジかよ、戻るぞヴァミラ」
「あ、待ってホータロー」
豊太郎が鉄格子からスタッと降り立ちヴァミラがずてんと着地に失敗する感じで降りる。。
「で、どうすんだよセキュリティがあるんじゃ入れねえじゃん」
「まあ任せろ」
悠がマカイターミナルを操作する。カチャカチャキーボードを押すと目の前の魔王院邸に赤い線がいくつも交差した画像が出る。
「これって、赤外線?」
「ああ、あのまま行っていたら間違いなくバン!だ。容易な侵入はできなかっただろう」
なぜかバン!のとこを強調させながら悠が言った。
「ひぇー、あぶねーなおい」
豊太郎が肝を冷やす。
「だから、こうするんだ…………」
再びキーボードを動かす悠。
すると画面から赤い線が消える。
「うそ!悠くんてすごくない?!ハッキングできるの?」
彩音ちゃんが驚く。
「別に大したことないさ、子供の遊び程度のことだよ」
「子供の遊びって…………」
そもそもハッキングて犯罪行為じゃなかったっけ………。
悠って中学生なのにチェスの大会で優勝したり論文発表したりしてるけどその上ハッキングできるてどんだけ有能なのさ。
ギギーと鉄格子の門が開いた。
「ほら、行くぞ」
悠が僕達を急かす。
鉄格子開けたのも悠のハッキングだよね。
「待った!そのまま行くのはまずいよ!」
絵里香ちゃんが僕達を止めた。
「何を言う、赤外線センサーも解除したし監視カメラには偽の映像を送っている。他に何が必要だと言うんだ?」
悠が絵里香ちゃんの言葉に疑問を浮かべる。
ていうかこいつ監視カメラにも細工してたんだ。
「服だよ、服!潜入操作に普通の服で行くとかおかしいよ!」
「普通っていうか動きやすい格好だけどね」
僕と彩音ちゃんと絵里香ちゃんは変身してるし豊太郎と悠は男だから元からズボン、普段はスカートのさなえも今日はズボンになってる。
それの何が不満なんだろう。
「チッチッチッ、それがだめなんだよねぇ」
なんか腹立つ言い方だなー。
「ただ動きやすいってだけじゃなくてもっと何か欲しいんだよ」
「何かってなによ」
奈々子ちゃんが聞く。
「魔法よ、わたし達を忍ぶにふさわしい姿に変えたまえ。コスチュームチェーンジ!」
絵里香ちゃんが杖を光らせると僕達の姿が変わる。
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