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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
十八章 はすのみ商店街トレジャーハンティング
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二百十四話 ケーキの大食い




司side


えー、こちら天城司です。大豆運びゲームをクリアして今はケーキ屋にいます。大豆のゲームはやる前に五百円取られた、このイベント基本タダじゃなかったの?大豆運び自体は真壁くんが器用なのか上手くやってくれたんだよね、人の得意不得意て分かんないなー。いや、なんか馬鹿にしてるみたいでごめん。


今いるケーキ屋さんは佐橋洋菓子店、ん?佐橋てどっかで聞いたような………。ここでは ケーキの大食いで勝負を決めている。まずゲームをやる前に諸経費として3000円を徴収される。また金とんの?!しかも大豆運びの時よりでかくなってるー!こうも高いお金取られるなんて、やっぱ商店街て今時もうからないのかな。


大豆運びと作家当てクイズは二人以上でも行けたけど今回の勝負は団体の場合は一人が代表してやるタイプだ。


「どうする?負けたら次で逆転するとか無理だけど」

真壁くんが言う。

「失敗は許されない、か」

負ければ台紙を失いイベントの挑戦資格を失う。安易な選択が命取りになってくる戦いだ、どうする、どうすればいい?ていうかこの中で一番大食いなのは誰だ。


「俺が行こう」

アマツカが手をあげる。


『ええっ?』

僕と真壁くんは声をあげる。こいつ、大食いとか得意だっけ。僕は家にいた時のアマツカを思い出す。キングオーガを倒した時の祝賀パーティで色んなテーブルを行き来しながら食べ物を頬張るアマツカ、僕の家に来た時の歓迎パーティでホールケーキのほとんどを平らげるアマツカ、晩御飯にご飯を5杯もおかわりしたことあるアマツカ。駄目だ、こいつ完全に大食いキャラとして定着してやがる。今回の戦いに出るのは、こいつしかいないじゃないかっ!


「よし、行けアマツカ!僕達の勝利は君にかかっている!」

「ああ!」


「え、いいの?!」

僕の決断に真壁くんが驚く。

「構わないさ、こいつはここに強い。僕はアマツカを信じる」


各チーム代表が決まってイスに座る。

「それでは佐橋洋菓子店大食いケーキ大会を開始する!」

店長さんが戦いの始まりを宣言する。


選手達が目の前にあるいちごのショートケーキを一斉に食べ始める。男の子や大人の女の人の食べようを見るとケーキをこんな速さで食べることもたくさん食べないんだなあてくらい食べていく。ホール1個分は軽く平らげたね。でもここからが問題、何人かペース落ちてきてる。飲み物のコーラを飲みながらなんとかペースを保とうする。え、コーラ?大食いにコーラ?炭酸のシュワシュワでお腹膨れない?みんなのどの渇きは癒せてるけどペース遅くなってるんだけど。


「あーっと!ここで脱落者の登場だー!」

店長さんの実況が飛ぶ。


駄目だ、だんだん脱落者が出るようになってきた。アマツカは…………淡々と食べ進めてる、強い。それとアマツカともう一人残ってるのが眼鏡の女の子、小学生くらいかな?大人とか男の人がみんな脱落してるのにこの子だけ残ってる。


「ここでアイカ選手とアマツカ選手の一騎打ちになったー!」


「ここでチョコレートケーキの投入だー!」

店長さんの合図で追加のケーキがチョコレートケーキに変わる、いちごのやつなくなったの?てかこのおじさんさっきから実況うるさい。


眼鏡の女の子、アイカちゃんはあのホールケーキ一個分食べたにも関わらずどんどん食べ続ける。でもこのスピードで食べ続けたら………。という不安は的中して……

「おーっと、アイカ選手ここでスピードダウンかー!」

うるさいよ実況。見てれば分かるから。


それからアイカちゃんが脱落したけどアマツカだけは黙々と食べ続けてホールケーキ三つ分くらい食べちゃったんだ。



★★★★★★★★★★★★



「オカルト研究会ってあの部活中でカップルとか出来てるの?」

僕は真壁くんに聞いた。


「え、そんなことはないよ?確かに男女が混じってるけど誰かと誰が付き合ってるとかはないよ」

顔を真っ赤にして否定されちゃった。


「それはどうして?」


「だってオカルトが好きって言ってもジャンルが分かれてるし友達とか仲間て感じはあるけどそんな関わり深いてわけじゃあ…………」

微妙な感じな言い方。


「逆に浅いの?」


「違うって、お昼だって部室でみんな一緒に食べてるし仲悪いってわけでもないよ」

ここも必死に否定してきた。


「でもカップルにはならない、と」


「友達以上恋人未満て感じかな、一緒にいて安心感はあるけど」


「ふーん」


「でもなんで急にそんなことを?」

真壁くんのその疑問はもっともかもしれない。


「トレジャーハンティングの受付のおじさんに僕と真壁くんどっちが絵里香ちゃんの彼氏かて言われて気になっちゃって」


「あはっ、普段意識しなくてもそういうこと言われると気になっちゃうよね」

恥ずかしそうに言う真壁くん。同い年の男でも豊太郎や悠とは違った安心感がある。


「でも、絵里香ちゃんのこと彼女したいとか言ってたよね?」

「あー、それ?それは…………」

こういうのって逆に自分が聞かれると緊張するな。


「やっぱいいや、彼女とか恋人とかよく分かんないし」

答えはあんま考えなくても出た。


「ええっ!」

「おい」

これにはアマツカにも怒られちゃった。


「いや、正直絵里香ちゃんとか最近会ったばっかだしまだ友達でもいいかなって」

うわぁ、自分で言っててはずかしー。


「絵里香ちゃんとはいつ会ったの?」

「ほんの一、二週間前かな」


「やっぱり悠の紹介?」

「うん」


「司くんてもがさんや奈々子ちゃんとも知り合いみたいだよね、そっちはどうなの?」

「奈々子ちゃんは占い館の時からたまに会っててもが、もが………えっと………」

駄目だ、また忘れてる、あの人の名前て何か覚えづらいんだよなー、顔もよく分かんないし。


「最上六宇菜?」

「そう、最上六宇菜。その人のことはよく知らないんだ、悠から一応名前は聞いてるけど」


「悠とは元々知り合いで、奈々子ちゃんと絵里香ちゃんのことは知っててもがさんと僕のことは知らない。何か変じゃない?」

うわぁ、すごいこと突いてきたぁ。悪魔のこともMギアのことも喋らない方がいいしどうしよう………。


「ゆ、悠もその内紹介しようと思ったんじゃない?」

声がちょっと上擦っちゃったけど大丈夫かな。


「言われてみれば確かに………」

ふう、なんとかごまかせたかな。

今回もお読みいただきありがとうございます。もしよかったらブックマークや評価お願いします

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