十話 美海の姉、美羽羅登場!
ここからはかつて魔法使いの家を出た元魔法使いの姉の逆襲て感じでやってくんでよろしく!新キャラの美羽羅ちゃんは李梨花より強い設定です
学校の放課後、帰路につく美海。その美海の目の前に一人の少女が現れる。美海に顔立ちが似ているが美海より幾らか年が上に見える。少女が美海に挨拶する。
「久しぶりね、美海!」
「お姉ちゃん!?今までどこ行ってたの?!わたし心配してたんだよ、お父さんに家追い出されちゃったけどお姉ちゃん一人じゃなんにも出来ないから」
美海の目の前に現れたのは美海の姉、海浦美羽羅だ。父親の言うことをあまり聞かないばかりに家を追い出されたこともある少女だ。その美羽羅が家出後数週間後再び美海の前に現れたのだ。
「誰が一じゃ何も出来ないよ!失礼ね。けど、昔のあたしとは違う、それをいずれ証明してやるわ!」
「はあ……?とにかく元気みたいで良かったわよ。わたしもう帰るから」
スタスタとその場をあとにする美海。
「今です、李梨花さん!」
「いっけぇぇぇ!」
美海が特殊銃で魔獣の動きを止め、その隙に李梨花が魔力の剣を放ち魔獣が消滅、撃破する。
「意外とあたし達だけでもどうにかなったわね」
「はい、李梨花さん」
李梨花と美海は学校帰りに二人で行動していたところ李梨花が魔獣の魔力を感知しそのまま二人だけで魔獣と戦闘、見事撃破したのだ。
「はーはっはっは!ここで会ったが百年目よ、我が妹、海浦美海!」
付近のビルから何やら高笑いが聞こえる。李梨花は魔法使いの力で強化された視力でその相手を確認する。
「青い、魔法少女?」
そこにいたのは青いファンシーなジャケットとスカートを纏った少女だった。胸元には李梨花のものと同型のブローチをしている。
「とうっ!」
少女はビルから跳躍し落下するがあまりに高い所から落ちたため足からの振動を受け顔をしかめることになる。気を取り直し李梨花に近づいて行く少女。
「美海、ここで会ったが百年目よ!あたしと勝負しなさい!」
少女が叫ぶ。
「お姉ちゃん?!」
美海の声に李梨花が記憶をたぐる。
「お姉ちゃん?てことはいつだか沙紀絵が言ってたこの服の正統後継者の!ん?この服って一着しか無いわよね?」
この服の所で自分が今使っている魔導システムにより着ている衣装を指す李梨花。そもそも魔導システムとは少なくとも川太郎の言った御三家では一家に一台ではなかったのだろうか。
「そのはずなんですが……」
「そこのあんた、その服どこで手に入れたの」
「あー、これ?彩音のお母さんがくれたのよ、もう一度魔法使いになる気はないかって」
李梨花の質問に美羽羅が答える。
「悪いこと言わないからそのブローチ外しなさい、前に同じ人から魔導システム貰ったやつらを倒したことあるけどそいつら後遺症が発生して今病院で寝込んでるわ」
「関係ないわよ、そんなの。あたしは妹のあんたを倒してペンダントを取り戻す、それで充分よ」
「なるほど、そう来たわね。あとあんたの妹はあたしじゃない、そっちよ」
そう言って 美海を示し美羽羅の勘違いを正す李梨花。美羽羅は言われて美海の方に視線をやると驚愕に目を見開きその後専用の特殊銃を構える。美海が一瞬何のことか分からないでいると美羽羅が専用銃の引き金を引く。
「伏せて美海!」
李梨花は美海の頭を抱えしゃがませる。美海に当たるはずだった弾丸が後方の地面に当たる。美羽羅を睨みつける李梨花。
「あんた今の、明らかに実の姉が妹に向けるじゃないわよねぇ」
「ねえ、美海。どういうこと?どうして海浦の人間のあんたが魔法使いのペンダント持ってないでそっちのやつが持ってんのよ。おかしいじゃない」
李梨花を無視し美海を問い詰める美羽羅。
「下がってなさい」
美海を後方に下がらせる李梨花。
「聞きなさいそこのクズ姉、あんたが使うはずだった力を持ってるのはこのあたしよ、狙うならあたしの方にしなさい」
「確かにそうみたいだねぇ。なら、あんたから殺すことにしましょうか」
銃を構える美羽羅。それを確認した李梨花は右方向へ走る。李梨花がいた場所に次々に弾丸が当たっていく。李梨花は美羽羅と斜め方向の位置に達するとそこから走り抜け接近、剣での勝負を仕掛ける。それを銃で受ける美羽羅。銃と剣がぶつかり合う形になる。
「ちょっと、なんでそっちは鉄砲でこっちは剣なのに互角なのよ。おかしくない?」
李梨花が武器が違うにも関わらずどちらかが押される状態にならないことに文句を言う。
「分からない?あたしは元々魔法使いになるために訓練を受けてきた人間よ、あんたが倒してきた怪物共とはわけが違うのよ」
李梨花の剣を押し返し弾丸を放つ美羽羅。それを受けた李梨花は後退し痛みに顔しかめる。
「このダメージ、前に彩音と戦った時はこんなになかったのに……、まさか……」
同じ魔法使いの彩音と戦った時との痛みに感じ具合の差に驚く李梨花。そこであの時彩音には手加減をされていたことに気づく。当時の彩音を李梨花は殺人犯と誤解していたが実際は違った、相手はこちらが誤解してると分かった上で戦っていたため手加減して戦っていたのだ。
さらに李梨花他の魔法使いと自分のような急増の魔法使いは能力に差があるのではないかという事実に達する。このまま美羽羅と戦ったら自分は負ける、そうしたら今度は美羽羅の妹の美海が狙われる、そんな恐怖が李梨花の中を巡る。
「あれ、美海の代わりやってる割に大したことないね」
美羽羅が銃口を向けたその時、ワンボックスカーが猛スピードで現れ中から佳代子達組織の部隊が現れる。
「ちょっとあんた達、いくら魔導システムがあるからって単独行動はやるなってあれほど言ったでしょ!」
佳代子が李梨花をたしなめる。
「すいません、佳代子さん……」
「あーあ、邪魔が入っちゃった。まあいいわ、あんたの命はまた今度奪いに来るから。それまでにせいぜい鍛えてなさい」
逃げる美羽羅。
「逃げられたわね、李梨花もなんか調子悪そうだしちょうどいいか」
「いえ、逃げたんじゃなくて……見逃してもらった……だけ…です」
そしてそのまま倒れた込む李梨花。




