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魔導奏者りりかさん  作者: 兵郎
二章 元魔法使いの姉の逆襲編
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十四話 魔法使いの特訓

タイトル通り李梨花が対美羽羅戦に向け特訓する話



所変わって屋内演習室、李梨花は仲間達と魔法使いの特訓に来ていた。


「特訓前に一つだけ、いいかな」

特訓を始める前に彩音が待ったをかける。


「なによ?なんか言いたいことでもあるの」


「実は………今回の美羽羅ちゃんの件、わたしのせいなんだ」


「どういうこと?」


李梨花が聞き返すと彩音から驚きの言葉が出る。彩音は自分がまだ自宅にいたころ美羽羅が居候していたこと、それなのに美羽羅と紗栄子が魔導システムを持っていたことに気づけなかったことを話す。


「だから、ごめん。わたしがもっと早く二人の様子に気づいてれ李梨花ちゃんがやられることにはならなかった……」


李梨花に謝る彩音。


「それ言ったらあたしも同罪だろ、あいつが魔獣退治したくないとか考えてたのに気づけなかったんだから」

彩音のフォローをする沙紀絵。


「あ、じゃあ僕も同じかな」

司も軽く顔の下の高さまで手を上げて言う。


「ていうみたいだからあんたはそんな気にしなくていいわよ」


「そうだよね、余計な心配だったよね。あはは……」


李梨花の言葉に彩音も安堵する。




「で、実際どうやって特訓する?魔法使いて特別な特訓法でもあるの?」

気を取り直して特訓をしようとする李梨花。


「写経とか瞑想?」

と彩音。


「筋トレと格闘技?」

こちら沙紀絵。


「いや魔法使いと言えばメンタルでしょ」

「何言ってんだ、まずは筋肉からだろ」

「メンタル!」

「筋肉!」

喧嘩になる彩音と沙紀絵。


「で、結局どうなのよ?」

困惑して司に聞く李梨花。


「イメージしろ!」


「は?」


「某カードゲームアニメでも言ってたあれですよ、要は魔法を使った時の効果や見た目のイメージを強く心から願って現実に引っ張り出すみたいな」


「だめ、全然分かんない」


司の説明にもただ困惑するしかない李梨花。


「えーと、ほんとにそれで魔法が使えるの?」


恐る恐る聞く李梨花。


「李梨花さんいつも剣からソニックブーム出してるから大丈夫ですよ」


李梨花はいつもその一撃で魔獣を撃破しているのだ。


「いや、あれはトリガー引いて気合い溜めるだけだからイメージとか関係ないような……」

更に困惑する李梨花。


「せめてシールドが出せれば美羽羅ちゃんのシールドが防げるんですけど」


「無茶言うな!」


とうとう怒りだす李梨花。


「てか盾とか出せるのか?」

「だしたことないなら分かんない」


「出せないて言ってるけど」


彩音と沙紀絵の会話を見て李梨花が突っ込む。


「いいからシールド出せ魔法使い共」

「ここで逆ギレ?!」

「ひえっ」

「司くん恐いんだけど」

司の声がドスの効いたものになり恐れる李梨花達。それだけではなく司は光の剣を精製し李梨花達に襲いかかる。


「ちょ、落ち着け司!」

「そうだよ、なんでわたしたちまで司くんと戦うのさ!李梨花ちゃんだけでよくない?」

突然の出来事に困惑する彩音と沙紀絵。


「こうなったら三人まとめて稽古つけてやる、かかってこい!」

司が声を荒らげる。


「上等じゃない、あたしも、全力で行かせてもらうわ!」

李梨花も剣を構える。


二本の光の剣が次々と魔法使い達を襲う。その速さに一同は躱すことしか出来ない。


「近づいて駄目なら遠くから!」

李梨花は剣を変形、銃にして弾丸を発射する。その直前、司の目が光る。


「な……」


司の目の前に光の壁のようなものが現れ李梨花の弾丸を弾いたのだ。


「おいおい、ホントに出るのかよ……」

「天使って恐いね……」

思わず感嘆する彩音と沙紀絵。まさか本当に司が盾を出して来るとは思わなかったのだ。


「はっ」

盾を消しエネルギー弾を発射する司。


「く……」

李梨花は腕を交差し防御するが弾丸の数が多くダメージを受けてしまう。やはり飛び道具を使う相手には盾がいるのか。


「李梨花ばっか見てこっちがガラ空きだぜ!」

「スキありー 」

沙紀絵と彩音が上から司に襲いかかる。


「よっと」

司はその場でしゃがみ彩音と沙紀絵は頭からぶつかる。

「いったーい」

声を上げる彩音と痛みで声も上げられない沙紀絵。その間に司は二人の司から移動、跳躍し光の剣で李梨花に切りかかる。

このままでは切られる、やはり盾があれば、目の前の攻撃を防がなければ大ダメージを受けてしまう、焦る李梨花。いや、やってやる、ここでやらなければ自分は魔法使いではない、李梨花は決意を固めると烈迫と共に力強く腕を突き出す。


「うわぁぁぁぁぁ!」


突き出した手の平から青い半球体の壁が形成されバリアとなる。司の振るった剣がぶつかりその行く手を阻む。司は一瞬目を丸くして驚くがそれはすぐに笑みへと変わる。バリアに反発され司が弾かれる。後方へと下がる司。


「やるじゃないですか」

司が言う。


「はあ、はあ………、たく、なんて無茶させんのよ」

李梨花が息も絶え絶えに答える。


「なんにしてもこれで飛び道具対策は出来ますね」


「どこまでやれるか分かんないけど、とにかくやってみるわ」


李梨花の顔には心なしか晴れやかなものが広がっている。

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