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第6節3部ー1週間後ー

 国籍不明の潜水艦によるセントラルパレード襲撃の爪痕は大きかった。

 都市に侵入してきたドミネーターは、その潜水艦から発生していたなんらかの信号に焚きつけられていたことが判明していたため、世論は全ての元凶その潜水艦にあり、ということになりつつあった。


 軍事企業、ガンドックファクトリーの粒子砲乗っ取りについては……。潜水艦に突入した正規軍の兵士が目撃した、大量の量子コンピューター。その情報により、粒子砲のセキュリティの脆弱性については有耶無耶になりつつあったが、企業連、そして海上都市に住まう住民からの信頼は落ちた。


 その上で、まるで責任を押し付けるかのような形で処分を下され、多額の賠償金と、一部兵器部門を解体するに至っていた。

 ガンドックファクトリーの取締役は失脚し、大幅な後退から、逆風の中での新たな一歩を踏み出すこととなる。


 都市に侵入したドミネーターにより、負傷した市民は大勢いたのだが……その内訳は深刻なものではなかった。

 侵入していたドミネーターの大半は小型の上、どこか錯乱したように空中を漂ったり、制圧しようと向かってきた都市側の二脚機甲、特殊二脚機甲や兵器に反応して攻撃を撃ったりしていた。

 その攻撃の射線上にいた市民などが負傷したり、大量の人間が混乱した中での人身事故などによるもの。


 重傷者は出ているものの、ほとんどは軽症者だが数が多く、医療機関はフル稼働状態に陥っているのだ。

 


 今現在、雛樹がステイシスと共に救出されてから約一週間が経っている。正午0時センチュリオンテクノロジー医療機関、最上階である30階の病室に雛樹は寝かされていた。

 空中に展開されている心電図、点滴のチューブが左腕に取り付けられ、身体中に包帯が巻かれていた。

 重傷者として治療を受けた雛樹は、3日間の昏睡状態ののち、容体が安定。


 目を覚まさないまま、一週間が過ぎていたのだが……。


「……」


 重い瞼を開けてみると、視界がぼやけて白い光以外何も見えなかった。

 視界が戻るまで、体の各部を動かしてみる。どこにも問題は無い。

 どこからか、自動扉が軽快に開く音が聞こえてきた。それとともに、ものすごく深く長い溜息。


「やっと目を覚ましたのね。看護師呼んでこないと」


 夜刀神葉月の声だった。看護師……ということは、ここは病室なのか。

 戻った視界であたりを見回してみると納得した。

 一応、しっかりとした医療施設のようだ。

 飛燕を倒した後の記憶がない。自分はそこで意識を失ったのだろう。

 何者かに救出され、今こうしてベッドの上に寝ているのだと、すぐに理解した。


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