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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
十四章 敗北からのイービルクイーン対策会議
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百六十二話 十四章④



「私だ、私が彼にマカイターミナルを与えた。いや、君のものもユキトを通して私が与えた」

いきなり部屋に現れた女の人は長いブロンドの髪に緑の瞳、白い大きなリボンつきシャツの上にライムグリーンのジャケットにそれまたライムグリーンのフレアスカートを着ていて海外の絵本から出たような綺麗な人だった。あんな綺麗なブロンド、日本じゃ滅多に見られないよ………。


と、一瞬見とれちゃったけどそんなに長くは出来なかったんだ。悠と奈々子ちゃんの言葉に全部持ってかれちゃったんだよね。

『アルレイド先生!』


『先生!?』

僕達の言葉が重なる。


「先生てあの、学校にいる先生?」

僕は悠に聞いた。


「ああ、俺の学校の教師でオカルト研究会の顧問だ」

アルレイド先生と呼んだ人の紹介をする悠。


「の、はずだなんだけどなぜ彼女が異界に繋がるパソコンなるものを持ってるのかしら………」

奈々子ちゃんがアルレイド先生の発言に対する違和感を示した。


「ふふ、知っているぞ。天界から来た天使にして人間と融合した時期もある存在、アマツカとその融合相手にしてアマツカの使い手で父と叔父を天使に持つ者、天城司。妹を暗黒ジャグラーズに連れ去られたレオパルドの使い手五十嵐悠。ヴァーミリオンドラゴンの使い手、二宮豊太郎。ガルムの使い手、藤田さなえ。そして魔界の技術者により開発されたシステムで魔法使いとなる者。そして先日悪魔の力に目覚めた

………」


アルレイド先生は少し間を置くと奈々子ちゃんを指さした。

「君だ………」


「なんでも知ってるんですね………」

どこの情報通?てくらいの情報がアルレイド先生からは出てきた。僕の父さんと叔父さんのことまで知ってるなんて。


「あなたの親て天使だったの?!」

梨李香さんが声を上げて驚く。まあ普通身近な人が人間じゃないとか普通思わないしね。梨李香さんのメイドさん悪魔だけど。


「なるほど、たまにあなたが発現していた魔法ではない力、魔法天使になっていたのはそういうことだったのね」

美羽羅さんが合点が行くという感じでうなづく。魔法天使は天使の力がないと使えないからね。天使の息子である僕なら魔法天使に問題なくなれるってことだね。


「でも、なぜわたしのことまで。わたしが悪魔の力に目覚めたのはつい昨日のはず………」

奈々子ちゃんの言う通りだ。僕のことも本人達以外知らないはずだけど奈々子ちゃんのことはつい昨日のことだ、昨日起きたことを知ってるのはそこにいたか誰かが話したとしか………。


「それがいたんだよ、私も例の館に」

アルレイド先生が人差し指を立てながら言った。何かもったいぶった感じあるな。


「って…………いたのかよ!そこにいたのかよ!現場に!」

僕は思わず叫んだ。なんだいたんだ、そりゃ知ってるよねー、色んな事情知ってても違和感ないよねー。


「それで、なんであんなとこにいたんですか?」

美海ちゃんが現場にいた理由を聞く。


「顧問が生徒が危険な目に遭わないよう見張るのは当然だろう?」

アルレイド先生が腰に手を当てドヤ顔で言い張った。


そのあまりの堂々ぶりに場がちょっと凍っちゃった、ははは。

「でも、何か可愛いね」


「かっ、かわいい?!」

口元を手の甲で隠して慌ててるアルレイド先生。やば、ちょっとキュンとしちゃうよ。


「馬鹿!何言ってんだ司!あのアルレイド教諭だぞ!出身地不明、国籍不明、年齢不明、不明不明不明だらけの女だぞ!それを可愛いなどと言うとは………」

悠がすごい勢いで突っ込んできた。


「ど、どうしたの悠?てか出身地と国籍被ってない?」


「国籍は後から変えられるから出身地と別になることもあるだろう」

「う、うん、そうだね」


「おい」

気がつくとアルレイド先生が目の前にいてこっちを睨んでいた。

『うわぁ!』

僕と悠は驚いて飛び退いた。


「そんなに私が信用ならないか、五十嵐悠?」

僕じゃなくて悠を睨んでたのか。すっごい睨んでる、てか怒ってる?


「はあ………」

ため息をつく悠。何か精神的にすっごい疲れてそう。


「あんた、前に学校の外で会った時もマカイターミナルだけ寄越してモンスターのことをなぜ知ってるのか話さなかっただろう?そもそもが秘密主義のあんたを俺は信用するわけにはいかんな」

悠が言った。

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