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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
十九章アイドルと豊太郎
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二百二十二話 ライブの襲撃者




司side


ライブ当日、僕はクラスのみんなと野外のライブ会場に来ていた。全員てわけじゃないけどそれでもかなりの人数が一緒だ。豊太郎が最初僕達だけにチケットをくれたから貰えない人は不服で説得するのに大変だったけど。


人気がそれほどないせいか観客席がまばらになってる。事務所から契約切られてないからライブやコンサートは赤字にはなってないのかな。


「楽しみだね豊太郎」


「あ、ああ………」


話しかけるけど豊太郎は緊張さてるのか口数が少ない。


そしてステージの脇から花火が飛んで煙が舞う。その中から唯ちゃんが現れた。赤いチューリップを模したドレスを着た彼女は妖精みたいな姿をしていた。


「すっごーい!なにあれ、すごいよアマツカ!」


僕は唯ちゃんの姿に感動してはしゃぐ。


「ふん、俺ほどじゃないがな」


「なんで君のが上なのさ」


「子供天使の俺に比べたらどんなアイドルもかなわぬものよ」


すごい上から目線だ。


「かわいー!」

観客席から黄色い悲鳴が飛ぶ。


「すっげえ……」


豊太郎はやっぱり言葉を無くして唯ちゃんに見惚れていた。


「恋のチューリップ、聞いてください!」


唯ちゃんが宣言すると同時にイントロが流れ初め歌が始まる。


曲は軽快でいながら重厚、そこに乙女の熱き恋を唄う詞が少女でいながら色気を含む声で歌われる。


なんていうか…………女の子じゃないみたい。女の子なんだけど大人の女の人て感じする。すごい、アイドルてこんなかっこいい歌うたえるんだ。


「爆弾だ!」

誰かが叫んだ。


漫画とかで出てきそうな導火線のついた爆弾がステージに落ちてきた。


ボン!と爆弾が爆発して観客席から悲鳴が上げる。唯ちゃんも思わず歌を止めてキョロキョロする。デモンストレーションじゃなくてハプニング?


また爆弾が落ちてきて唯ちゃんに爆風が来る。もう歌を歌うどころじゃない、絶対ハプニングの一種だよ。


ハプニングだと分かった観客達がパニックになって逃げていく。


「大丈夫アマツカ?」

僕は隣のアマツカに声をかけるけど姿がない。


「アマツカ?」


「なんだよこれ、ライブが攻撃されてるぞ!」

豊太郎が僕に詰め寄る。


「僕だって分かんないよ!」


「見て、唯がいない」


『え?』

さなえに言われて僕と豊太郎はステージを見ると確かに唯ちゃんがいない。


「おい、唯をどこにやった!」

また僕に聞く豊太郎。


「なんで僕がさらったことになってるんだよ!」

とばっちりもいいとこだよ。


「彩音?」

さなえが隣にいるはずの彩音ちゃんの席を見る。うそ、彩音ちゃんも消えたー。


「はっ」

ステージを見ると爆弾が大きな鎌でカットされていた。カットされた爆弾は爆発せずに跡形もなく消滅した。爆弾をカットした犯人はショートパンツにノースリーブコートの女の子、彩音ちゃんだ。


「いつのまに………」


僕達は彼女の動きのよさにあぜんとした。ステージの端っこを見ると唯ちゃんと一緒にいるアマツカが、君もかい。


観客のほとんどの人は逃げてもう観客席にいるのは僕と豊太郎、さなえだけになった。


人が少なくなったおかげか近くに知らない魔力があるのを感じた。


「豊太郎、あそこ!」

僕は左のビルの屋上を指さした。そこにはさっき感じた魔力を放っている人がいた。


「なにか、いるな………」


「あれが犯人?」


「多分な」


彩音ちゃんも気づいたのか人影に向かって魔力で出来た鎖を飛ばす。鎖は人影に巻きついてステージまで引っ張られる。


「ぐうっ」


ステージに体ごと激突する犯人。その姿はタキシードに仮面をつけた探偵小説の怪人みたいな姿をしていた。


「唯ちゃんを襲ったのは君だね」

彩音ちゃんが怪人に鎌を向ける。


「ふっふっふ、ファーハッハッハ!相原唯のライブはこれで台無しだぁぁぁ!」


怪人が人差し指を彩音ちゃんにビシィっと突きつける。


「どうしてこんなことしたの?!ひどい!」

唯ちゃんが出てきて怪人に問う。


「ゆぅい、君にはがっかりだよ。わたしの言う通りにしてればこうはならなかったのに」


「あなたもしかして…………」


唯ちゃんは怪人の正体を知ってるみたいだ。


「相原唯!わたしの目的は最終的に君を殺すことだぁ」


怪人が唯ちゃんに狙いをロックオンする。


「俺達も行くぞ司!」

豊太郎の言葉に僕とさなえも続く。


ステージに移動した僕達はMギアを構えてモンスターを召喚する。


「この数を相手にするのは分が悪いか」


怪人はアマツカ達を見ると逃げていった。


「逃がさないよ!」


彩音ちゃんが怪人を追いヴァミラとガルムも続く。


「唯、さっきの怪人に心当たりがあるようだが?」

残ったアマツカが唯ちゃんに聞く。


「多分あの人わたしのマネージャーです」


『マネージャー?!』

異口同音に僕達は驚きの声を上げた。


「マネージャーってどういうこと?」


「彼女の前のマネージャーをやったいた篠井は強引な態度でよく唯ちゃんに接することが多くよく喧嘩になってたんです。それでこの間唯ちゃんが事務所の社長に直談判してマネージャーを変えてもらったからその逆恨みで………」


スーツ姿の女の人が出てきて説明する。


「なんだよそれ、そんなんで唯のライブが台無しにされたのかよ」

豊太郎が理不尽な犯人の動機に憤る。豊太郎は唯ちゃんに夢中だったからね、怒って当然だよ。


「あなたは?」

スーツ姿の女の人に聞く。


「わたし矢野と言います、彼女のマネージャーをやっております」


女の人が自己紹介したと分かると僕達も名を名乗る。


「あなた達はいったい?怪物をだしたり凶器を振り回したりしてましたが」


矢野さんが聞く。まあアマツカはともかくヴァミラやガルムを初めて見た人はそうなるよね。


「まあ、ああいう変な人達を追う人の集まりってことで」


「はあ………」


ざっくり説明したけど聞いても分かんないよね、ははは。


唯ちゃんの元マネージャーを追ってた彩音ちゃん達が戻ってきた。


「ごめん、見失った」


「うそーん」


「約立たず」

さなえが辛辣に突っ込む。


「そう言わないでよ、わたしも頑張ったんだからー」


「それは困ります!篠井はきっとまた唯ちゃんを狙って来くるんです!早く、早く篠井をやっつけてください!」


矢野さんがヒステリックに叫ぶ。言ってることは物騒だけど唯ちゃんがまた襲われたら大変なのは事実だ。


「佳代子さんに聞いてみる」

彩音ちゃんが組織の部隊長に連絡する。


結果唯ちゃんに組織から護衛がつくことになった。


僕達は矢野さんの計らいで家まで送ってもらえることになった。

今回もお読みいただきありがとうございます。よかったらブックマークや評価お願いします

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