二百三十二話 骸骨のモンスター、ミーティング編
司side
骸骨の怪物の調査に行った三人は次の日、彩音ちゃんと沙紀絵さんだるそうにしていて梨李香さんは肋骨のあたりを抑えていた。
「どうしたんですか三人とも、昨日の夜何かあったんですか?」
僕は心配になって聞いてみた。
「あばらがいった、あいつすごいやばい、油断も隙もないわ………」
「大丈夫なんですかそれ?!生活できるんですか?!」
「いやあたしここに来てるでしょ、生活出来るわよ!」
怒られてしまった。
「いっつ………」
梨李香さんがまた胸を抑える。
「大丈夫?しばらく無理はしない方がいい」
さなえが梨李香さんに駆け寄る。
「はは、これじゃあしばらく戦うのは無理ね」
梨李香さんが弱気な表情になる。この人のこんな表情、久しぶりに見たな…………。
「大丈夫よ司、別にもう戦えないわけじゃないししばらくしたらちゃんと戦えるわよ」
「すいません………」
逆に心配されてしまった、本当は梨李香さんも怪我してて辛いのに。
「気にする必要ないって、あたしがいなくてもあんた達ならやれるじゃない」
梨李香さんが僕の頭をに手を置く。
「はい、任せてください!」
「気にすんなって司、お前には俺達がついてる。お前は一人じゃねえって」
豊太郎が僕の肩に手を置いて言う。
「安心しろ、お前のことは俺達が全力でサポートしてやる」
悠も反対側の肩に手を置いてきた。
「豊太郎、悠……………ありがとう」
頼れる先輩のピンチだけど幼なじみの励ましになんだか胸が熱くなった。
「大丈夫、みんなが一緒」
さなえは後ろから乗っかかってきた。
「ちょ、流石にそれは重いって………」
倒れはしないけど女の子一人分の体重が背中に来るのは辛い。そしたらさなえが僕の耳を引っ張った。
「いたいいたいいたい!いたいって」
たまらず僕は叫ぶ。
「女の子に重いとかデリカシーがない」
「いや、太ってるとかそんなんじゃなくて背中に乗られると辛いっていうか…………」
「筋肉がない、合宿で鍛えた筋肉はどこへ行ってしまったというの?」
「う………」
それを言われると何も言えない。合宿の時はすごい量の筋トレしたけど最近はそんなにトレーニングしてるわけじゃないんだよな。ちゃんと鍛えないと。
「ねーねー、さきちゃん達はなんで元気ないのー?ねーねー、なんでー?」
絵里香ちゃんが沙紀絵さん達を揺らす。
「お前ちょっと黙れ、体に響く」
「はわわ。ご、ごめんなさい………」
案の定怒られてた。
「で、あの二人はなんでだるそうにしてるんですか?肋骨?」
僕は梨李香さんに聞いた。
「あー、あれ?あれは生気を吸われた副作用だか後遺症みたいなものかしら」
「性器?」
ガッ!さなえの足が豊太郎に伸びた。
「いってー!何すんだよ司!」
豊太郎が痛そうに足を抑えて飛び跳ねる。
「僕じゃないから!勘違いしないでよ!」
あらぬ疑いをかけられて僕は慌てる。
「女子の前で下ネタはアウト、一発退場してもらう」
さなえが言う。
「お前が犯人かよ、せいきって言っただけだろうが!」
豊太郎が抗議する。いや、そのせいきが不味いんだって。
「発音が悪い、卑猥極まりない」
「誰が卑猥だっつーの」
豊太郎はああ言ってるけど僕もあの言い方はないと思う。
「で、生気を吸われたってどういう意味ですか?」
「生命だか魂をグッて抜き取られる感じ?やつのあばら骨から出てくんのよ、それ用の黒い腕が。あんた達も油断するとやられちゃうわよー」
「脅かさないでくださいよ梨李香さーん」
梨李香さんが右手を出してにぎにぎして僕達を恐がらせてきた。
「いや、冗談じゃないから、本当にやられるかもしれないわよ。運よくあの二人はあたしがやつから吸い取ったやつ吐き出させたからよかったけどその場にいる全員やられたらホントにヤバいから」
「マジですか………」
「マジ」
佳代子さんが現れてミーティングの時間になった。議題はもちろん骸骨のモンスターについてだ。
最初昨日の三人が仕留め損なって逆に返り討ちになった話が出て室内がざわついた、強力な魔法使いが三人がかりでやられたんだから当然だよね。
怪物の名前はスケルトン(仮)て佳代子さんは呼んでたんだけど最初その名前聞いた時奈々子ちゃんが
「何よスケルトン(仮)て、流石に(仮)はないわよ……………」
て吹き出してた。まあ僕もちょっと変だと思うけど。
「で、スケルトン(仮)についてだけどやつには梨李香の魔力がついててこちらからいつでも探知可能の状態になってるわ」
佳代子さんの言葉に梨李香さんが軽くガッツポーズをとる。意外と単純だなあの人も。
「問題は目標の撃退方法ね、生半可な力では昨日のように返り討ちにあうのがオチだけど………」
佳代子さんが顎に手を当てて考える。
「ここは俺達に任せろ!」
「つまりこいつと俺、藤田さなえ、司のチームに任せてもらおう」
豊太郎と悠が名乗り出る。
「そうだ!僕達で梨李香さん達の弔い合戦だ!」
僕も立ち上がって意欲を示す。
「同じく」
「司が行くなら俺も行くことになるな」
さなえとアマツカも立ち上がった。
「はいはーい、わたしもわたしもー!」
絵里香ちゃんも張り切る。




