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第4節ー襲撃ー

《第一護衛艦から全艦へ! 集落の生命反応が消滅しました!》

《こちら第三護衛艦、生命反応の消滅確認。一体なにが起こったの……?》

「え、えっ!?」


 北側の山にある生命反応に気を取られていた葉月は、突然入った通信に体をビクつかせながら、集落を映しているレーダーに視線を向けた。


 確かに、先ほどまで点滅していた幾つかの反応が根こそぎ消えている。そして、生命反応が消えた集落に接近する第2輸送部隊の反応。距離にして約500メートル付近の林道を進んでいるはずだ。

 すぐさま異変を知らせるために第2輸送部隊に連絡を入れた。


「オペレーター夜刀神です。来栖川准尉、荒木一等、応答を!」

《こちら来栖川、なに? ずいぶん慌ててるみたいだけど》

「集落へ急いでください、先ほど、全ての生命反応が消失しました!」

《こちら荒木、それは本当ですか?》

「本当です。全艦オペレーターが確認しています!」

《了解したよ。荒木一等、何人か連れて先に集落へ——……》


《……コンテナから離れろ!!》


 まだ通信の途中だったが、来栖川准尉、そして荒木一等の通信機のマイクから入ってきた雛樹の怒号を聞いた。

 声自体は遠くから聞こえているが、それでもとんでもなく大きな声で警告していることはわかった。


《なんだ、どうした祠堂君!?》

《来栖川准尉!! 物資コンテナから離れてくださいッ!!》


 直後、葉月のインカムに入ってきたのはコンテナの破砕音だった。それはもう、鼓膜が破れるのではないかと思うほどの。思わず通信機を外してしまったが、すぐに装着し直した。


「来栖川准尉、荒木一等、応答おねがいします! 来栖川准尉、荒木一等!!」


 いくら呼びかけても、聞こえてくるのはノイズの音のみ。通信途絶。先ほどの轟音からして、何者かの攻撃を受けたのは明白だ。

 第二輸送部隊のバイタルサインを確認する。来栖川、荒木は存命。他にはちらほらと気絶状態スタン、軽傷者はいるものの、人的被害は思ったほど大きくない。だが、コンテナは大破しているようだ。

 祠堂雛樹とステイシスの反応のみ特殊で、彼らは身体状態を正確に表示させるための“フォトンナノデバイス”をインプラントしていない。そのため、簡易型の脳波測定装置で大まかな様子を示すバイタルサインが表示されているため、生存していることはわかるが負傷状態などは不明である。


 だが、部隊周辺のレーダーに、ありえない反応が増えていた。


 先ほどまで集落に見えていた、生命反応の塊。それが、第二輸送部隊のコンテナが存在していた場所に湧いていたのだ。


「こちら第二護衛艦オペレーター! 第二輸送部隊が何者かの攻撃を受け、通信断絶! 軽傷者5名、意識不明4名!! 第3部隊へ救援を要請します!!」

《こちら第三護衛艦。了解です、第三輸送部隊から緊急救援部隊を編成させ、第2輸送部隊へ向かわせます》

「救援感謝します!」


 一体何がどうなったというのか。どうして今まで動きのなかった集落の生命反応が一瞬にして消滅し、第二輸送部隊のど真ん中へ現れた。不可解な事象が発生し、現場の状態も把握しきれない今、葉月はオペレーターとして最善の行動を一つ一つこなしていく。


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